忠臣蔵外伝 四谷怪談(ちゅうしんぐらがいでん よつやかいだん)は、1994年の日本映画。松竹誕生100周年記念作品で、複数の映画賞を受賞した。深作欣二は1978年に忠臣蔵を題材にした映画『赤穂城断絶』を製作していたが、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』が昼の部、『東海道四谷怪談』が夜の部で伊右衛門が赤穂浪士であるという繋がりのある設定を活かして映画化した。冒頭に松の廊下の刃傷シーン、終盤に赤穂浪士の吉良邸討ち入りが描かれ、そこに亡霊となったお岩が浪士の助太刀をするなど(自分を殺害した吉良の侍に復讐)、四谷怪談に赤穂事件を取り入れたホラー映画となっている。
忠臣蔵外伝 四谷怪談 映画批評・備忘録
忠臣蔵外伝 四谷怪談
脚本:35点
演技・演出:16点
撮影・美術:15点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計82点
監督は深作欣二で演出の巧みさや俳優の魅力を引き出す力はさすがで、高岡早紀がこれほど魅力的で美しい姿だったのには驚きだった。荻野目慶子の演技力は狂気さえ感じるほどのもので、非常に怖かった。撮影が石原興で必殺仕事人シリーズといえばこの方の撮影で照明の使い方が上手く、俳優の殺陣や特殊メイクが下手でも上手く見せられる技量があったのは流石でした。公開前後は、高岡早紀のヌードと佐藤浩市との濡れ場が話題でもちきりだったが、超がつくほどの美しさとお岩さんとのギャップ、演技力の確かさは、複数の賞を受賞するだけのことはあり素晴らしい女優だと改めて感じる作品でした。
忠臣蔵外伝 四谷怪談 あらすじ(ネタバレ)
元禄14年、江戸城松の廊下で吉良上野介に刃傷を起こした赤穂藩藩主・浅野内匠頭は切腹、赤穂藩は取り潰しとなった。堀部安兵衛、高田郡兵衛、片岡源五衛門ら江戸詰の藩士たちは大挙して赤穂城へ舞い戻るが、家老・大石内蔵助の反応は冷ややか。浪人となった藩士には厳しい生活が待ち受けており、2カ月前に召し抱えられたばかりの民谷伊右衛門も父親譲りの琵琶を奏で、仲間の勘平や右衛門七らと共に門付けに立ち生計を立てていた。そんな伊右衛門は彼を熱い視線で見守る湯女・お岩に出会い、ほどなく一緒に暮らすようになる。お岩に魅かれている湯女宿の番頭・宅悦は彼女を強引に連れ戻そうとするが不首尾に終わった。その頃いつものように鬼子母神の境内で琵琶を奏でていた伊右衛門たちは、打ち掛けを羽織り、笛や太鼓を鳴らす侍女たちを従えたお梅の一行に出くわす。一行にからんできた酔っ払いを一閃のうちに倒した伊右衛門を、恍惚の声を挙げ見つめるお梅。その夜、お梅の祖父・伊藤喜兵衛が大金を持って伊右衛門の家を訪ねてくるが、喜兵衛は吉良家の家臣であった。刃傷沙汰から1年、内蔵助はようやく討ち入りする腹を決め、江戸にいた安兵衛や伊右衛門たちにも招集の声がかかる。お岩は伊右衛門の子を身籠ったことを打ち明けるが、仇討ちが待っている自分はいずれ死ぬ身と伊右衛門は拒絶。だが、強行派の郡兵衛が仲間から脱落することを知り呆然となる。同志たちが次々と京に集まり、決起の宴を開いている頃、伊右衛門は喜兵衛の家にいた。彼はお岩と別れお梅と一緒になる交換条件として、吉良家の家臣に推挙してほしいと告げた。狂喜するお梅。一方、お岩のもとには宅悦が現れ、伊右衛門から預かったという安産の薬をお岩に飲ませる。だがそれは、喜兵衛の策略による顔を溶かす毒薬であった。もだえ苦しみ、息絶えるお岩。その日のうちにお梅と祝言を挙げた伊右衛門の寝間に、そのお岩の亡霊が現れた。伊右衛門はお岩に切り掛かるが、切った相手はお梅であった。吉良家の清水一学は伊右衛門に、仕官の土産として川崎の平間村に入った内蔵助を倒せと命じる。浪士たちが警護する中、伊右衛門は半ば死ぬ覚悟で内蔵助と対峙するが内蔵助は斬れず、また自分も浪士たちに襲われながら逃げのびる。だが彼はもう半ば死んだ身であった。討ち入り当日、吉良屋敷へ内蔵助以下赤穂四十七士が押し寄せるが、伊右衛門の姿は彼らには見えない。そして、その討ち入りを亡霊となったお岩が手助けしていた。無事討ち入りを果たした後、互いに死んで晴れてお岩と一緒になった伊右衛門の奏でる琵琶の音のみが、かつての同志たち四十七士のもとに届いた。
忠臣蔵外伝 四谷怪談 スタッフ
監督:深作欣二
製作:櫻井洋三
プロデューサー:佐生哲雄,斉藤立太,原克子
脚本:古田求,深作欣二
音楽:和田薫
テーマ曲:カール・オルフ『カルミナ・ブラーナ』から「運命の女神よ」
撮影:石原興
照明:中島利男
美術:西岡善信
録音:広瀬浩一
編集:園井弘一
調音:鈴木信一
助監督:津島勝,酒井信行
殺陣:上野隆三
特殊メイク:江川悦子
製作主任:黒田満重
スチル:金田正
宣伝プロデューサー:村居俊彦,佐藤礼子
製作会社:松竹
忠臣蔵外伝 四谷怪談 キャスト
民谷伊右衛門:佐藤浩市
お岩:高岡早紀
お梅:荻野目慶子
伊藤喜兵衛:石橋蓮司
お槇:渡辺えり子
清水一学:蟹江敬三
横川勘平:火野正平
お可留:菊池麻衣子
吉良上野介:田村高廣(特別出演)
浅野内匠頭:真田広之(特別出演)
浮橋太夫:名取裕子(特別出演)
民谷伊織:近藤正臣
宅悦:六平直政
堀部安兵衛:渡瀬恒彦
大石内蔵助:津川雅彦