ウルフ・オブ・ウォールストリートは、2013年公開のアメリカ合衆国の映画。ウォール街の証券会社に就職したジョーダン・ベルフォートは、トレーダーとしてデビューを飾る日に失業してしまう。だが一攫千金を夢見る彼はドラッグのディーラーを雇い株式会社を設立、巧みな話術でペニー株を金持ちに売りつける商法でやがて巨額の富を手にする事に…。実在した株式ブローカーの成功と破滅を描く、刺激に満ちたエンターテインメント作品。ジョーダン・ベルフォートの回想録『ウォール街狂乱日記 – 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』(The Wolf of Wall Street)を原作としたマーティン・スコセッシ監督作品である。脚本はテレンス・ウィンターが執筆し、レオナルド・ディカプリオがベルフォートを演じるほか、ジョナ・ヒル、ジャン・デュジャルダン、ロブ・ライナー、カイル・チャンドラー、マシュー・マコノヒーらが共演する。日本公開版ポスターのキャッチコピーは「貯金ゼロから年収49億円 ヤバすぎる人生へ、ようこそ。」。
ウルフ・オブ・ウォールストリート 映画批評・評価・考察
ウルフ・オブ・ウォールストリート(原題:The Wolf of Wall Street)
脚本:35点
演技・演出:19点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計90点
映画化の権利をディカプリオとブラッド・ピットが競ったのが今作。マーティン・スコセッシにしては感性が若くて斬新な映像なのはプロデューサーとしてのディカプリオの手腕が冴えてるからのように思えます。過去作と受ける印象の違いは、演出されているモノの違いで、同じ撮り方なのに、こうも受ける印象が変わるものなんだなと感心してしまいます。古典的な演出を感性次第でいくらでも新しくできるという意味ではスコセッシのような巨匠に俳優として経験値の高いディカプリオの独特の感性が加わるのは、とても良いことだと思えました。
この映画は、『需要と供給』を経済のメカニズムを描いているわけですが、ドラッグこそ、まさにそれだ!ってことを言いたいわけではなく、世の中の真理をある意味、分かりやすく表現した作品だと思います。
ニーズを生む方法という一見ビジネス書に書いてそうなことですが、実は人を騙し、陥れ、洗脳し、支配するといったネガティブをポジティブに描いているというのが、ブラックユーモア過ぎて笑えるのですが、本当に意味がわかっている人が何人いるんだろうか?と思う映画でもあります。
ウルフ・オブ・ウォールストリート あらすじ(ネタバレ)
22歳で結婚したジョーダン・ベルフォートは、金持ちになる野望を抱きウォール街の投資銀行・LFロスチャイルドに入社。そこで風変わりな上司・ハンナとランチを共にし、この世界ではコカインとリラックスが成功する秘訣と教えを受ける。半年かけて株式仲介人の資格を取り、意気揚々と出社した日に「ブラックマンデー」に襲われ、会社は倒産。失業したジョーダンは新聞の求人欄で家電量販店の倉庫係に目をつけるが、妻が「株式仲買人」の求人を見つける。コンピュータもない粗末な事務所を訪ねると、扱うのは1株6セントなどの店頭株だけだが、手数料は50%だと説明され意欲を出す。巧みなセールストークであっさり2000ドルを稼ぎ皆から英雄扱いされる。こうしてジョーダンはクズ株を売り続けボロ儲けした。
稼ぎで購入したジャガーを駐車場に停めていると、家具屋のドニーが声をかけてきた。月収を聞かれ7万ドルだと教えると、ドニーは下で働くという。その後お礼としてクラックを勧められ一緒にハイになった。ガレージを事務所に借り会社を始め、マリファナの売人を営業マンとして雇用した。ジョーダンは社員にペンのセールスを例に手本を見せた。「このペンを売るには、相手にナプキンに名前を書けと言え」とセールスの基本である需要と供給を教える。
妻から貧困層を相手にしていることを咎められたことをきっかけに、全米上位1%の金持ちを相手に変え、社名もストラットン・オークモント社に変えた。一流銘柄で取り入りクズ株を買わせ利益を出す戦略は功を制し、会社は急成長した。フォーブス誌の取材に応じ「ウルフ」と悪名がつくも、その名は若者にも知られることとなり、入社希望者が大挙して押し寄せるようになった。そのまま勢いがつき、スティーブ・マデンというドニーの同級生の靴会社を新規公開株として非合法に儲けることに成功する。自宅のパーティに出席したナオミに一目惚れし不倫関係になり、妻と離婚。再婚後はナオミという大型クルーザーを購入するなど私生活も順調に進んでいた。
しかし、ある連邦捜査官が株価の不審な動きに疑問を持ち、内偵を進めているとの情報が知り合いで元刑事の私立探偵から入る。自ら連絡を取るのは危険だと警告を受けるも、ジョーダンは自分のクルーザーへ招待する。巧みな話術で取り込もうとするが、買収するのかと脅かされクルーザーから追い出す。
当局の動きに焦りスイスの銀行に資産を隠そうとするが、口座はヨーロッパ人でないと開設できないと言われ、ロンドンのナオミのおばに頼み込む。ドニーも自分の資産を運ぼうとするも、仲間ブラッドと警官の前で派手な喧嘩をしてしまい計画は頓挫。ブラッドは逮捕。ヤケになったドニーは古い鎮静剤(通称レモン714)をジョーダンにプレゼントし二人で飲むが全く効果がなく大量に服用する。そんな中、突然元刑事の私立探偵から電話があり、自宅と会社が盗聴されているという情報が入る。盗聴されないよう公衆電話のあるカントリークラブへ向かい、詳細をやりとりしているうちに遅れてきた薬の効能で卒倒する。なんとか這いずりランボルギーニで帰宅するも、翌朝目覚めた時には奇跡的に無傷ではあったが、車は大破していた。
当局に目をつけられたジョーダンに対し、顧問弁護士は司法取引と辞職を勧めるも、辞任の挨拶を社員の前でスピーチしているうちに気が変わり撤回。すぐにマデンの株の件で政府から召喚状が届くが、ジョーダンをはじめ社員はしらを切る。出国を禁止されているのにもかかわらずクルーザーでイタリアに行くと、マデンが大量の自社株を売ったことやナオミのおばが急死した連絡が入り、急いでスイス銀行に向かうも、クルーザーは嵐で遭難してCOMSUBINに救助される。
多数の罪状で有罪になるも、4年の減刑の代わりに盗聴器をつけてウォール街の仲間の情報を集めるよう、FBIから司法取引を持ちかけられ協力する。家に帰るとナオミが離婚を切り出し親権を巡って口論となり、子供を奪い車で逃走しようとするも、ハイになっており事故を起こす。その後、盗聴をする際にドニーを庇ったメモが決め手となり逮捕。吹っ切れたジョーダンは仲間の情報を売り3年に減刑され収監。初めは怖気ずくも、刑務所内で買収しテニスをして優雅に過ごす。
数年後、ニュージーランドで講演を行う姿があった。彼は「このペンを売ってみろ」と語りだした。
ウルフ・オブ・ウォールストリート スタッフ
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:テレンス・ウィンター
原作:『ウォール街狂乱日記 – 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』ジョーダン・ベルフォート
製作:リザ・アジズ,ジョーイ・マクファーランド,レオナルド・ディカプリオ,マーティン・スコセッシ,エマ・ティリンジャー・コスコフ
製作総指揮:アーウィン・ウィンクラー,ジョージア・カカンデス,アレクサンドラ・ミルチャン
音楽:ハワード・ショア
撮影:ロドリゴ・プリエト
編集:セルマ・スクーンメイカー
製作会社:レッド・グランティ・ピクチャーズ,アッピアン・ウェイ・プロダクションズ,シケリア・プロダクションズ,EMJAGプロダクション
配給:パラマウント映画
ウルフ・オブ・ウォールストリート キャスト
ジョーダン・ベルフォート – レオナルド・ディカプリオ
ストラットン・オークモント社 社長。
ドニー・アゾフ – ジョナ・ヒル
ストラットン・オークモント社 副社長。
ナオミ・ベルフォート – マーゴット・ロビー
ジョーダンの妻/元モデル。
マーク・ハンナ – マシュー・マコノヒー
投資銀行 LFロスチャイルド社 ベルフォートの上司。
ピーター・デブラシオ – バリー・ロスバート
投資銀行 LFロスチャイルド社 株式仲買人。
パトリック・デナム – カイル・チャンドラー
FBI捜査官。
マックス・ベルフォート – ロブ・ライナー
ジョーダンの父親/会計士。
リー・ベルフォート – クリスティーン・エバーソール
ジョーダンの母親。
ブラッド・ボブニック – ジョン・バーンサル
ドラッグの売人。
チャンテル – クリスティーナ・キャス
ブラッドの妻。
マニー・リスキン – ジョン・ファヴロー
ジョーダンの弁護士。
ジャン=ジャック・ソーレル – ジャン・デュジャルダン
スイスの銀行家。
テレサ・ペトリロ – クリスティン・ミリオティ
ジョーダンの元妻。
ニッキー・コスコフ(ラグラット) – P・J・バーン
ストラットン・オークモント社 社員(設立メンバー)。
チェスター・ミン – ケネス・チョイ
ストラットン・オークモント社 社員(設立メンバー)。
ロビー・ファインバーグ(ピンヘッド) – ブライアン・サッカ
ストラットン・オークモント社 社員(設立メンバー)。
オールデン・クッファーバーグ(シー・オッター) – ヘンリー・ジェブロフスキー
エマ叔母さん – ジョアンナ・ラムレイ
ナオミの叔母。
ドウェイン – スパイク・ジョーンズ
ペニー株会社 経営者。
テッド・ビーチャム – シェー・ウィガム
トビー・ウェルチ – イーサン・サプリー
フランク・ベリー – マーティン・クレバ
ヘイディ – マディソン・マッキンリー
ベニハナCM‐ロッキー青木
裁判官 – フラン・レボウィッツ
オークランド・ストレート・ラインのホスト – ジョーダン・ベルフォート
終盤ジョーダンを紹介したニュージーランドの司会者。
スティーブ・マデン – ジェイク・ホフマン