ゼイラムは、1991年公開の日本映画。異形の凶悪犯ゼイラムとバウンティハンターのイリアの死闘を描いたSFアクション映画。監督の雨宮慶太の初劇場公開作品。雨宮は元々オリジナルビデオ作品『未来忍者 慶雲機忍外伝』(1988年)の続編を企画しようとしていたが実現せず、3000万円ぐらいの低予算の中で出来る作品を再考し、本作の製作に至った。脚本を執筆したのは雨宮と、視覚効果スーパーバイザーとして著名な松本肇。彼以外にも三池敏夫、竹谷隆之、寺田克也ら、後に我が国のビジュアル・シーンをリードするメンバーが数多く参加している。
ゼイラム 映画批評・評価・考察
ゼイラム
脚本:20点
演技・演出:14点
撮影・美術:16点
編集:6点
音響・音楽:6点
合計62点
『牙狼』の原点と評される作品です。当時の雨宮慶太監督と言えば、ハカイダーかゼイラムかと言われるくらいオタク層には有名な作品です。当時の特撮技術では画期的な作品ですが、今見ると昔見た変身ヒーローの特撮感が拭えません。コンセプトはあっても、ストーリーらしいものがほぼなく、イリアVSゼイラム+男2人を見る作品です。今作が挑戦的だったこともあり課題が見えた作品で『ゼイラム2』で飛躍的に改善されています。今や牙狼のゴンザ役のイメージでほぼ固まっている螢雪次朗が若いし、筋肉質なのが驚きです。
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ゼイラム あらすじ(ネタバレ)
大宇宙の片隅のとある街、護送中の戦士が逃亡した。すかさずそれを追う兵士達。しかし、一瞬のうちに辺りは血の海になり、飛び散る腕、足、胴体……。ボロボロのマントを羽織った戦士の名はゼイラム、伝説の不死身のエイリアンだ。そのゼイラムが太陽系7番目の惑星、地球に逃げ込もうとしていた。当局からゼイラム逮捕を請け負った女バウンティ・ハンター“イリア”と相棒のコンピューター“ボブ”は、一足早く地球へ潜り込むが、未知の惑星で仕事をするには様々な掟がある。宇宙法に定める地球の文明度数は36/100。あらゆる活動の痕跡を残してはならないため、やむなく彼らは擬似空間=ゾーンをゼイラムの侵入進路に張り巡らすことにした。その中でなら地球人に気付かれずに奴と戦うことができるのだ。
物体転送機の準備は整った。しかし、イリアだけでなく、地球人の神谷と鉄平の二人も一緒にゾーンの中に転送されてしまう。時間がない! 二人を巻き込んだまま、ゼイラムとの熾烈な戦いの火蓋は切って落とされた!! 一歩も引かぬ構えで対峙するイリアとゼイラム。ありとあらゆる銃弾、砲弾を駆使した二人の気がぶつかりあうが、ついに弾が尽き、それぞれのエネルギーも切れてきた。目にも止まらぬスピードでゼイラムにパンチや蹴りを浴びせるイリアをもろともせず、反撃してくるゼイラム。ゼイラムの満身の力を込めた一撃がイリアの頭上に振りおろされようとした瞬間、イリアはボブの指示でゼイラムをフリーズ(セーブ)し、転送しようとするが、ゼイラムの手下のグロテスクな小怪物リリパットのせいでイリアだけが転送され、転送機も破壊されてしまう。
ゾーン内に取り残された鉄平、神谷の前に息を吹き返したゼイラムが襲い掛かる。転送機の修理には2時間、そしてゾーンはあと3時間で消滅してしまう。イリアは仕方なく事の成り行きを二人に説明し、彼らをゼイラムと戦わせることにする。そして、ようやくイリアの転送が成功。すかさず放ったイリアのバズーカがゼイラムの体を貫いた。燃え尽きてほとんど骸だけになりながらも、再び反撃を開始するゼイラム。ゾーンの残り時間はあと15分しかない。追い詰められたイリアは許可のないメティス砲を使うことを決意する。危機一髪のところで、メティス砲が命中。燃えカスとなったゼイラムだが、円盤状の頭蓋骨だけが焼け残った。証拠としてそれをセーブして転送。戦いは終わったかに見えたのだが……。
ゼイラム スタッフ
監督: 雨宮慶太
原作: 松本肇
脚本: 雨宮慶太/松本肇
撮影: 本所寛
音楽: 太田浩一
美術: 高橋昭彦(現・井口昭彦)/三池敏夫
照明: 保崎芳美
ゼイラム キャスト
イリア(ヒロイン。マイス星系の捜索者): 森山祐子
神谷(ゾーンに巻き込まれた電気工): 螢雪次朗
鉄平(ゾーンに巻き込まれた電気工。神谷の後輩): 井田州彦
ゼイラム(敵。凶暴な宇宙生物で寄生生物。): 吉田瑞穂
ボブの声(イリアの相棒の人工頭脳): 半田雅和
村田: 栩野幸知
モモンガのママ(神谷いきつけの飲み屋の女将): 紅理子
電気屋店主: 江並直美
リリパット: 粟国真弓
通行人: 桂正和