CASSHERN(キャシャーン)(実写版)は、2004年公開の日本映画。架空の世界を舞台に、人類と新生命体との戦いを収めるべく立ち上がった新造人間・キャシャーンの活躍を描いたSFアクション。映像作家・紀里谷和明の商業映画監督デビュー作品。主題歌を妻(当時)の宇多田ヒカルが担当して話題になった。
CASSHERN キャシャーン 映画批評・評価・考察
CASSHERN(キャシャーン)
脚本:20点
演技・演出:17点
撮影・美術:18点
編集:7点
音響・音楽:8点
合計70点
見所はあるものの、面白くはない映画。
テーマが重く、映像美や俳優陣の演技力の割にストーリーが入ってこない。紀里谷和明監督も樋口真嗣監督、山崎貴監督と似た特質を持つ(突出した才能はあるが総合演出力が無い)のかなというのが正直な感想。
元々4時間を超える内容だったものを141分に圧縮していることもあり、説明不足のシーンが多く「よく分からない映画」の原因になっている。戦争の醜さを表現しているシーン(回想)が多々あるが、つまらなくしている原因のひとつがこれだ。ブライキング・ボスの設定もこれを描きたかったからジェノサイドの犠牲者(鉄也は加害者)という伏線を作ったように見える。ただ、戦争シーン(回想)全般はモノクロで描いているものの、映画全体の雰囲気と大きく違うため違和感がかなりある。戦争回想シーンだけベトナム戦争映画風なのもどうなんだろう演出になってしまった。
上記のように否定的な評価も多かったが、製作費6億円に対して興行収入は約15億3000万円を記録し、まずまずの成功をおさめた。元々は予算6000万円ほどのインディーズ規模だったが、結婚後一気に名が知れ渡り、スポンサー数が増え、制作費が増えたという。
CASSHERN キャシャーン あらすじ(ネタバレ)
現実とは異なる歴史を歩んだ世界。超大国大亜細亜連邦共和国はヨーロッパ連合との50年の長期大戦に勝利したが、国土・人心は荒廃しきっていた。環境破壊と汚染は深刻で公害病は蔓延し、人種階級差別を是とする政策へ反発する内紛も各地で起きていた。
遺伝子工学の第一人者である東博士(演:寺尾聰)は画期的な再生医療を可能とする新理論「新造細胞」を発表。実用化のため理解と支援を広く求めたが、学会の反応は冷たかった。しかし軍上層部が興味を示し、貿易商社・日興ハイラルの社員・内藤(演:及川光博)を通じ支援を申し出る。難病を患う妻ミドリ(演:樋口可南子)のためにも、一刻も早く研究を完成させたい東博士は申し出を受ける。
東博士の一人息子の鉄也(演:伊勢谷友介)は、長年研究のみに没頭し続ける父への反発から従軍を決意する。東博士は鉄也の婚約者ルナ(演:麻生久美子)や病のミドリのためにも思いとどまるよう促すが、鉄也は余計に反発してしまう。鉄也は激戦区の第七管区に派兵され、ある日上官(演:寺島進)に強要されるまま無抵抗の女性住民を撃ち殺してしまう。
1年後、鉄也は作戦中に戦死する。陸軍本部に鉄也の遺体が届く頃、異形の稲妻が建物を貫き、同施設内の東博士の研究所では異変が始まる。新造細胞培養槽の生体部品群がひとりでに結合を始め、無数の人の姿となって蘇生を始めた。何かに気づいた内藤は即時に蘇生体殲滅を指示し、数百の蘇生体が再び惨殺される。
奇跡的に逃げ延びた蘇生体のリーダー「ブライキング・ボス」(演:唐沢寿明)は仲間の「サグレー」(演:佐田真由美)「バラシン」(演:要潤)「アクボーン」(演:宮迫博之)と共に自らを「新造人間」と名乗り、人類への復讐を誓う。一方、東博士はなにかを確かめるように鉄也の遺体を培養槽に浸す。すると鉄也は息を吹き返した。放浪の末に大量のロボット兵器群を発見し、人類へ宣戦布告した新造人間。死から蘇ると同時に彼らと同じ超人的身体能力を宿した鉄也。運命は数奇にもつれていく。
上月博士の開発したボディスーツを着用し、新造人間“キャシャーン”として生まれ変わった彼は、新造人間たちとの共存への道を模索しながら、しかし戦いを強いられていく。そして、破滅。だが、キャシャーンは愛する恋人・ルナの魂と共に憎しみのない世界の創世を夢見て、新天地へと飛び立つのであった……。
CASSHERN キャシャーン スタッフ
原作:吉田竜夫 / タツノコプロ『新造人間キャシャーン』
監督・撮影監督:紀里谷和明
脚本:紀里谷和明、菅正太郎、佐藤大
音楽:鷺巣詩郎
プロデュース:宮島秀司、小澤俊晴
プロデューサー:若林利明
美術:林田裕至
撮影:紀里谷和明、森下彰三
照明:渡部嘉
録音:矢野正人
衣装:北村道子
装飾:赤塚佳仁
音響効果:柴崎憲治
ヘアメイクデザイン:稲垣亮弐
アクション監督:諸鍛冶裕太
バトルシーンコンテ:樋口真嗣
コンセプチュアルデザイン:木村俊幸、庄野晴彦、D.K、林田裕至
VFXスーパーバイザー:木村俊幸
CG監督:野崎宏二
CGスーパーバイザー:庄野晴彦
プロダクションデザイナー:林田裕至
助監督:野間詳令
制作担当:武石宏登
ラインプロデューサー:椋樹弘尚
アソシエイトプロデューサー:野地千秋、田中誠、姉川佳弘
音楽プロデューサー:高石真美
製作:CASSHERNパートナーズ(松竹、プログレッシブピクチャーズ、エレクトリック・ゴースト、衛星劇場、テレビ朝日、朝日放送、タカラトミー、伊藤忠商事、TOKYO FM、イーンソリューションズ、菱和ライフクリエイト、ビッグショット)
テーマソング
宇多田ヒカル「誰かの願いが叶うころ」
挿入歌
椎名林檎「茎(ステム)」
MONDO GROSSO「LIKE NO ONE’S LOOKING」
HYDE「MASQUERADE」
TOWA TEI「ORIGINAL HUMAN」
ACIDMAN「水写」
SS:ST(Shiro SAGISU & Satoshi TOMIIE)「Pluriel」
鬼束ちひろ「BORDERLINE」
THE BACK HORN「レクイエム」
GLAY「無限のdeja vuから?Peaceful Session?」
CASSHERN キャシャーン キャスト
東鉄也 / キャシャーン(元兵士、新造人間) – 伊勢谷友介(幼少期:寺島涼音)
上月ルナ – 麻生久美子(幼少期:森迫永依)
東博士 – 寺尾聰
東ミドリ – 樋口可南子
上月博士 – 小日向文世
アクボーン(新造人間) – 宮迫博之
サグレー(新造人間) – 佐田真由美
バラシン(新造人間) – 要潤
上条ミキオ / 上条中佐 – 西島秀俊
内藤薫(日興ハイラル社員) – 及川光博
ルナの母親 – 森口瑤子
ブライキング・ボスの妻 – 鶴田真由
ブライキング・ボスの子 – 福島翔大
坂本(東鉄也の従軍時代の上官) – 寺島進
関口(東鉄也の従軍時代の戦友) – 玉山鉄二
池上(東ミドリの助手) – りょう
上条又一郎 / 上条将軍(上条中佐の父) – 大滝秀治
老医師 – 三橋達也(特別出演)
ブライキング・ボス(新造人間) – 唐沢寿明
老軍人 – 伊藤幸純、山本哲也、児玉頼信、戸沢佑介
東博士の助手 – 戸田昌宏、亀石太夏匡、伊藤淳史、水谷ノブ
聴衆 – 坂本宗一郎、桜井聖
虐殺される民間人 – HISASHI & TAKURO (GLAY)
オープニングナレーション – 納谷悟朗