容疑者Xの献身(ようぎしゃえっくすのけんしん)は、2008年公開の日本映画。東野圭吾のガリレオシリーズ短編『探偵ガリレオ』『予知夢』を原作としたテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版として本作を同ドラマのキャスト・スタッフにより映画化。基本的なストーリーは原作に沿ったものとなっており、ドラマの劇場版という位置づけながらもドラマからのオリジナルキャラクターの出番が少なく、石神と花岡が話の軸となっている。湯川が数式を書いて推理を整理するシーンがないといったドラマのパターンを踏襲しない展開を見せている。また原作との相違点として湯川と石神が雪山に登り、その雪山で対峙するシーンが挿入されている。
容疑者Xの献身 映画批評・評価・考察
容疑者Xの献身
脚本:38点
演技・演出:20点
撮影・美術:17点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計95点
テレビドラマから映画化した作品で、これほど質の高い作品は今までになかったように思います。
宣伝ポスターが異様なほどダサいことを除けば、ここ数十年の邦画の中ではトップクラスの作品だと思えました。
主演の福山雅治がハマリ役なのはもちろん、石神役の堤真一の素晴らしい演技に言葉を失います。いつも微妙だと思う、柴咲コウもこのシリーズの演技はとてもよく、主題歌もとても良かったです。
東野圭吾の原作がそもそも良いこともあるんですが、脚本と編集が素晴らしい。感動させようと思って感動できるものでもなく、悲しさや儚さを共感できる作品はそうそう生まれないものです。劇場でかなりの人が泣いているのを目の当たりにすると、作品を称えずにはいられないです。
名作だけに宣伝ポスターに不満が残る
日本版よりもポスターは韓国版の方が断然良くできている。全体的にそういう傾向があるので、日本のポスタービジュアルはジャンル問わず高橋ヨシキ氏に頼んだらいいと思います。
韓国版 容疑者Xの献身 ポスター
容疑者X天才数学者のアリバイ 韓国リメイク版
※日本版は韓国のポスターを日本語に置き換えています
容疑者Xの献身 あらすじ
帝都大学理工学部物理学科で准教授をつとめるガリレオこと湯川 学(福山雅治)は、相変わらず難事件の捜査協力を内海 薫(柴咲コウ)に依頼され、科学的に実証している。
そんな時、内海が勤務する貝塚北署管内で死体が見つかった。殺人事件だ。死亡推定時刻は12月2日、午後6時から10時の間。捜査には内海をはじめ、内海の先輩にあたる弓削志郎(品川祐)、さらには内海が尊敬する本庁の刑事・草薙俊平(北村一輝)までがかり出された。
被害者は身元がわかるものを何も所持しておらず、全裸。指紋は全て焼かれ、顔も鈍器のようなもので潰されている。当初、被害者の割り出しに時間が掛かると思われたが、まもなく身元が判明した。被害者は富樫慎二、39歳、無職。川崎市幸区に在住していたが、家賃が払えなくなり、1ヵ月前くらいから簡易旅館を転々としていたことがわかった。最後に富樫が宿泊していた蒲田の旅館・扇屋から、鍵を持ったまま行方不明となっていたため盗難届けが出されていたのだ。旅館の室内から採取した毛髪のDNA、死体発見場所に乗り捨てられていた盗難自転車に付着していた指紋から、被害者は富樫慎二で間違いないと断定。死因は頸部を圧迫された事による窒息死。頸部の索状痕から、凶器は電気こたつによく使われる袋打ちねじれコードだとされる。
経歴から、富樫には別れた妻・花岡靖子(松雪泰子)がいることがわかった。内海と草薙は彼女のもとを訪ねる。靖子には、富樫と結婚する前の夫との間に生まれた中学生の娘・美里(金澤美穂)がいた。江東区のアパート暮らし。以前は錦糸町でホステスをしていたが、いまは日本橋浜町で弁当屋を経営している。靖子に事件のことを知らせると、全く知らなかった様子。アリバイもある。だが、草薙はそれを「出来すぎだ」という。そこに靖子の隣に住む男・石神哲哉(堤真一)が通りかかる。内海たちはすかさず彼に富樫の写真を見せ、靖子たちの12月2日の夜の様子を聞く。石神は答えながら、郵便受けから郵便物を取り出す。そこには「帝都大学」の文字。どうやら湯川や草薙と同じ帝都大学出身らしい。
内海と草薙は、この事件のことを湯川に聞いてもらおうと、帝都大の湯川のもとを訪ねた。捜査の行き詰まりをなんとかしたいとの思いから、捜査協力を依頼するためだ。最初は「アリバイなんて科学とは何の関係もない」と突っぱねる湯川だが、容疑者である靖子が美人だと聞くと、途端に興味を持ち始める。靖子のアリバイについて一通り話しをすると、靖子のことを「相当の強敵だ」と笑いながら、「じゃ、頑張ってくれ」と一言。
帰り際、草薙が湯川に帝都大出身者で靖子の隣人・石神哲哉のことを話すと、湯川の顔色が変わった。そして「……僕の知る限り、本物の天才といえるのは石神だけだ」と話す。
数日後、湯川は石神のもとを訪ねた。17年ぶりの再会だ。
石神の部屋でウィスキーを飲みながら、なぜ石神が高校の教師になったのか、大学時代にやっていた山登りはいまでも続けているのかなど、いろんな話をする。そのうち、湯川が大学の数学科の教授から借りてきたという、歴史的数学問題の最新レポートを石神に見せ、「この結論が正しいかどうか君に判定してほしい」と頼む。石神は「時間がかかるぞ」と言いながら、すぐに机に向かいはじめる。いつしか湯川は数学に没頭する石神を見ながら眠ってしまう。
翌朝、隣室の靖子が仕事に行くためドアを閉める音で湯川は目を覚ました。石神はぼんやりと靖子の部屋の方を見ている。「まだやっていたのか?」との湯川の声に振り返った石神は、問題が解けたことを知らせた。湯川は、そんな石神の天才ぶりに「安心したよ」と言い、石神の出勤に合わせて帰ることにする。
駅までの道を歩きながら湯川が靖子たち親子のことを石神に聞くと、「挨拶程度さ。毎朝僕が弁当を買う店にお隣さんがいて、その時に顔を合わせるけどね」と言う。「もったいない。美人なんだろ?」という湯川の質問には答えない。だが別れ際、石神は唐突に「いつまでも若々しい君が羨ましいよ……」と湯川に言う。数学以外のことには興味がない石神らしからぬ言葉に、湯川はひっかかりを覚えた。
一方、警察は花岡靖子を事件の第1容疑者として捜査を進めるが、靖子の完璧なまでのアリバイを崩すことが出来ない。富樫殺人事件の捜査は行き詰まりを見せたまま時間だけが無駄に過ぎ去って行く……。そんな時、湯川が内海を死体発見現場に呼び出した。そして内海たちが捜査でつかんだことを細かく聞くと、捜査陣がつかんでいることは犯人の何らかの狙いによって全て計算され、そう仕向けられているのではないかと推理する。だがその理由は湯川にもまださっぱりわからない。
靖子の完璧なアリバイを前に湯川をもってしても真実が見えず、遂に諦めかけたとき、ある事をきっかけに謎に包まれた事件の真相に一条の光が射し始めた。しかし、真相に近づけば近づくほどに苦悩の表情を見せはじめる湯川。そして、事件の核心に近づきながらいつもと全く違う湯川に戸惑いを隠せない内海。
事件の真犯人は誰なのか?
湯川の生涯で唯一天才と認める石神が、もしこの事件に絡んでいるのだとしたら?
湯川の推理がこの事件の全貌にたどり着いた時、湯川が取った行動とは……。
容疑者Xの献身 スタッフ
監督 – 西谷弘
脚本 – 福田靖
音楽 – 福山雅治,菅野祐悟
製作 – 亀山千広
企画 – 大多亮
エグゼクティブプロデューサー – 清水賢治畠中達郎,細野義朗
プロデュース – 鈴木吉弘,臼井裕詞
プロデューサー – 牧野正,和田倉和利
プロデューサー補 – 大西洋志菊地裕幸
撮影 – 山本英夫
照明 – 小野晃
美術 – 部谷京子
整音 – 瀬川徹夫
録音 – 藤丸和徳
音響効果 – 大河原将
編集 – 山本正明
監督補 – 池上純哉
助監督 – 村上秀晃
製作委員会 – フジテレビジョン,アミューズ,SDP,FNS27社
制作プロダクション – シネバザール
映像制作 – 東宝映像美術
配給 – 東宝
容疑者Xの献身 キャスト
湯川学 – 福山雅治
内海薫 – 柴咲コウ
草薙俊平 – 北村一輝
栗林宏美 – 渡辺いっけい
弓削志郎 – 品川祐
城ノ内桜子 – 真矢みき
工藤邦明 – ダンカン
富樫慎二 – 長塚圭史
花岡美里 – 金澤美穂
村瀬健介 – 林剛史
小淵沢隆史 – 福井博章
森英太 – 伊藤隆大
渡辺美雪 – 高山都
谷口紗江子 – 葵
平原瑤子 – 小松彩夏
「扇屋」の女将 – 福井裕子
ホームレス – 鈴木卓爾
草野球の監督 – リリー・フランキー(友情出演)
八木亜希子 – 八木亜希子
有薗文雄 – 石坂浩二(特別出演)
葛城修二郎 – 益岡徹
柿本純一 – 林泰文
花岡靖子 – 松雪泰子
石神哲哉 – 堤真一
東根作寿英,三浦誠己,松本寛也栩原楽人樋口浩二森岡龍天田益男ささの翔太桐本琢也