首都消失(しゅとしょうしつ)は、1987年公開の日本映画。SF作家小松左京の同名小説を映画化。首都東京の上空を雲が覆い、連絡がとれなくなり、日本がパニックに陥るというSFパニック映画。
首都消失 映画批評・備忘録
首都消失(しゅとしょうしつ)
脚本:15点
演技・演出:14点
撮影・美術:15点
編集:6点
音響・音楽:7点
合計57点
予告編の完成度が高く、本編が残念だったのが今作。劇場で予告編を見た時に、うわ~なんかすごい映画かもぉ~と思っていたものの、いざ本編を見ると、なんだこの意味不明さはと落胆しました。題材はすごく良いと思うのですが、『日本沈没』『復活の日』のような規模で描くわけでもなく、引き裂かれた家族ドラマを描くにしても中途半端です。首都が消失=○○○、日本はどうなる?に対するアンサーが全くありません。天皇、閣僚、政治家、大企業の本社など、いきなりこれらが消えてしまったら?何が起きるのか?そういうのは全く描かれない。状況確認をひたすらやっている映画で、プロローグで終わった感がありました。
首都消失 あらすじ(ネタバレ)
ある夏の朝、東京は濃い霧に覆われた。夫と別れ幼い娘を母梅子に預けて、TVリポーターの仕事をしている小出まり子は、恋人で関西放送の報道マンの田宮洋介と駅で別れて新幹線に乗り込んだ。名古屋で北斗電機の技術開発部長朝倉達也も乗り込む。仕事にかまけて家庭を省りみない彼と妻の由美子との間には溝が生じていた。東京は霧に包まれてしまい、中に入ることはおろか、すべての通信がとだえてしまう。朝倉は列車で会った高校時代の友人で目衛隊二佐の佐久樹が呼んだ車に同乗、他にまり子、大臣の秘書三好も乗り込む。朝倉は厚木にある北斗電機の研究所に行く。まり子も一緒だ。そこには部下の安原、竹田、バイトの女子大生松永美恵子の他に、電子工学の権威である大田原教授もいて物体0と名づけられた雲の研究に当ることになった。田宮は川村報道部長に尻をたたかれ、小山カメラマンとともにヘリで東京へ向かい、上空にある巨大な雲を見て驚く。田宮の友人で商社マンの浦部は、早速、建築資材などを買う交渉をする。田宮はまり子と合流して取材に当ることになった。朝倉に惹かれていくまり子に、つい憎まれ口をきく田宮。三好は箱根で病気療養中だった保守党の前幹事長中田にとり入り、彼の擁立を画策する。政府なき日本に米ソの関心が高まる。小室大阪府知事は全国知事会議を国政機関にしようと提案する。朝倉は米軍機EP3Eに同乗。しかし、稲妻が機を襲い朝倉は重傷を負う。うわ言に妻子のことをつぶやくのを聞き、彼のことをあきらめるまり子。雲に電磁気エネルギーを与えればすき間ができるのではという朝倉の提案で、電磁気砲が作られた。台風下に砲を向けた朝倉は雲のために、負傷する。代りに田宮が向かい、雲にトンネルをあげ、まり子と一緒に中へ。二人はそこで犬を発見し喜びながら、さらに進んで行った。
原作との相違点
シミュレーションノベル的性格の強い原作に対し、映画は家族の絆を強調したハリウッド風の作品となっている。前半のストーリーはほぼ原作をなぞっているが、後半は原作とは異なり「雲」に閉じ込められた人々の救出を試みる設定となっており、それに尽力する人々の姿を描いている。原作では暫定統治機構が成立しているが、映画では発足までは至っていない。暫定統治機構設置を求める中心人物小室も兵庫県知事から大阪府知事に変わっている。アメリカによる国連信託統治案が安全保障理事会に提出されたことを察知して、中田議員により臨時代行政府発足を宣言した後に「雲」が晴れたため、実際に機能していない。また、「雲」が「物体O」と呼称されている場面が存在する。また、物語に深く関与していくマスコミ関係者のジャンル(所属)は、原作では九州の新聞社であったが、映画では関西のテレビ局へと変更されている。
首都消失 スタッフ
監督:舛田利雄
脚本:山浦弘靖,舛田利雄
原作:小松左京
製作:徳間康快,村上七郎
音楽:モーリス・ジャール
撮影:飯村雅彦
編集:谷口登司夫
製作会社:関西テレビ,徳間書店,大映映画
配給:東宝
首都消失 キャスト
渡瀬恒彦:朝倉達也(42、北斗電機技術開発部長、神奈川県川崎市百合ケ丘)
名取裕子:小出まり子(29、フリーキャスター、東京都杉並区)
山下真司:田宮洋介(35、関西放送報道部員)
石野陽子:松永美恵子(18、女子大生。北斗電機研究所アルバイト)
大滝秀治:大田原権造(61、筑波大学電子工学教授<物性物理学>・北斗電機技術顧問)
夏八木勲:佐久間英司(47、航空自衛隊二等空佐、朝倉のクラスメート)
財津一郎:川村(52、関西放送報道部長)
ぼんちおさむ:小山(32、関西放送報道部カメラマン)
津村隆:浦部(43、商社マン)
松村冬風:松尾豊(20、盲目の学生ボランティア、ロックシンガー)
江角英明:竹田(北斗電機研究所員)
岸部一徳:安原(北斗電機研究所員)
並木史朗:吉武(北斗電機研究所員)
星正人:北斗電機研究所員
苅谷俊介:森田(関西放送報道部員・気象担当)
平泉征:和田(関西放送社会部デスク)
宮内洋:関西放送外信部デスク
平淑恵:朝倉由美子(32、朝倉の妻)
濱田万葉:朝倉佐和子(12、朝倉の娘)
三木のり平:木村松吉(62、双子の祖父)
浅利香津代:木村光子(42、双子の母)
海老名みどり:安原敬子(32、安原の妻)
加藤治子:小出梅子(64、まり子の母)
青木義朗:末富海将
児玉謙次:荒木空将補
相馬剛三:谷崎陸将補
ドン・ノード:ローガン准将(横田基地司令官)
ジョー・グレイス:グレイス中佐
デビッド・ワインバーグ:フォード大佐
クリスティン・マレン:ローラ中尉
ジェリー・L・インマン:バーナード博士
トム・キロー:EP3E(アメリカ海軍哨戒機)機長
不破万作:国鉄東海道新幹線車掌
山本亘:城南医大・久保教授
丹波義隆:駿河テレビディレクター
うえだ峻:関西放送取材ヘリ・パイロット
安井昌二:大槻駐米大使
田口計:植草駐英大使
入江正徳:北海道知事
梅野泰靖:愛知県知事
尾形伸之介:鹿児島県知事
久遠利三:福島県知事
河合絃司:兵庫県知事
竜雷太:堀江(46、外務省国際局次長、東京都目黒区)
渡辺文雄:小室達夫(57、大阪府知事)
石橋蓮司:三好大一郎(45、郵政大臣秘書)
丹波哲郎:中田代議士(64、前民主党幹事長)
清水大敬、浜田晃、毛利八郎(関西テレビアナウンサー)、飯島大介、大塚国夫、栩野幸知 ほか