真木栗ノ穴(まきぐりのあな)は、2007年公開の日本映画。四谷ラウンド文学賞を受賞し評論家に絶賛された女流作家・山本亜紀子による異色の小説「穴」を映画化。主人公の真木栗勉を演じるのは、数多くの映画に出演し日本映画界を代表す俳優のひとり、西島秀俊。また、妖しい女を演じるのは『夕凪の街 桜の国』の好演が印象に残る粟田麗。売れない小説家・真木栗の下に官能小説の依頼が舞い込む。しかし、官能小説など書いたこともないため筆が進まない。ある日、彼は部屋の壁に隣室を覗き見ることのできる穴を発見し…。
真木栗ノ穴 映画批評・評価・考察
真木栗ノ穴(まきぐりのあな)
脚本:34点
演技・演出:16点
撮影・美術:15点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計81点
邦画の良さを感じられる映画で、派手さは全くなくとも物語に夢中になれる演出や映像が魅力です。エロティック・ホラーですが、露骨なものではなく、文学的エロティシズムを上手く映像化しています。粟田麗と佐久間真由の脱ぎっぷりが良く、穴から見えるカメラワークも絶妙でぐっとくるエロさを捉えています。また、木下あゆ美の爽やかさと危うさも魅力的でした。キムラ緑子の妖艶な雰囲気も良かったし、深川監督は女性を魅力的に演出できる監督だと思います。ゆったりとした映画なのに、最初から最後まで中だるみすることなく見れます(夢中で)。西島秀俊がムキムキマッチョになる前の作品ですが、彼の内面の魅力がよく現れている作品です。ホラーなんだろうか?と、問いたくなる作風ですが面白かったです。
真木栗ノ穴 あらすじ(ネタバレ)
古都鎌倉・切通し。古い木造アパートに住む売れない作家・真木栗勉(西島秀俊)は、部屋に2つの穴を発見する。西側の穴からは、隣室の佐々木(北村有起哉)をのぞき見ることができ、東側の穴をのぞくと、人は居らずちゃぶ台だけが見えた。ある日、真木栗は週刊誌の編集者・森本(利重剛)から官能小説の執筆を依頼される。しかし、真木栗に書けるはずもない。ただ時間だけが過ぎ去る中、真木栗は白い日傘をさし、アパートを見上げている女を目にする。女は部屋を探しているようだった。真木栗が西側の穴をのぞくと、女と佐々木が情事を繰り広げている。真木栗は“穴”から見る出来事をネタに小説を書きはじめた。真木栗が宅配業者から荷物を預かった夜、物音のする東側の穴をのぞくと、女がいる。慌てて荷物を渡す真木栗。それは、あの白い日傘の女・水野佐緒里(粟田麗)だった。真木栗の担当編集者・浅香(木下あゆ美)は、小説に出てくる穴が実在するような気がして、彼にたずねるがはぐらかされてしまう。そんなある日、真木栗は先日の宅配業者が佐緒里を襲う情景を書いていた。ふと、穴から女の部屋をのぞくと、宅配業者が部屋に押し入り、佐緒里を襲いはじめた。真木栗は妄想と現実の境目が曖昧になり、日に日に頭痛が酷くなる。その数日後、真木栗はあの宅配業者が死んでいたという新聞記事を見つける。目にみえてやつれていく真木栗を気にかける浅香が、真木栗の小説が掲載された週刊誌をめくると、佐緒里の写真が目に入る。佐緒里はIT長者の妻だったが、世間のバッシングに耐えられず没落する夫と心中を計ったという記事だった。真木栗は彼女のことが忘れられず、実家から送られてきた梅酒を持って隣の部屋に入っていく。暗闇の中、並んで梅酒を飲むふたりの姿がそこにあった。浅香が真木栗の原稿を取りに来るが、真木栗はいない。いま通ってきた切通しを戻る浅香の横を、浴衣姿の佐緒里がすれ違っていった……。
真木栗ノ穴 スタッフ
製作:江口誠
企画・プロデューサー:倉谷宣緒
監督・脚本:深川栄洋
原作:山本亜紀子 『穴』 (角川ホラー文庫)
脚本:小沼雄一
プロデューサ:丸目博則
キャスティング・プロデューサ:岩淵規
撮影:高間賢治
制作プロダクション:べんてんムービー(ベンテンエンタテインメント)
真木栗ノ穴 キャスト
真木栗勉:西島秀俊
水野佐緒里:粟田麗
浅香成美:木下あゆ美
佐々木譲二:北村有起哉
沖本シズエ:キムラ緑子
水野貞男:田中哲司
赤坂栗生:小林且弥
細見貢:尾上寛之
秋田健:大橋てつじ
森本飽夫:利重剛
佐々木譲二の彼女:佐久間麻由
杉村一成:谷津勲
柴田実:永田耕一
飯田時子:松金よね子