老後の資金がありません!は、2021年公開の日本映画。原作は、巧みな設定で読者の共感を呼んでいる稀代のストーリーテラー垣谷美雨の40万部(2021年11月時点)を突破したベストセラー小説「老後の資金がありません」(中公文庫)。親の葬式、子供の派手婚、夫の失職、セレブ姑との同居……お金の災難に振り回される普通の主婦・後藤篤子の奮闘が、小気味よく綴られる。老後の資金問題というシリアスなテーマを、ユーモラスに描いた原作。本作の主人公・篤子役に白羽の矢が立てられたのは、日本最強のコメディエンヌ・天海祐希。 数々の作品で、デキる女性を鮮烈に体現してきた天海が、本作では、平凡な主婦の魅力を引き出す。誰もが迎える問題にあたふたしつつも、家庭を切り盛りする篤子を明るくコミカルなタッチで演じきる。主人公を大いに翻弄する面々の筆頭には、姑役に芸能生活72年目の草笛光子。自身のキャリアでも他に無い“異例の変身”の挑戦は必見! 夫役に天海とは初の夫婦役となる松重豊ほかバラエティに富んだキャスト陣が大集結!
老後の資金がありません! 映画批評・評価・考察
老後の資金がありません!
脚本:28点
演技・演出:16点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計75点
老後の資金2000万円問題が2019年6月に金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループの報告書をきっかけに、話題になりこの映画も製作されたように思います。ただ、ざっくりとしたシュミレーションなので個人や世帯、住んでいる場所によって変わってきます。金融庁のシュミレーションだと世帯収入が約21万円の月収があり、毎月約5万5千円程度の赤字が出る計算なので、実態と剥離しています。この数字を見て、疑問に思わない人は心配です。国民年金が6~8万程度なので、現時点でも足りない人だらけになってしまいます。厚生年金を満額かけていてこのシュミレーションの金額になるんじゃないかと思います。ということで現時点で、大半の年金生活者は、事実上破綻していることになるような計算です。
この映画では、支出面についてコミカルに描いているのですが、あまり現実的な描写ではなく、なんくるないさー的な感覚で描いています。みんなで助け合えば、シェアしあえばなんとかなるさーです。
正直、米国映画のように参考になるような哲学や資料価値はない映画ですが、超ベタなホームコメディを楽しむ分には良い映画でした。
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老後の資金がありません! あらすじ
主婦・後藤篤子(天海祐希)は、困っていた。
家計は妻に任せきりの夫・章(松重豊)の給料と篤子がパートで稼いだお金をやりくりして、フリーターの娘・まゆみ(新川優愛)と、大学4年生の息子・勇人(瀬戸利樹)を育て上げた。節約をモットーに、自分に許した小さな贅沢と言えば、月謝5000円のヨガ教室程度。
憧れのブランドバッグも我慢して、老後の資金をコツコツと貯めてきた……はずなのに!
身の丈に合っていたはずの篤子の生活が、突如綻び始めたのだ。入院していた舅の今際の際に、章の妹・志津子(若村麻由美)から喪主を押しつけられ、葬儀代400万円近くを支払うことに。折しも、密かに正社員登用を期待していたパート先をリストラ。
なかなか次の仕事が見つからないところに、まゆみが結婚相手を連れて来た。年収150万円のバンドマン・琢磨(加藤諒)は、地方実業家の御曹司につき、芸能人御用達の式場での盛大な披露宴を希望しているという。しかも費用は両家の折半で、最低でも300万円負担することに。
700万近くあった貯金があっという間に底をついてしまいそうな、後藤家大不況の中、章の会社がまさかの倒産!? 住宅ローン完済の当てにしていた退職金は当然0円。結婚30周年目前、夫婦そろって失職するハメに。
篤子の銭闘はなおも続く。金銭感覚が麻痺しそうになりながらも、自動車の売却やレンタルモップの解約な+AT550遣いに、貯金はいよいよ0円が目の前に迫る勢いになってきた頃、今度はいきなり「生前葬をする」と言い出した!? ありとあらゆるお金の問題に振り回されてきた篤子の我慢は、ついにピークに達する!! 果たして篤子は、この絶体絶命のピンチを切り抜けることができるのか?!
老後の資金がありません! スタッフ
原作:垣谷美雨『老後の資金がありません』(中公文庫)
監督:前田哲
脚本:斉藤ひろし
音楽:富貴晴美
劇中曲協力:古川昌義,薮内崇暢,橋口佳奈
主題歌:氷川きよし「Happy!」(日本コロムビア)
劇中歌:SEX MACHINEGUNS「The grave」(カナメイシレコード)
金融監修:前田晃介
企画プロデュース:平野隆
プロデューサー:岡田有正,下田淳行
共同プロデューサー:大脇拓郎,原公夫
配給:東映
制作:ツインズジャパン
製作:映画『老後の資金がありません!』製作委員会(TBSテレビ,東映,ジェイアール東日本企画,ツインズジャパン,毎日放送,CBCテレビ,TBSラジオ,WOWOW,RKB毎日放送,読売新聞東京本社,トーハン,TCエンタテインメント,北海道放送,静岡放送,東北放送,中国放送,RSK山陽放送,中央公論新社,日本出版販売,新潟放送)
老後の資金がありません! キャスト
後藤篤子〈53〉:天海祐希
主人公。老後に備えて生活資金をコツコツと貯えてきたが、家計に無頓着な夫、結婚資金の援助を当たり前のように無心する娘、舅の葬儀代、未だ浪費癖の抜けない姑に振り回され、出費は嵩むばかりで気苦労が絶えない。家電量販店でパート勤務をしながら生計を支えていたが、契約を更新されず失業してしまう。
後藤章〈56〉:松重豊
篤子の夫。お金に疎く自分たちの老後の資金となる預貯金額も把握していなかったが、退職金で何とかなるだろうと高を括っていた。しかし、定年間近という年齢になって会社が倒産、失業に陥っている。見栄っ張りな面がある。
後藤まゆみ〈25〉:新川優愛
後藤家の長女。ヘヴィメタルバンドでバンドマンをしている恋人・琢磨を突然連れてきて両親に紹介、結婚を宣言。挙式・披露宴は派手婚を望んでおり、その費用の援助を申し入れる。
後藤勇人〈23〉:瀬戸利樹
後藤家の長男。大学生。考えが浅く自由奔放な姉の我儘に困惑する母をさりげなくフォローするしっかり者。
松平琢磨〈30〉:加藤諒
まゆみの恋人。ヘヴィメタルのバンドに所属。V系を意識したハードな衣装とヘアスタイルで決めている。
神田サツキ〈51〉:柴田理恵
篤子の友人。脱サラした夫とパン屋を開業している。
桜井志津子〈52〉:若村麻由美
章の妹。インテリ主婦。両親にかかる費用負担について正論を振りかざして篤子と対立。
桜井秀典〈51〉:石井正則
志津子の夫。篤子と志津子の対立に参戦する高給取りのインテリ夫。
本間:友近
篤子の舅の葬儀を請け負った葬儀社のベテラン社員。
城ヶ崎君彦:クリス松村
篤子が通っているヨガ教室の講師。ユニセックスな雰囲気を纏うセレブ。
レイナ:高橋メアリージュン
シェアハウスに住むシングルマザーのキャバ嬢。
松平金造〈60〉:佐々木健介
琢磨の父。宇都宮で餃子チェーン店を展開している。地元では有名な実業家。
松平美和〈58〉:北斗晶
琢磨の母。貧しかった頃から夫と支え合って事業を拡大し、成功を収めた。
荻原博子(経済ジャーナリスト):荻原博子 ※本人役
老後資金に関する著書も多く、雑誌でコラムを多数連載。テレビなどでコメンテーターとしても活動する経済ジャーナリスト。
太平〈75〉:竜雷太
篤子の父。西伊豆でスイカ農家を営んでいた。75歳にしてサーファーに転身。妻と悠々自適な老後を満喫している。
波子〈72〉:藤田弓子
篤子の母。夫と共にサーフィンをはじめた。大らかで天真爛漫な性格。
大泉健三〈85〉:毒蝮三太夫
サツキの父。偏屈な性格でサツキを困らせることがしばしばある。
天馬:哀川翔
章と同じ大学の出身で会社の元同期。独立して起業し、社長を務めている。天馬に対して章は羨望とも嫉妬ともとれる複雑な思いを抱いてしまう。
森口:三谷幸喜
区役所に勤務。
後藤芳乃〈80〉:草笛光子
章の母。老舗和菓子屋に嫁ぎ、不自由なく裕福な生活を送ってきた。店を畳んでからも浪費癖が抜けない上に高級志向。貯金はほぼ無いに等しいが、知人らには大判振る舞いをしたがる。芳乃自身は至って悪気はないため、その天然っぷりに篤子は頭を抱える。
他:六平直政,綾田俊樹,富田望生,神保悟志,どんぐり,副島淳,スリムクラブ,ピスタチオ,鈴木晋介,小野花梨,ぎたろー ほか