牛泥棒(うしどろぼう)は、1943年公開のアメリカ合衆国の映画。ヘンリー・フォンダが主演したウエスタン。地元の農民が殺害された上に牛を盗まれたという事件を知ったふたりの放浪者は、町民たちと共に自警団を結成、犯人の捜索に当たる。やがて牛を所持していた3人組が発見されるのだが…。 第16回アカデミー賞で作品賞にノミネートされたほか、1943年の第15回ナショナル・ボード・オブ・レビューで作品賞を受賞した。 1998年、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
牛泥棒 映画批評・評価・考察
牛泥棒(原題:The Ox-Bow Incident)
1943年の映画にして、法を無視した正義の暴走と冤罪を描く社会派西部劇。
日本では劇場未公開なのですが、当時の日本の一般大衆がこれを観ていたらどのように思ったのか?現代社会でもこの映画が訴えていることは通じるものがあり、法を無視した正義と言う名の私刑が何をもたらすのか、その多くは悲劇を迎えています。また、日本では法を順守するべき警察による冤罪事件が後を絶ちませんし、この作品が訴えていることを学ばなければなりません。
牛泥棒 あらすじ(ネタバレ)
1885年、ネバダ州のある町にギル・カーターと相棒のアート・クロフトという2人の男がやって来る。その頃、町の牧場主が殺され、牛が盗まれるという事件が起きる。
町の長老デイヴィスは法にのっとった裁判を主張する。しかし怒った町の男達は私刑を前提に自警団を組織し、犯人探しに乗り出し、カーターとクロフト、デイヴィスも同行する。
やがて、牛を連れ野宿していたマーティン、フアン、アルヴァの3人の男達が犯人として捕らえられる。
3人は無実を主張するが、自警団の男達は裁判を経ずに自分たちの手で裁きを下すこと(私刑)を主張する。デイヴィスやカーター、クロフトなど7人が裁判にかけることを主張するが、私刑を主張する多数派に押し切られ、3人は縛り首となった。
そこに保安官がやって来る。彼は牧場主が死んでいないことと、犯人が捕まったことを伝えた。3人は冤罪だったのだ。
自警団の男達はショックのあまり、酒場で皆茫然としていた。彼らの前でカーターは、デイヴィスが預かったマーティンの手紙を読み上げる。それには自分を処刑する者達への非難の言葉はなく、人間の良心の尊さが記されていた。
牛泥棒 スタッフ
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
脚本:ラマー・トロッティ
原作:ウォルター・ヴァン・ティルバーグ・クラーク
製作:ラマー・トロッティ
音楽:シリル・モックリッジ
撮影:アーサー・C・ミラー
製作会社:20世紀フォックス
配給:20世紀フォックス
牛泥棒 キャスト
ギル・カーター:ヘンリー・フォンダ
ドナルド・マーティン:ダナ・アンドリュース
ローズ・メイペン:メアリー・ベス・ヒューズ
フアン・マルティネス:アンソニー・クイン
ジェラルド・テトリー:ウィリアム・アイス
アート・クロフト:ハリー・モーガン
ママ・グリア:ジェーン・ダーウェル
ダニエル・テイラー判事:マット・ブリッグス
アーサー・デイヴィス:ハリー・ダヴェンポート
テトリー少佐:フランク・コンロイ
ジェフ・ファーンリー:マーク・ローレンス
モンティ・スミス:ポール・ハースト
ダービー(酒屋の主人):ビクター・キリアン
ポンチョ:クリス・ピン・マーティン
保安官:ウィラード・ ロバートソン
アルヴァ・ハードウィック:フランシス・フォード(ノンクレジット)
テイラー判事の家政婦:マーガレット・ハミルトン(ノンクレジット)
ローズの夫・スワンソン氏:ジョージ・ミーカー(ノンクレジット)