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タワーリング・インフェルノ|最高傑作と評されている超高層ビル火災を描いたパニック映画。

タワーリング・インフェルノ
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タワーリング・インフェルノは、1974年のアメリカ合衆国の映画。超高層ビル火災を描いたパニック映画。本作品は1970年代中盤期のいわゆる、「パニック映画ブーム」の中でも最高傑作と評されている。1974年度のアカデミー撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞。

タワーリング・インフェルノ 映画批評・評価・考察


タワーリング・インフェルノ(原題: The Towering Inferno )

脚本:37点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計97点

当時大スターだったポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンが夢の共演を果たす。ワーナー作品を軸に活躍していたスティーブ・マックイーンと20世紀フォックス作品を軸に活躍していたポール・ニューマンが共演し、マックイーンはニューマンと同じ量のセリフを要求した事や、オープニングのクレジット表記で画面の左側にマックイーン、右側にニューマンの名が配された。欧米の書式では先に読む左側のマックイーンが一見すると上位になるが、文字が配置される「縦位置」ではニューマンの方が高くなっており、結局はどちらが優位か分かりにくい表示になっている。この奇妙な配置は共に主役を務める二大スターに優劣をつけず名前を出すための苦肉の策だった。個人的にはマックイーンの消防士役が最高でこれぞ男の熱さと言わんばかりの演技で男惚れさせるものだった。カッコイイーーーーーーーです。後半40分からマックイーン登場し、ストーリーも盛り上がります。火災の発端等が人災なので脚本としてはご都合主義的なところがある作品ですが、撮影や演技演出は最高でした。音楽はジョン・ウィリアムズ。脚本は、「ポセイドン・アドベンチャー」のスターリング・シリファントで特撮映画を得意とするジョン・ギラーミンが監督(キングコング)していてつまらない映画になるわけがない。パニック映画=B級映画というのは、80年代作品がその傾向があり、70年代は豪華なキャストと実力派のスタッフが揃った超大作映画だった。

題名の「タワーリング・インフェルノ」とは、英語で「そびえ立つ地獄」という意味である。元の原作が2本あり、リチャード・マーチン・スターン原作の『ザ・タワー』とトーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソンが書いた『ザ・グラス・インフェルノ(ガラスの地獄)』の原作小説2つを、スターリング・シリファントが1本のシナリオにまとめたものである。
この映画は、史上初めてアメリカの大手映画会社「ワーナー・ブラザース」と「20世紀フォックス」が共同で製作・配給した作品である。もとはそれぞれ異なる小説で、「ザ・タワー」をワーナーが買い取り、「ザ・グラス・インフェルノ」を20世紀フォックスが買い取って、最初はそれぞれ映画化される予定だったが、内容が似通っていて、ともにビル火災をテーマにしているため製作予算が巨額になることなどから、両社は企画をまとめて共同製作にすることになった。
製作費は折半されたが配給権は、米国内では20世紀フォックスが、米国外ではワーナー・ブラザースが持った。
製作のアーウィン・アレンを初め、スタッフの多くが、2年前の『ポセイドン・アドベンチャー』製作にも携わっており、その際の特撮技術を同作品に応用した。

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タワーリング・インフェルノ あらすじ(ネタバレ)

アメリカ・サンフランシスコの新名所、138階建のグラスタワーが落成式を迎えた。ビルの設計者ダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジェームズ・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下に広がる市の光景を見下ろしていた。

135階の会場に300名の来賓を招いた落成式が始まる頃、ビル地下室の発電機が故障したため、主任技師らは予備の発電機を始動させた。その頃、50階にある中央保安室の保安係主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)は、災害探知装置を監視していたが、警報装置が作動していないのに、異常な反応があったのに気が付く。そして、ビル内のどこかで火災が発生しているのではと考え、愕然となった。実はこの時、予備の発電機を動かしたことで小さな火花が走り配線に移ると同時に、81階にある物置室の配電盤のヒューズが火を発し、燃えながら床に落ちた絶縁体の破片が、マットをくすぶらせ始めたのである。

ハリーの報告を受けて地下に走ったロバーツは、配線工事が自分の設計通りに行われておらず、配線の規格も設計したものより細いことに気付き憤然となった。ダンカンの娘婿で、ビル建設の責任者のロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)が、予算を減らすために行った電気系統工事の手抜きと配線の規格落ちが原因となり、81階の物置室でボヤ火災が発生していたのである。危険を感じたロバーツは、急遽広報部長のダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に連絡したが、愛人と部屋にこもっている状態でラチがあかない。ロバーツはロジャーに工事の手抜きを責めたが、ロジャーは建築法の規定範囲内で問題ないと突っぱねた。ロジャーは、経費の切り詰めを義父のオーナーから迫られて、高層ビルでは大きな規格の配線でないと熱が生じることに配慮せず、電気配線で手抜きをしたのであった。ロバーツはダンカンに、火災の危険が迫っているので落成式を直ちに中止して避難するよう進言するが、ダンカンは全く耳を貸さなかった。

落成式には、ゲイリー・パーカー上院議員(ロバート・ヴォーン)、ロバート・ラムジー市長(ジャック・コリンズ)を初めとする各界の要人や、ビルの80階より上の住居部分の住人である、株専門の詐欺師だったハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)や、富豪の未亡人のリゾレット・ミュラー(ジェニファー・ジョーンズ)も招かれ、135階のプロムナードホールへ集まっていた。ハーリーとリゾレットは、お互いに惹かれて行く。

81階の物置室は火の海となり、煙が充満して室外に煙が流れ出していた。そこへ駆けつけた警備員達が扉を不用意に開けたため、火が一気に広がり、扉を開けた警備員を助けようとしたウィル・ギディングズは、火ダルマとなって致命傷を負った。現場に駆けつけたロバーツは、火災の状況をみてダンカンに電話し、ただちに式典を中止してビルからの退去を要請したが、ダンカンは、既に出動していた消防隊により鎮火出来ると頑強に信じて応じようとはしなかった。

やがて消防隊が到着した。チーフのマイケル・オハラハン(スティーブ・マックイーン)は、現場の状況を見て火事の酷さを悟り、ただちに79階に司令センターを設置するとともに、消火ホースだけでは81階の火災は抑えられないとして、135階のプロムナードホールへ行き、ダンカンに300人の客の緊急避難を命じた。反発したダンカンであったが、しぶしぶ承知してパーティー会場を1階に移すと招待客に説明して、エレベーターで下に降りるように案内したが、招待客等は、ダンカンの指示に従うような雰囲気では無くなっていった。オハラハンは、81階の火事の状況から、ビル内部のエレベーターがその階を通過する時に、ショートで停止して扉が開くのではと考え、ダンカンに内部エレベーターの使用停止を進言したが、エレベーターは既に招待客を乗せて降下した後だった。オハラハンが恐れていたとおり、エレベーターは81階で自動的に扉が開き、火が中に入っていってしまった。再び最上階に上がっていったエレベーターの扉が開くと、火ダルマとなった男が出てきて倒れた。招待客らがパニックに陥る中、ハーリーは、身動きしなくなった男に、着ていたタキシードを掛けるのであった。

リゾレットは、友人のオルブライト夫人とその家族が階下に取り残されているのに気付く。ロバーツやハリーの助けもあって、幸い夫人らは間一髪炎から逃れる事が出来た。オルブライト夫人を1階に避難させるハリーに続こうとしたロバーツたちだが、途中で爆発によって階段が破損しハリーたちと分断されてしまったため、リゾレットと子供たちを連れてプロムナードホールを目指す。何とか苦境を脱して135階までたどり着いたが、今度はホールに続く非常口がコンクリート塊で塞がれていた。ロバーツは、オハラハンに状況を説明し、1階からやって来た消防士がドアを爆破してようやくホールに戻ることが出来た。

各階に延焼して断続的に爆発が起こり、もはや地上からの救援活動では間に合わないと考えたオハラハンは、アメリカ海軍のヘリコプターによる空からの救援を要請した。しかし風が強い為、ビル屋上への着陸は困難であった。少し風が収まり、辛うじて近づいたヘリコプターだったが、屋上で風に煽られ、墜落炎上してしまった。ヘリコプターによる救助も難しいと知ったオハラハンは、隣接するビルから、救命籠を使う方式での救助を行う事とした。

やがて予備の発電機が火を吹き、ビル全体が停電した。最上階からの唯一の避難経路だった、壁面を使って昇降する外部エレベーターも動かなくなったが、ロバーツは、ブレーキを掛けながらの1度だけの降下なら可能だと考え、リゾレットやオルブライト夫人の家族ら12人を乗せて外部エレベーターを降下させる。しかし降下中に爆発に巻き込まれてエレベーターが傾き、姿勢を崩したリゾレットは、割れたガラスの隙間から落下していった。エレベーターはそのまま宙吊り状態になったが、オハラハンの決死の活躍で無事に地上に降りることが出来た。

隣りのビルに繋げたワイヤーで救命籠を動かしての避難によって、女性は全員避難を終了した。次は男性の順番であったが、延焼速度から全員の救命籠による避難が間に合わないことが明らかとなり、ロジャーが予め決まっていた順番を無視して先に逃げようとした。それを制止しようとした上院議員らが救命籠にしがみついたが、やがてワイヤーが切れ、救命籠もろとも地上へ落下していった。

オハラハンは、副消防署長から最後の手段として屋上にある巨大な貯水槽を一気に爆破し、その水で消火する作戦を知らされる。誰も助からないかも知れない危険な作戦であったが、他に方法が無い事を悟ったオハラハンは、耐火服に身をかためて屋上に赴く。ロバーツは、最上階に残った人々に作戦を伝え、水流に耐えるために身体を柱や固定物に縛り付ける様に指示し、オハラハンに協力して爆弾の設置を行った。やがて大規模な爆発が起き、瓦礫とともに百万ガロンの水の奔流がビル最上階に流れてきた。瓦礫の下敷きや、水に流されて多くの人々が命を落とし、その中には最後まで留まった市長も含まれていたが、火災はようやく鎮火していった。

しばらくして、救助されたハーリーはリゾレットを探すが、エレベーターに乗っていた消防士から彼女の死を知らされる。保安係主任のハリーからリゾレットの飼い猫を渡され、悲しみにくれた。オハラハンとロバーツはお互いを労りながらも、オハラハンは高層ビルを作る人間の驕りを戒めるのであった。

タワーリング・インフェルノ スタッフ

監督:ジョン・ギラーミン
製作・アクションシーン監督:アーウィン・アレン
原作:リチャード・マーティン・スターン(『そびえ立つ地獄』早川書房)
原作:トーマス・N・スコーシアフランク・M・ロビンスン(『タワーリングインフェルノ』早川書房)
脚色:スターリング・シリファント
撮影:フレッド・J・コーネカンプ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
主題歌:モーリン・マクガヴァン 「We May Never Love Like This Again」
提供:ワーナー・ブラザース20世紀フォックス

タワーリング・インフェルノ キャスト

マイケル・オハラハンスティーブ・マックイーン
本作の主人公の一人で、消防隊のチーフを務める。いくつかの場面で危険な任務に携わる。

ダグ・ロバーツポール・ニューマン
グラスタワービルの設計者。出火したことが判明した時、オーナーであるダンカンにパーティの中止、招待客の避難を助言した。その後、オハラハンと共に、避難誘導・消火などの手助けをする。

ジェームズ・ダンカンウィリアム・ホールデン
グラスタワーのオーナー。利益優先と最新鋭のビルへの過信、自身のプライドを守ろうとしたことが、結果として大惨事を起こした。終盤では己の犯した間違いの責任を果たすため、ビル火災の元凶となったロジャーと共に、招待客全員が救助されるまで残ると宣言する。最後まで生き残り、ロジャーの死を悲しむパティを慰める。

スーザン・フランクリンフェイ・ダナウェイ
ダグの妻。外部エレベーターでの避難に成功し、生存する。

ハーリー・クレイボーンフレッド・アステア
アナハイム電力の株券(偽造)を所持し、未亡人のリゾレットに購入を持ちかけた詐欺師。性根が優しいため詐欺師としては三流であり、リゾレットに対しても好意を抱いたことから罪悪感に耐え切れず、プロムナードホールで再会した彼女に自らの正体を打ち明け謝罪する。外部エレベーターで避難するリゾレットと再会を約束し、最後まで生き残るが、彼女の死を知り悲しみに打ちひしがれる。

パティ・シモンズスーザン・ブレイクリー
ダンカンの娘でロジャー・シモンズの妻。ロジャーが自分の行為が引き起こした予想外の大惨事に精神的に追い詰められていることを慮り、厳しい言葉をかけながらも彼に寄り添おうとするが、受け入れられることはなかった。

ロジャー・シモンズリチャード・チェンバレン
パティの夫でダンカンの娘婿。今回の工事で、義父であるダンカンの予算削減の求めに乗じて私腹を肥やそうと不正な電線工事を行い、事故の原因を作った。救命籠での避難が間に合わないことを知り事前のくじ引きで決まった順番を無視して避難しようとし、救命籠ごと落下し命を落とす。

リゾレット・ミュラージェニファー・ジョーンズ
友人であるオルブライト夫人の子供の面倒を見ている。火災が起きた時に、ダグたちが救出した子供たちと共に危険な避難を試みている。爆発の煽りを受けてガラスの割れた展望用外部エレベーターから投げ出されてしまい、外部エレベーターでの脱出を図った12人のうち唯一の犠牲者となる。

ハリー・ジャーニガンO・J・シンプソン
警備員で保安係主任。ダグと共にオルブライト夫人らを救出し、リゾレットの飼い猫を保護する。

ゲイリー・パーカー上院議員ロバート・ヴォーン
来賓の一人。我先に救命籠に乗ろうとするロジャーの暴挙を止めようとした結果、彼諸共転落する。

ダン・ビグローロバート・ワグナー
広報部長で、元短距離の選手。落成式の間、65階の1室で秘書のローリーとの情事に耽っていたため、部屋に取り残される。

ローリースーザン・フラネリー
ダンの秘書で愛人。広報部長との情事がやがて悲劇を生んだ。

ポーラ・ラムジー市長夫人シーラ・アレン
展望用エレベーターで他の女性客と共に救出される。

ウィル・ギディングズノーマン・バートン
81階の火元の倉庫のドアを開けようとした警備員の身代わりになって炎に巻き込まれ、最初の人的被害となった。

ロバート・ラムジー市長ジャック・コリンズ
ダンカンの友人。ダンカンはボブと呼んでいた。貯水タンク爆破の際に身体を固定していたロープが解けてしまい、水流に押し流されて転落死する。

カピードン・ゴードン
スコット消防士フェルトン・ペリー
カルロスグレゴリー・シーラ
プロムナードルームでバーテンの仕事をしていた。貯水タンク爆破の際に倒れた石像に胸を押し潰され息絶える。
マーク・パワーズ消防士アーニー・F・オルサッティ
消防署副署長#1ダブニー・コールマン
最終手段として、上階の貯水タンクの爆破して消火することを提案する。
救助される女性 – エリザベス・ロジャース
フレイカーノーマン・グラボウスキー
消防署副署長#2ロス・エリオット
ジョンソン – オラン・ソウル

アンジェラ・オールブライトカリーナ・ガワー
フィリップの妹。兄の奥の部屋で炎に怯えていた。兄と共に展望用エレベーターでの避難に成功する。

フィリップ・オールブライトマイク・ルッキンランド
アンジェラの兄。ヘッドホンの大音量で避難誘導に気付かず家族と共に逃げ遅れるが、ハリーたちによって救助され、その後展望用エレベーターでの避難に成功する。

オールブライト夫人キャロル・マケヴォイ
フィリップとアンジェラの母親。聴覚が不自由であるため電話での避難誘導に気付かず、子供たちと共に逃げ遅れてしまう。その後はハリーによって運ばれ子供たちより先に避難に成功することとなった。

若い消防士スコット・ニューマン
ティムポール・コミ
ジャックジョージ・ウォレス
技術者ウィリアム・バセット
キャラハンジョン・クロウフォード
地下機械室の主任。
ウェスエリック・L・ネルソン
歌手モーリン・マクガヴァン
警備員ジョン・モイオ
秘書ジャネットジェニファー・ローズ
制御室警備員ビルウィリアム・トレイラー

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