奇蹟の輝き(きせきのかがやき)は、1998年公開のアメリカ合衆国の映画。幻想作家リチャード・マシスンの原作。地獄に落とされた愛する妻を救うべく天国を抜け出した男の冒険をSFXを駆使した驚異の映像で綴ったファンタジー映画。天国の世界を油絵タッチのCGで表現し、話題を呼んだ。第71回アカデミー賞 視覚効果賞受賞、美術賞ノミネート。
奇蹟の輝き 映画批評・評価・考察
奇蹟の輝き(原題:What Dreams May Come)
脚本:30点
演技・演出:18点
撮影・美術:20点
編集:9点
音響・音楽:8点
合計85点
原題のWhat Dreams May Comeの意味は、どんな夢を見るのか?という意味で、シェイクスピアの『ハムレット』からの引用と考えられます。ハムレットでは、死という夢の中でどんな夢をみるのか?と綴られています。
原作者のリチャード・マシスンは、スピルバーグのデビュー作『激突』の原作・脚本や『ヘルハウス』の原作・脚本、『地球最後の男』『アイ・アム・レジェンド』等の原作者として知られています。SFを得意とした、どちらかというとホラーよりの作品が多いように思います。
今作品の現実世界の設定は、まさに絶望です。主人公の長男と長女が事故死、しばらくして主人公が事故死、妻がすべてに絶望し自殺。そういうところからスタートするという恐ろしすぎる内容です。
深い闇の中に落ちて行った愛する妻を救うべく、天国にいた主人公の冒険ファンタジーとなりますが、前述の記述からも、表現の仕方や俳優の演技次第では、ホラー映画になってもおかしくない脚本です。
キリスト教に限らす、ユダヤ教、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教においても自殺は罪深い行為とされるので、いかなる理由があるにせよ、地獄に落とされるか、それ以上の苦しみを受けることとされています。宗教観が薄い日本人には少し理解しにくい点かもしれません。
そういう絶対的タブーを描きながらも、死の世界へ行っても愛は奇蹟を起こせるという強いメッセージがこの映画にはあります。
奇蹟の輝き あらすじ(ネタバレ)
医師のクリス(演:ロビン・ウィリアムズ)は愛する妻アニー(演:アナベラ・シオラ)と二人の子供イアン(演:ジョッシュ・パドック)とマリー(演:ジェシカ・ブルックス・グラント)に恵まれて、幸せな日々を送っていたが、ある日不慮の事故で子供たちを失い、悲しみに沈む。
ほどなく、彼自身も事故で命を落とし、天国へと召された。かつての恩師アルバート教授(演:キューバ・グッディング・ジュニア)と出会い、彼に導かれてロマンティックな天国で歓喜に浸るクリスだったが、地上では子供と夫に先立たれたアニーが悲しみのあまり自殺してしまった。
自殺した者は地獄へと落とされてしまう。これを知ってショックを受けた彼はアニーを救うために天国を出て地獄へと旅立つ決心をする。アルバートは彼を死後の世界の道案内人トラッカー(演:マックス・フォン・シドー)の元へ連れて行く。
案内人はクリスにアニーはクリスに会っても彼が誰か分からないだろうと告げるが、クリスの決意は固い。
クリスは地獄の世界でアニーを探し求め、ついに彼女を見つけるが、アニーはやはり彼が誰か分からなかった。だが、アニーを思うクリスの愛が奇蹟をもたらすのだった。
奇蹟の輝き スタッフ
監督:ヴィンセント・ウォード
脚本:ロナルド・バス
製作:スティーヴン・サイモン,バーネット・デイン
製作総指揮:ロン・バス,テッド・フィールド,スコット・クルーフ,エリカ・ハギンズ
音楽:マイケル・ケイメン
撮影:エドゥアルド・セラ
編集:デヴィッド・ブレナー,メイジー・ホイ
配給:ヘラルド
奇蹟の輝き キャスト
クリス・ニールセン:ロビン・ウィリアムズ
アルバート・ルイス(イアン・ニールセン):キューバ・グッディング・ジュニア
アニー・コリンズ=ニールセン:アナベラ・シオラ
道先案内人トラッカー(アルバート・ルイス教授):マックス・フォン・シドー
マリー・ニールセン:ジェシカ・ブルックス・グラント
イアン・ニールセン:ジョッシュ・パドック
リオナ(マリー・ニールセン):ロザリンド・チャオ
フェイス:ヴェルナー・ヘルツォーク
ジェイコブス夫人:ルシンダ・ジェニー
ハンリー牧師:マット・サリンジャー
アンジー:ウィルマ・ボネット