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南京の基督|男が愛した少女には、神という名の愛人がいた。|芥川龍之介の珠玉の物語が、いま艶やかにに蘇る。

南京の基督
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南京の基督(なんきんのきりすと)は、1995年製作の香港映画。アミューズと香港のゴールデン・ハーベスト提携作品。芥川龍之介の『南京の基督』をベースに、彼の自殺直前の心象風景を描いた『歯車』を加えたオリジナル・ストーリー。日本人である富田靖子が中国人の娼婦、宋金花を演じ、香港の俳優レオン・カーフェイが芥川龍之介をモデルにした日本人作家、岡川龍一郎を演じた。この作品で第8回東京国際映画祭最優秀女優賞を受賞。

南京の基督 映画批評・評価・考察


南京の基督(なんきんのきりすと)(英題:The Christ Of Nanjing)

脚本:33点
演技・演出:18点
撮影・美術:15点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計80点

 今作品、是非再販していただきブルーレイでお願いします。と思える作品です。
 富田靖子が大胆に脱いで、激しい濡れ場を演じています。それがいやらしいというより、とても綺麗なんです。また、その美しさが壊れていく終盤のストーリーはとても衝撃的で悲しかったです。童顔なので少女役でも違和感がなく、あの瞳の美しさは作品に欠かせないものです。
 当時、富田靖子は清純派女優でずっと売れていたので、突然今作のような作品に出演するとは思いもよらなかったです。好感度がもともと高い女優さんだったので驚いた方は多かったと思います。それもそのはず10年以上多くのテレビCMにも出演していたのでテレビで見ない日が無いほど売れてました。
 監督のトニー・オウは、ジャッキー・チェンやジェット・リー主演映画の美術や衣装担当をメインにされていた方なので、1920年代の南京や衣装などはよく表現できていると思います。

南京の基督 あらすじ(ネタバレ)

 1920年代。新聞社の依頼で中国・南京を訪れた作家の岡川(演:レオン・カーフェイ)は、帝大時代の同級生・譚永年(演:ツォ・チョンファ)の誘いで遊廓へ行く。道すがら、彼は無邪気な少女・金花(演:富田靖子)に出会った。彼女は年老いた父のために金を都合しようと従姉妹の山茶(演:鄒静)のいる遊廓、藕香院を頼ってきたところだった。粗末な壁に書けた十字架に熱心に祈りを捧げる金花の純粋な姿が、疲れ切った岡川の心をとらえる。借金を返すため、金花は岡川にその身を任せた。郊外の別荘へ金花を連れていった岡川は、彼女がそこにいるだけで創作意欲が沸き上がり、持病の頭痛も嘘のように消えた。

蜜月を味わう二人の元へ永年が届けた電報は、東京の岡川の妻が二人目の子供を生んだという報せだった。金花はショックを受け、キリストが禁じている重婚の罪を犯した岡川を激しくなじる。父親の訃報も重なり、彼は急いで東京へ帰ることになった。南京駅の雑踏で、岡川に別れを告げぬまま姿を消す金花。

一度は故郷へ帰ったものの、再び藕香院に舞い戻った彼女は、客から性病を移されてしまう。他人に移せば治る、と仲間は言うが、「誰にも病気を移さず、一人で死んでいけばキリストが天国に連れていってくれる」と信じる金花は、頑に客を取らなかった。彼女の病状は次第に悪化し、肺病まで併発する。そんなある夜、金髪の男(演:マーク・カスバーグ)をキリストだと信じた彼女は体を許してしまう。翌朝、身体から性病の斑点が消えており、彼女は「キリスト様が直してくれた」と無邪気に喜ぶ。

帰国してからも金花が忘れられない岡川は、永年からの手紙で彼女の病気を知り、治療のため日本に連れ帰ろうと決意。金花は岡川との再会を子供のように喜ぶ。だが、キリストの正体が、女好きな海外特派員であることを知った岡川は怒りに駆られ、彼を殴り倒すが、金花はその一部始終を見てしまう。金花の身体の斑点は、以前よりひどくなった。一緒に日本へ行こうとの誘いを激しく断る彼女の目は、既に狂気を帯びている。彼女の夢を壊したのでは、と岡川は自分を責め、心中するつもりで彼女を抱こうとするが、激しく拒絶される。

永年の説得で日本に帰ることになった岡川は、悄然と駅への道を歩き始めた。その時、金花が必死で彼を追い始め、今にも倒れそうな彼女を気遣う小僧が、馬車でその後を追う。南京駅へと続く鉄路で抱き合う二人。だが、金花は間もなく眠るように息を引き取った。帰国した岡川は創作の壁に突き当たり、幻覚に怯え、睡眠薬自殺した。枕元には読み古された一冊の聖書があった。

南京の基督 スタッフ

原作:芥川龍之介 『南京の基督』 『歯車』
監督:トニー・オウ
脚本:ジョイス・チャン
脚本協力:楠本浩美
音楽:梅林茂
撮影:ビル・ウォン
美術:エディ・マー,西村薫
照明:梁雄偉,横山秀樹
編集:張嘉輝,張耀宗,三宅弘
助監督:劉小娟,比嘉一郎,藤岡浩二郎
音響効果:帆苅幸雄
プロデュース:森重晃,チャイ・ラン
プロデューサー補:小柳憲子,千葉誠治
アシスタントプロデューサー:沼澤明,ポール・チェン
企画:アミューズ
製作者:大里洋吉(藝神集團),レナード・ホー(嘉禾電影)
製作協力:東映京都撮影所,俳協
配給:アミューズ

南京の基督 キャスト

岡川龍一郎:レオン・カーフェイ(梁家輝)
宋金花:富田靖子
岡川の妻:中村久美
岡川の母:千原しのぶ
藕香院の主人:ラウ・シュン
譚永年:トォオ・ツォンホウ
山茶:ジェシカ・チャウ
キリスト:マーク・カスバーグ

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