里見八犬伝(さとみはっけんでん)は、1983年公開の日本映画。里見家の姫と八犬士の一人との恋をベースに、悪の妖怪軍団と戦う犬士達の姿を描く。滝沢馬琴著『南総里見八犬伝』に新解釈を加えた鎌田敏夫原作『新・里見八犬伝』を映画化。1984年の配給収入では邦画1位の23億2000万円。映画公開と同時に発売されたビデオも5万本、7億円を売り上げた。日本映画で初めて特殊メイクがクレジットに表示された作品でもある。
里見八犬伝 映画批評・備忘録
里見八犬伝(Legend of the Eight Samurai )
脚本:28点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計75点
娯楽性の高い時代劇で、深作欣二監督の狙い通り、当時としては斬新な映像と音楽、JACの迫力ある殺陣、やや唐突感あるがラブシーンも混ぜて善玉が悪玉を倒す子供から大人まで楽しめる作品になっています。注目は、妖艶な夏木マリの大胆な演技も作品を盛り上げるのに貢献しています。おっぱいを出すシーンについては、夏木が大胆に演じようと「もっと胸見せましょうか?」と言ったら深作監督に「いい、いい、もうそこまででいい」って止められたエピソードがあるくらいです。
京本政樹の美少年ぶりや、岡田奈々の美少女ぶりは、主人公の真田広之と薬師丸ひろ子を食ってしまいそうなほどその美しさに圧倒されます。
里見八犬伝 あらすじ(ネタバレ)
親兵衛は炭焼き小屋で食べ物を恵んだのが、女と分かり、追いかけるが「姫」と呼ぶ男たちに邪魔をされる。
かつて蟇田領主、蟇田定包(ひきたさだかね)は妖婦玉梓 (たまづさ)の色香に迷い、酒池肉林と暴虐の限りを尽くしていた。苦しむ領民の意をくみ取り、里見義実(さとみよしざね)は、彼らを討ちとったが、玉梓は最期に呪いの言葉を遺す。まもなく、玉梓の呪いか里見家は隣国の軍勢に囲まれ落城の危機に瀕す。力尽きた義実は飼い犬の八房(やつふさ)に「敵将の首を討ちとれば娘の伏姫(ふせひめ)を嫁につかわす」と戯言を投げかけ、その夜、八房は見事に敵将の首を討ちとる。君主たるもの約束を違えてはならないと、伏姫は八房と共に山奥へと去るが、伏姫を取り戻そうとした義実の軍の鉄砲より八房をかばった伏姫は死してしまう。しかし死の直前、伏姫の体から仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の各字を刻んだ八つの霊玉が飛び散り、伏姫は「百年の後、この光の玉は八人の剣士となって蘇り、里見の姫を奉じて玉梓の呪いに打ち勝つでしょう」と言い残す。
百年後、妖怪として蘇った玉梓、息子の素藤(もとふじ)は里見家を攻め滅ぼす。ただ一人、落ち延びた里見家の静姫は玉梓の追手から逃れ、それぞれの運命により導かれた八人の剣士と共に玉梓の野望を砕くため、戦いを決意する。剣士が次第に集まるが、けもの罠にかかった静姫がさらわれる。犯人の親兵衛は静姫を侍にしてやるという素藤の許へ連れていく途中、素藤の支配下の安房国の荒廃を目の当たりにする。黒騎馬侍に静姫が見つかり、鐘乳洞に逃げ込む。中にいた道節たちに放り出された親兵衛は黒騎馬たちに捕まり、腕の赤いアザから玉梓の子の転生だと教えられ、御霊様に仕える司祭・幻人によって悪の化身にされる。
ところが、素藤配下の侍大将・現八が親兵衛を連れて城を脱出。現八の懐には霊玉が光り、静姫のいる洞で七人目の剣士として迎えられる。目をさました親兵衛がいきなり静姫に襲いかかる。静姫は「お前に会いたいと思っていた」と親兵衛に話すと、白い閃光が親兵衛を一撃。再び目をさますと腕のアザが消え、二人の間には光り輝く霊玉が現れる。愛し合う二人の前に突如、大蛇が現れて静姫を巻いて去る。霊玉を八個集めた時、伏姫の「この矢を御霊様に向って静姫に引かせなさい」という声が響く。
皆で館山城に向うが、激しい反撃で大広間にたどりつけたのは二人だけ。道節が盾となり、親兵衛が静姫を解き放ち、静姫は御霊様に矢を放つ。玉梓や素藤はミイラと化し、城は崩れ落ちる。親兵衛は静姫を叔父の城へと届ける。別れた親兵衛が七剣士の墓を祀っていると静姫が駆けつけ「城へ戻らん」といい、七剣士の声が二人を励ます。
里見八犬伝 スタッフ
監督 – 深作欣二
製作 – 角川春樹
原作 – 鎌田敏夫 『新・里見八犬伝』
プロデューサー – 佐藤雅夫・豊島泉・菅原比呂志
脚本 – 鎌田敏夫・深作欣二
撮影 – 仙元誠三
美術 – 今村力
主題歌 – ジョン・オバニオン 「里見八犬伝」、「八剣士のテーマ (White Light)」
音楽 – NOBODY・佐久間正英・難波弘之
アクション – JACコマンド
ビデオ合成 – 東通ecgシステム
特撮監督 – 矢島信男
配給 – 東映
里見八犬伝 キャスト
里見家
静姫 – 薬師丸ひろ子
伏姫 ※声のみの出演 – 松坂慶子
光の軍団(八剣士)
犬江親兵衛(仁) – 真田広之
犬坂毛野(礼) – 志穂美悦子
犬村大角(義) – 寺田農
犬塚信乃(孝) – 京本政樹
犬田小文吾(悌) – 苅谷俊介
犬川荘助(智) – 福原拓也
犬飼現八(信) – 大葉健二
犬山道節(忠) – 千葉真一
闇の軍団
幻人 – 汐路章
船虫 – ヨネヤマ・ママコ
妖之介 – 萩原流行
悪四郎 – 浜田晃
浜路 – 岡田奈々
蟇田素藤 – 目黒祐樹
玉梓 – 夏木マリ
その他
蟇六 – 遠藤太津朗
彦爺 – 殿山泰司
太田正春 – 高柳良一
太田資正 – 成田三樹夫
農民 – 小峰隆司
正香 – 北城真記子
小萩 – 賀田裕子
杉倉木曾介 – 鈴木瑞穂
樋上宮六 – 曽根晴美
在村 – 鈴木康弘
案内の侍 – 唐沢民賢
宴の侍 – 石丸謙二郎、畑中猛重
村の子供 – 池田直人、上田絵美
村の老婆 – 岡島艶子
宴の男 – 高野嗣郎
笛の侍 – 清水昭博
毒娘 – 小島憲子,大内弘子,森山啓子,前川恵美子,諏訪裕子,松村真弓
黒鎧武者 – 井上誠吾,関根大学,麿のぼる,小船秋夫,江原政一,白井滋郎,藤沢徹夫,細川純一
代官家来 – 成瀬正,福本清三,峰蘭太郎,平河正雄
配役不明 – 宮城幸生,池田謙治,椿竜二,美柳陽子,稲垣陽子,沢田祥二,山本亨,井上清和