インクレディブル・ハルクは、2008年公開のアメリカ合衆国の映画。マーベル・コミックから生まれた人気キャラクターを、演技派エドワード・ノートンを主演に迎え装いも新たに再映画化したヒーロー・アクション。怒りの感情によって緑色の巨人“ハルク”に変身してしまう主人公ブルース・バナーが、葛藤を乗り越え自らの運命に立ち向かう姿を、迫力のアクション・シーン満載で描き出す。
インクレディブル・ハルク 映画批評・評価・考察
インクレディブル・ハルク(原題: The Incredible Hulk)
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:10点
音響・音楽:9点
合計87点
ひとつ前の『ハルク』の出来栄えが酷い状況だったのですが、主人公がエドワード・ノートンになるだけで、こうも違うのかというほど、キャラクターの深みが違っています。監督と作品の相性も良く、前作より数倍楽しめました。しかし、ノートンとマーベルが編集内容について揉めてしまい降板する結果になりました。恐らくクライマックスの、ハルク・スマッシュ!とか、なんか嫌々ハルクになってた主人公がノリノリになってる感じに見えたのが嫌だったのでは?と思ったりもしました。ハルク・スマッシュのシーンは、かなり違和感あります。え、突然どうしたのーみたいな。
MCUの映画では興行成績が最低になってしまったようですが、他のMCUの作品と比較して、スパイダーマンは特別ですが、他の作品と比較して見劣る感じは全くしません。むしろかなり上位にランクされる作品じゃないかと思います。
本作はマーベル・コミックが自社製作したアメコミヒーロー映画『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズの第2作目でもあり、第1作目の『アイアンマン』と連動しています(日本では本作が先に公開された)。その後『アイアンマン2』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』と続けて製作し、それぞれのヒーローが集結する『アベンジャーズ』に繋げるプロジェクトとなっています。劇中に登場する音波兵器はオープニング映像においてスターク社製であることが示唆されています。また、『アイアンマン』、『アイアンマン2』のトニー・スタークが登場し、ロス将軍に対して「チームを編成中」との報告を行っています。DVDに収録された別バージョンのオープニング映像には氷漬けになったキャプテン・アメリカが映っています。
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インクレディブル・ハルク あらすじ(ネタバレ)
兵士強化実験のための研究(第二次世界大戦中に中止された、キャプテン・アメリカ誕生の結果となった実験)を行っていたブルース・バナーは、研究の成功を確信し自らの肉体を使って実験を行った。しかし実験は失敗し、ブルースは緑色の巨人へと変貌。軍から追われる身となったブルースはブラジルのリオデジャネイロに潜伏、武道家に師事し、変身の原因となる感情の制御方法を学びながら、「ブルー」と名乗る研究者の協力のもと、体を元に戻す方法を模索していた。しかし、感情の制御は容易ではなく、研究も詳細なデータが無いため上手くいかず、焦りばかりが募っていく。
ある日、ブルースは勤め先のジュース工場で不意に手を切ってしまい、血液が混入したジュースが出荷されてしまう。それを飲みガンマ線に汚染された人物が現れたことを知った軍は工場を突き止め、エミル・ブロンスキーを含む精鋭部隊を送り込んできた。追い詰められたブルースは巨人へと変身し、部隊を壊滅させた。唯一生き残ったブロンスキーは、あの怪物が兵士強化実験の成れの果てであることを知り、衰えた肉体を強化するために実験に志願する。
研究資料を求めアメリカに戻ったブルースは、ロス将軍の娘であり実験の当事者でもある恋人のベティ・ロスと再会し、資料を求めて大学へと潜入するが、そこには肉体を強化したブロンスキーが待ち構えていた。追い詰められながらも、二人はその場を逃れ、この時の戦いを目撃した学生の一人が「廃船(ハルク)のように巨大だった」と語ったことから、後にメディアからは「ハルク」と呼ばれるようになる。
ブルースは協力者の「ブルー」ことサミュエル・スターンズの元へたどり着き、遂に肉体を元に戻すことに成功する。しかし、その直後に追いついたロス将軍の部隊に捉えられてしまう。拘束されヘリで移送されていくブルース。その一方、ハルクの力に魅せられていたブロンスキーはサミュエルを脅迫し、彼が培養していたブルースの血液を自らに注入。もう一人のハルク「アボミネーション」へと変身し暴れ始める。パニックに陥る町を守るため、ブルースは自らの意思で再びハルクへと変身し、アボミネーションと死闘を繰り広げ、遂に勝利する。
再び逃亡生活を送ることになったブルースだったが、人里離れた地での修行の末、変身をコントロールしつつあった。
一方、ロス将軍は今回の一連の事件が原因で、計画の凍結を言い渡され、とあるバーで酔い潰れていた。するとそこにスーツ姿のトニー・スタークが現れる。トニーは極秘裏であるチームを編成しているとの話を持ちかけたところでこの映画は幕を閉じる。
インクレディブル・ハルク スタッフ
監督:ルイ・レテリエ
脚本:ザック・ペン
原案:ザック・ペン
原作:スタン・リー,ジャック・カービー『ハルク』
製作:アヴィ・アラッド,ゲイル・アン・ハード,ケヴィン・ファイギ
製作総指揮:スタン・リー,デヴィッド・メイゼル,ジム・ヴァン・ウィック
音楽:クレイグ・アームストロング
撮影:ピーター・メンジース・ジュニア
編集:ジョン・ライト,リック・シェイン,ヴィンセント・タバイロン
製作会社:マーベル・スタジオ
配給:ユニバーサル・スタジオ,ソニー・ピクチャーズ
インクレディブル・ハルク キャスト
ブルース・バナー / ハルク:エドワード・ノートン
7つの博士号を持つ白人系の天才生物学者。かつて籍を置いていたカルバー大学で、アメリカ陸軍から放射線への耐性を測るという名目で依頼された実験を、ベティと共に行い、自ら被験者となってガンマ線を浴びたが、心拍数が1分間に200回を超えると緑色の大男へと変身する体質となり、ロス父娘を負傷させ、大学の研究室を破壊してしまった。そのためロスら軍から追われる身となり、5年間リオデジャネイロで潜伏生活をおくりながら、“ミスター・グリーン”のハンドルネームを名乗り、スターンズと身体の治療法探しに連絡し合うこととなった。だがロスに居場所を突き止められてしまい、ブロンスキーら特殊部隊に再び追われることとなる。
ハルク(声):ルー・フェリグノ
大量のガンマ線を浴びたブルースが変身した緑色の大男。カルバー大学構内での戦闘を目撃した男子学生により“廃船(ハルク)”の呼び名となった。基本的にブルースとしての理性はなく、単語のみの簡易的な発声しかしない。敵味方関係なく暴れて周囲を破壊しつくすように思われがちだが、ブルースが心底大切にしている者には、守ろうとする意志も見せる。
エリザベス・“ベティ”・ロス:リヴ・タイラー
遺伝細胞学を専門とする細胞生物学者で、ブルースの恋人。ブルースがハルク化した際に重傷を負ったが、一命を取り留めた。ロスの娘だが、母親を早くに亡くし、父親とはブルースの一件も手伝って疎遠になるほど不和な関係となっている。
ブルースが消息を絶った後はレナードと交際していたが、ブルースを心から愛する想いを捨てきれずにいたため、彼を発見した際にはいち早く接触し、身体の治療に奔走するブルースを危険に巻き込まれながらも全力で支える。
エミル・ブロンスキー / アボミネーション:ティム・ロス
39歳。ロシア生まれで英国育ち。海兵隊にて数々の戦績を挙げた兵士で、ロスに召集された精鋭隊員の中でも“最強”と評される。特殊部隊へ召集され、想像を絶するハルクとその力に対抗するため、同等以上の力を望んで実験段階を終えていた超人血清を投与されたが、ハルクには全く通用せず、更に過剰な力を求めてブルースの血液サンプルを取り込んで、やがて“アボミネーション”へと変貌してしまう。
アボミネーション
超人血清を過剰投与されたブロンスキーがブルースの血液サンプルを取り込み変身した怪物。ハルクと同等の身体能力と、互角以上に殴り合うほどの戦闘能力を発揮するが、ハルクと違って理性は存在するものの、余りのパワーで暴走を始めてしまう。
サディアス・E・“サンダーボルト”・ロス:ウィリアム・ハート
アメリカ陸軍将軍。5年前にスーパーソルジャー計画を再開させた責任者であり、実験失敗でハルク化したブルースによって娘のベティと共に負傷する。それ以降、行方を晦ましたブルースを目の敵・「軍の所有物」と見做し、スーパーソルジャー計画続行と実験失敗の事実の隠蔽のためにブルースの行方を捜索し続けており、招集したブロンスキーら特殊部隊を率いてブルース/ハルクを追い詰める。
サミュエル・スターンズ:ティム・ブレイク・ネルソン
グレイバーン大学の若干落ち着きがない教授で、自らの治療法を探っていたブルースがネットで出会い、連絡を取り合っていた協力者。ハンドルネームは“ミスター・ブルー”。
レナード・サムソン:タイ・バーレル
心理学者で、ブルース失踪後のベティが交際を始めた新しい恋人。ベティとは良好な関係を築いていたが、彼女がブルースと再会するとロスら陸軍に通報してしまう。
なお、原作コミックにおいてハルク同様ガンマ線を浴びた事で超人的なパワーを獲得したドク・サムスンというヒーローと同名である。
キャスリーン・スパー:クリスティナ・カボット
アメリカ陸軍少佐。副官として、ペンタゴン内から実戦現場まで、ロスを補佐する。
ジョー・グレラー:ピーター・メンサー
アメリカ軍の将軍で、ロスの同僚。ブロンスキーら精鋭たちを召喚し、特殊部隊を編成する。
スタンリー:ポール・ソールズ
ピザ屋兼ダイナーの店主。ブルースとベティの良き理解者である。
マルティナ:デボラ・ナシメント
ポルト・ヴェルデで働く若い女性従業員。
タフガイリーダー:ペドロ・サリバン
ポルト・ヴェルデで働く中年グループのリーダー。ポルトガル語を上手く話せないブルースに日常的に嫌がらせを行なっている。
合気道のインストラクター:ヒクソン・グレイシー
リオデジャネイロの道場で、ブルースに合気道とヨガを伝授した人物。
ロジャー・ハリントン:マーティン・スター
カルバー大学の学生。ブルースに大学の研究室のパソコンを貸与する。
後年にピーター・パーカー/スパイダーマンが通う“ミッドタウン高校”の教師になる。
ジャック・マクギー:ニコラス・ローズ
カルバー大学の学生で、校内新聞の記者。ハルクと特殊部隊の戦闘を携帯電話で撮る。
ジム・ウィルソン:P.J.・ケル
カルバー大学の学生。ジャックと共にハルクと特殊部隊の戦闘を目撃する。
ミルウォーキーの男:スタン・リー
ミルウォーキーに住む老人。ブルースの血液が混入したガラナ・ソーダを飲んでしまい、身体に悪影響を及ぼす。この一件が、本編の発端となる。
タクシードライバー:リック・コーデイロ
ニューヨークでブルースとベティを自身のタクシー乗せた運転手。
トニー・スターク / アイアンマン:ロバート・ダウニー・Jr
パワードスーツを身に纏ったヒーロー“アイアンマン”である天才発明家。本作ラストに登場する。
彼がロスとの交渉に現れた理由と、その結果は『マーベル・ワンショット』の『相談役』で明らかとなる。