コッホ先生と僕らの革命は、2011年公開のドイツ映画。19世紀末、当時反英感情が強かった帝国主義下のドイツで初となる英語教師になり、自らの進退を顧みずイギリス発祥のスポーツであるサッカーを通じて生徒たちの自立や成長を促した男とその生徒たちを描いたヒューマンドラマ。ドイツ・サッカーの父として同国の人々から敬愛され続けているコンラート・コッホの実録ドラマ。イギリス留学中に知ったサッカーを子どもたちに教えながら、協調や公正を重んじる精神を育ませていく彼の姿を見つめる。ドイツにおける「サッカーの父」と称されるコンラート・コッホ(1846年 – 1911年)を描いた作品である。
コッホ先生と僕らの革命 映画批評・評価・考察
コッホ先生と僕らの革命(原題:Der ganz große Traum)
脚本:36点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計87点
ドイツ版スクールウォーズみたいな熱さもありつつ、生徒たちに個性があり彼らも主人公と思えるとても良いドラマになっています。ロビン・ウィリアムズの『いまを生きる』とはまた違った魅力のある教師の導きが描かれています。
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コッホ先生と僕らの革命 あらすじ(ネタバレ)
1874年、帝政ドイツ。ブラウンシュヴァイクにある名門校・カタリネウム校のメアフェルト・グスタフ校長(ブルクハルト・クラウスナー)に招かれて、オックスフォードに留学していたコンラート・コッホ(ダニエル・ブリュール)はドイツ初の英語教師として赴任してきた。しかし当時のドイツでは反英感情が高く、教室でもイギリスに対する強い偏見が待ち受けていた。授業を開始しようとした矢先、級長フェリックス・ハートゥングを先頭にクラスでただひとり労働者階級出身のヨスト・ボーンシュテットに罪を被せいじめているのを目の当たりにする。
その日の夜に開かれたパーティで、コッホはフェリックスの父と会う。地元の名士でキリスト友会会長を務め、カタリネウム校に対しても多大な影響力を持つフェリックスの父(ユストゥス・フォン・ドーナニー)は、ドイツ帝国の教育は秩序と規律、服従がすべてであると考えていた。個性や自立を促す進歩的な教育を目指すコッホとの対立は、避けられなかった。
英語を学ぶ意欲がからっきしない生徒たちを前に、コッホはある一計を立てる。生徒たちを体育館に集合させ、愛用の革製ボールを見せるコッホ。それは、サッカーボールだった。当時、体育の授業と言えば体操であり、触ったことのあるボールといえば医療用の重いボールくらいだった。生徒たちがコッホに倣いボールを蹴ると、たちまちサッカーの楽しさに目覚めて夢中になり、サッカー用語を通じて英語も熱心に勉強するようになる。スポーツ用品メーカー社長の息子オットー・シュリッカーは、ボール自体に興味を持ち、同様のものを作れないか試行錯誤する。またヨストはフォワードとして大活躍をし、各人の個性や才能が見え始めてきた。
ある日、コッホたちが体育館でサッカーの試合をしていると、授業を見学しに来たキリスト友会のメンバーと校長にその様子を見られ、間の悪いことにヨストが蹴ったボールが牧師の股間に命中してしまう。キリスト友会会長であるハートゥングは激怒し、サッカーを禁止させなければコッホを解雇させると校長に詰め寄る。さらにヨストは退学処分の最後通告として補習室送りになり、彼の母親クララも、ヨストの将来を危惧しコッホを責める。サッカー禁止令に従うコッホだが、落ち込む生徒たちを見て、放課後は自由だと提言する。授業後、自発的にサッカーの練習をする生徒たちの熱意に触れ、コッホも本腰を入れて指導。次第にクラスは本物のチームとしてまとまっていくが……。
そんな折、コッホをフェリックスの父親で地元の名士であるハートゥングは「反ドイツの社会主義者」と見なし、ありとあらゆる手を使ってコッホとヨストを追い出そうとする。そんな中、ヨストに呼び出されて屋敷を逃げ出そうとしたフェリックスが怪我をしたことでハートゥングの怒りが爆発、遂にヨストを退学させ、コッホをクビにする。ところがコッホが学校を去ろうとすると、そこにコッホのイギリス留学時代の友人がイングランドのサッカーチームの子供たちを連れて現れる。またちょうどその日は政府の役人がサッカーの教育への有用性を確かめるための視察にやって来る日であった。こうしてコッホらは政府の役人や地元の人々が見守る中、イングランドのサッカーチームと試合をすることになる。
生徒らはクラスで最もサッカーのうまいヨストを呼び戻すと、ヨストの活躍でイングランドのチームを打ち負かす。地元の人々は歓喜し、はじめは「ドイツ的ではない」と否定的に見ていた政府の役人らも最終的には試合を楽しむ。この試合をきっかけに、サッカーはドイツの人々に受け入れられるようになったのである。
コッホ先生と僕らの革命 スタッフ
監督:セバスチャン・グロブラー
脚本:フィリップ・ロト,ヨハンナ・シュトゥットゥマン
原案:セバスチャン・グロブラー,ラウル・ライネルト
製作:アナトール・ニッチケ,ラウル・ライネルト
音楽:インゴ・ルードヴィヒ・フレンツェル
撮影:マルティン・ランガー
編集:ディルク・グラウ
製作会社:ドイツフィルム
配給:ギャガ
コッホ先生と僕らの革命 キャスト
コンラート・コッホ:ダニエル・ブリュール
主人公。英語教師。
グスタフ・メアフェルト:ブルクハルト・クラウスナー
カタリネウム校の校長。コッホの理解者。
リヒャルト・ハートゥング:ユストゥス・フォン・ドホナーニ
地元の名士。カタリネウム校にも大きな権限を持つ。
フェリックス・ハートゥング:テオ・トレブス
クラスのリーダー格の生徒。リヒャルトの息子。
ヨスト・ボーンシュテッド:アドリアン・ムーア
フェリックスらにいじめられている生徒。クラスでただ一人の労働者階級の出身。
クララ・ボーンシュテッド:カトリン・フォン・シュタインブルク
ヨストの母。息子が学を付けて技師になることを願っている。