北斎漫画(ほくさいまんが)は、1981年公開の日本映画。矢代静一の戯曲を新藤兼人監督が映画化、葛飾北斎の波瀾に満ちた生涯を描く。絵師・葛飾北斎と友人の戯作者・滝沢馬琴の二人の交遊を長い年月にわたって追い、北斎の娘・お栄、馬琴の女房・お百、魔性の美女・お直の存在を絡めて描いた作品。15歳から70歳までを演じた田中裕子と、35歳から90歳までを演じる緒形拳が、ともに熱演。
北斎漫画 映画批評・評価・考察
北斎漫画
脚本:10点
演技・演出:18点
撮影・美術:10点
編集:6点
音響・音楽:6点
合計50点
表現の自由と思想の自由を、とことん追求した監督『新藤兼人』の代表作の一つ。
今作品、終盤のタコと美女(のちの大女優)の触手プレイのインパクトが強烈過ぎてそれ以外の内容を忘れてしまいますが、西田敏行演じる滝沢馬琴と緒形拳演じる葛飾北斎の壮大なコント作品だと思いました。終盤は悪ノリですよ。ふざけて撮ったとしか思えません。。。
露骨過ぎる田中裕子のヌードと樋口可南子のヌードがエロというには大胆過ぎるし、見せすぎているので呆気にとられてしまします。フランキー堺の奇々怪々な演技も、笑えるほど極端な描写ですし、老人になった、西田敏行、田中裕子、緒形拳のやりとりはまさにドリフでした。
今作品は Huluで見ました。
北斎漫画 あらすじ(ネタバレ)
鉄蔵と娘のお栄は左七の家の居候になっている。鉄蔵は、貧しい百姓の生まれだが、幼時、御用鏡磨師、中島伊勢の養子となった。巧みに絵を描くので、絵師の弟子となるが、尻が落ちつかず、幾人もの師から破門された。一方、左七は侍の生まれたが、読本作家になりたいと志し、下駄屋の養子に入り込んだ。左七の女房お百は、亭主が黄表紙本などを読むのを心よく思っておらず、さらに、朝から晩まで絵を描いている居候の父娘に我慢がならない。そんなある日、鉄蔵ほお直という女に出会った。鉄蔵は一目でお直にのめり込み、彼女を描くことで、つき当っている壁を破ろうとするが、不思議な魔性に手応えがない。鉄蔵ほお直を養父、伊勢に紹介することで、彼女と別れ、また金もせびることにした。その伊勢も、お直の魔性にとり憑かれ、首をくくって死んでしまう。その頃、お百が死んだ。そして、間際に、立派な作者になってくれ、滝沢馬琴という名は良い名だと言い残す。左七はせきを切ったように書き始めた。たちまち流行作家となった。今や父と長屋暮しのお栄は左七を訪ね、読物の挿し絵を父に描かせて欲しいと頼む。左七は喜んで引き受けた。鉄蔵が北斎の名で描いた絵は評判になり、放浪の旅で「富嶽三十六景」が生まれた。そして、北斎は八十九歳、お栄は七十歳、馬琴は八十二歳となった。ある日、お栄がお直と瓜二ツの田舎娘を連れてきた。「お直ッ」と叫ぶ北斎。馬琴は失明しかけているが、お直と娘を混同することはなかった。そこで「俺の絵でお前は有名になった」と馬琴に話す父に、お栄は「あたしか左七さんに頼んだんだ。一生嫁に行かなかったのも、父やんのためじゃない、左七さんのためだ」と告白する。そこで馬琴は「あんたに結婚を申し込む」と大見栄を切った。一人になった北斎は“お直”を裸にすると、一気に描き始めた。巨大な蛸が、裸女に絡みつき、犯している図だ。かくして、傑作「喜能会之故真道」の蛸と海女の性交の図が出来上がった。馬琴が亡くなった。そして、北斎も亡くなった。二人の辞世にお栄は「死ぬときゃ、誰でも、ていさいのいいこと言い残すもんだ」と咳いた。お栄の顔に涙が流れた。その顔は、北斎の描いた赤富士のように、異様な、美しさと悲しみをたたえていた。
北斎漫画 スタッフ
製作:赤司学文、中條宏行
原作:矢代静一(『北斎漫画』より)
脚本・監督:新藤兼人
音楽:林光
撮影:丸山恵司
美術:重田重盛
照明:杉田正博
調音:小尾幸魚
録音:島田満
編集:杉原よ志
スチール:金田正
メイキャップ:工藤芳照
製作主任:池田義徳
絵画指導:田中博之
装飾考証:荒川大
時代考証:林美一
題字:中川一政
製作協力:青年座映画放送、近代映画協会
北斎漫画 キャスト
鉄蔵(葛飾北斎):緒形拳
佐七(曲亭馬琴):西田敏行
お栄(葛飾応為(鉄蔵の娘)):田中裕子
お直:樋口可南子
お百(左七の女房):乙羽信子
十返舎一九:宍戸錠
式亭三馬:大村崑
歌麿:愛川欽也
狩野融川:観世栄夫
中島伊勢:フランキー堺
彫師:殿山泰司
:初井言榮
お品ばばあ:今井和子
刷師:森塚敏
蔦屋重三郎:大塚国夫
番頭:戸浦六宏
岡っ引き:梅津栄
五助:佐瀬陽一
:浅見比呂志
海辺の娘:朝霧友香
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