日本沈没(にほんちんぼつ)は、1973年公開の日本映画。同年に刊行された小松左京原作小説の映像化作品。監督には黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎を抜擢。脚本には同じく黒澤作品に参加していた橋本忍があたった。製作期間は約4か月と短かったが、約880万人の観客を動員し、配給収入は16億4000万円(1974年邦画部門配給収入1位)を挙げる大ヒットを記録。中野昭慶が監督した特殊撮影もアジア映画祭の特殊効果賞を受賞する評価を受けた。
日本沈没 映画批評・評価・考察
日本沈没
脚本:36点
演技・演出:14点
撮影・美術:19点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計83点
今作品、ゴールデン洋画劇場でよく見たものですが、子供には壮大過ぎて分からないところが多かったのですが、大人になってしっかり見ると、当時の日本人よりも今の(東日本大震災以降)日本人の方がセリフや映像で刺さる部分が多いと思いました。ただ、演技や演出については正直微妙です。藤岡弘、の演技は大根にしか見えないし、小林桂樹も上手いというにはちょっとなぁ~と熱は感じるんですが大袈裟すぎるんです。そんな中で丹波哲郎の懐の深い演技って良いんですよ。地に足が付いているというのはこういうことなんだなと思える素晴らしい演技です。
日本沈没というタイトルどおり、日本人は国土を失います。それでも日本民族は生き続けていくんだ。ふるさとを失ってもどんな苦境に立たされたとしても、生きていこう。というメッセージが強く表現された作品だと感じました。
日本沈没 あらすじ(ネタバレ)
海底開発KKに勤める深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫(演:藤岡弘)は、小笠原諸島北方の島が一夜にして消えた原因を突きとめようと、海底火山の権威、田所博士(演:小林桂樹)、幸長助教授(演:滝田裕介)らとともに日本海溝にもぐった。潜水艇“わだつみ”が八千メートルの海底にもぐった時、彼等は異様な海底異変を発見した。深海には、巾ひろい溝が果てしなく延び、乱泥流がもくもくと噴出していた。この巨大な暗黒の中で、いま、何かが起りつつあった……
東京に帰った小野寺は、自由奔放に生きる伊豆の名家の令嬢・阿部玲子(演:いしだあゆみ)と会った。そして、湘南の海岸で二人が激しく抱擁中、突如、白い閃光が夜空を走った。伊豆天城山が爆発したのだ。そして、それを追うように、三原山と大室山が噴火を始めた。小野寺と幸長助教授は、ふたたび田所博士に呼び出された。田所はなぜか、日本海溝の徹底した調査を急いでいた。
内閣では、山本総理(演:丹波哲郎)を中心に、極秘のうちに地震問題に関する学者と閣僚との懇談会が開かれた。出席した学者たちは楽天的な観測をしたが、一人、田所博士だけが列島の異常を警告した。しかし、この意見は他の学者に一笑に付されてしまった。
懇談会から十日ほどたったある日、田所博士は渡(演:島田正吾)という高齢の老人に会った。渡は政財界の黒幕として君臨し、今もなお政治の中枢になんらかの影響力を持つという人物だった。別れぎわ、老人は田所に、科学者にとって一番大切なことは何か、と尋ねた。「直感とイマジネーションです」と田所は即座に答えた。
それから一週間後、内閣調査室の邦枝という男が田所博士を訪れ、列島の異変への調査を依頼してきた。田所博士は、幸長、小野田、邦枝、そして、情報科学専門の中田らを加えてプロジェクト・チームを結成し、D計画を設置して、異変調査の“D1計画”を秘密裡に始動させた。全員は、フランスより購入した高性能の深海潜水艇“ケルマディック号”に乗り、連日、日本海溝の海底調査に没頭、調査が終了した頃には疲労困憊の極に達していた。
やがて田所博士は、調査結果を発表するために、D計画全員に招集をかけた。最新高性能のプラスティック・スクリーン、プラスティック・ボードに浮び上った日本列島を前にして、現在の列島構造の状況を長時間にわたり説明した。そして結論は、日本列島の大部分は海底に沈む……凍りついたような沈黙が部屋の中に満ち、全員の表情は堅くこわばっている。その沈黙を被り、“第二次関東大震災”の勃発が知らされた。
東京では丁度ラッシュのピークが始まろうとしていた時に、大地震が起きた。電車の脱線、追突、車の衝突が続発し、地下鉄・地下街は一瞬にして停電、処によっては泥水が流れ込み、首都圏は想像を絶するパニック状態に陥り、まさに地獄と化した。
そんなある日、田所博士が、テレビに出演し、日本は沈没すると発表してしまい、同席していた教授を激論の末、殴打する、という事件が起こった。興奮するD計画本部。あれ程、皆がひた穏しにしていたことを、中心的存在の田所博士が暴露してしまったのだ。だが、これは、列島沈没というショックを多少でも和らげて国民に意識させようという陽動作戦で、博士自身が、その狂言を買って出たのだった。
その頃、山本と渡との間で秘かに、一億国民の国外大移住“D2計画”の話し合いが行なわれていた。小野寺は母の急死により大阪に帰った。兄と別れた後、意外にも玲子と再会した。一年半前から玲子は小野寺を捜し求めていたのだった。その夜、二人は空港ホテルの一室で結ばれる。
一方、D計画本部では遂に恐るべき事実が判明した。日本列島は後10ヵ月後に急激な沈下が始まるというのである。翌日、総理官邸では、緊急臨時閣議が開かれ、日本国民の海外移住について、審議された。そして、マスコミ関係の社長・論説主幹を集め、山本総理より状況が説明され、一週間後の発表まで報道管制がひかれた。事態がここまで明白に、しかも切迫した今、一操艇者の小野寺にとっては、なすことはなにもないように思われた。小野寺は玲子とともにスイスへ移住することを決意した。
小野寺の出発する日、山本総理は、宇宙衛星を通じて全世界に向けて、列島沈没を報道した。時を同じくして、富士山が本格的な噴火、爆発を始め、箱根、御殿場での避難が始まったという連絡が入った。その時、小野寺に電話が入った。小田原近くで、富士山の大噴火のために立往生してしまった玲子からだった。「もしもし!」受話器の向こうにザァザァというひどい雑音が聞こえた。必死になって声をはり上げる玲子の声にかぶさるようにゴーッという山鳴りのような響きが聞こえ電話が切れた。小野寺は気狂いのように受話器を叩きつけ部屋を突び出した……。
この日から日本各地で火山が爆発を開始、日本列島はズタズタに引き裂かれ、急速に沈下を始めた。この間にも“D2計画”は急ピッチで進められ、世界各国に特使が飛び、日本国民の避難交渉が進められた。アメリカ、ソ連、中国から救助の手がさしのべられ、続々と国民は沈没していく列島から避難していった。やがて、四国が、東北が、北海道が次々と裂けていき、やがて、日本列島はその姿を海中に没した……。
日本沈没 スタッフ
監督:森谷司郎
製作:田中友幸,田中収
原作:小松左京
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
撮影:村井博,木村大作
美術:村木与四郎
録音:伴利也
照明:佐藤幸次郎
編集:池田美千子
助監督:橋本幸治
製作担当者:森知貴秀
監督助手:大河原孝夫
スチール:石月美徳
協力:日本海洋産業株式会社
整音:東宝録音センター
効果:東宝効果集団
現像:東洋現像所
特殊技術班
特技監督:中野昭慶
撮影:富岡素敬
美術:井上泰幸
照明:森本正邦
造型:安丸信行
操演:松本光司
特殊効果:渡辺忠昭
助監督:田淵吉男
製作担当者:篠田啓助
監督助手:川北紘一,浅田英一
スチール:田中一清
合成:三瓶一信
光学撮影:宮西武史
日本沈没 キャスト
田所雄介博士:小林桂樹
山本甚造:丹波哲郎
小野寺俊夫:藤岡弘
阿部玲子:いしだあゆみ
邦枝:中丸忠雄
結城達也:夏八木勲
花江:角ゆり子
野崎特使:中村伸郎
吉村秀夫:神山繁
幸長信彦助教授:滝田裕介
三村秘書官:加藤和夫
片岡:村井国夫
総理府総務長官:垂水悟郎
小野寺の兄:新田昌玄
防衛庁長官:森幹太
山城教授:高橋昌也
ヘリ操縦士:地井武男
科学技術庁長官:鈴木瑞穂
内閣官房長官:細川俊夫
山本総理夫人:斉藤美和
D-1学者:中条静夫
老人の息子:森下哲夫
海洋学者:梶哲也
D-1公安係:名古屋章
通産大臣:松下達夫
建設大臣:河村弘二
大泉教授:近藤準
海洋調査船船長:宮島誠
下町の老人:大久保正信
調査団員:内田稔
統合幕僚本部議長:早川雄三
対策本部のオペレーター:和田文夫
総理府係官:石井宏明
調査団員:稲垣昭三
国連委員:中村哲
外務大臣:伊東光一
斉藤英雄
気象庁技官:吉水慶
非常災害対策本部の官僚:中田勉
調査団員:大木史朗
運輸大臣:山本武
総理府係官:今井和雄
ヘリ操縦士:鈴木治夫
政府関係者:田中志幸
永島岳
非常災害対策本部の官僚:津田光男
磐木吉二郎
中島光之助
巽丸航海士:大杉雄二
防災センター所長:熊谷卓三
D-1本部の職員:小松英三郎、門脇三郎
政府関係者:草間璋夫
財界関係者:大西康雅
やっちゃん:服部妙子
林由香
老人の息子の嫁:川口節子
総理邸のお手伝いさん:小林伊津子
高橋久美江
D-1本部の職員:鳥居功靖
小野辺敦
オーストラリア首相:アンドリュー・ヒューズ
中国特使:バン・ヘンリー
ユージン・コックス:チャールズ・シームス
中田一成:二谷英明
渡老人:島田正吾
(以下はクレジットなし)
海底開発興業社員:小松左京
竹内均教授:竹内均
政府関係者:田中友幸
山本総理の運転手:中島春雄
火の中を逃げる住民:加藤茂雄、記平佳枝
オーストラリア高官:ロジャー・ウッド
国連委員:ジャック・オンガン、フランツ・グルーベル
記者:オスマン・ユセフ
漁船の避難民:松下正秀
列車の難民:夏木順平
ナレーション、警視庁緊急通信の声:市川治
番組の司会者、ラジオ災害放送の声:大類正照
自衛隊、警察無線の声:神谷明
横須賀基地・PS1の声:辻村真人
ラジオアナウンサー:作間功