光る眼(ひかるめ)は、1995年公開のアメリカ合衆国の映画。謎の生命体との接触によって生まれた奇怪な子供たちの恐怖を描いたSFホラー。原作は英国の作家ジョン・ウィンダムの小説『呪われた村』(邦訳・ハヤカワSF文庫刊)で、60年の同名映画(テレビ放映のみ、ウルフ・リラ監督)に次ぐ二度目の映画化。監督は前作「マウス・オブ・マッドネス」はじめ、SFホラーでは「遊星からの物体X」「ゼイリブ」などを手がけたホラー映画界の重鎮ジョン・カーペンター。
光る眼 映画批評・評価・考察
光る眼(原題:Village of the Damned)
脚本:29点
演技・演出:13点
撮影・美術:13点
編集:7点
音響・音楽:6点
合計68点
カーペンターの迷作と名高い賛否両論の映画ですが、個人的には『パラダイム』のような不穏な空気感はあるものの、グロ描写があるわけでもなく、『ゼイリブ』のようなぶっ飛んだ演出があるわけでもありませんが、独特の世界観は築けている作品だと思います。カルト的人気を持った今作は、キャストも特異なところがあります。俳優としてイメージの固定化に思い悩む3人の人気俳優の出演です。『スーパーマン』のクリストファー・リーヴ、『スターウォーズ』のマーク・ハミル、『ストリート・オブ・ファイアー』のマイケル・パレの3人は、自ら演じたキャラクターのイメージが強すぎることから俳優として苦悩していた時代でしたし、今作は、イメチェンを意識した役柄と演技のように思えます。また、『クロコダイル・ダンディー』で鮮烈な美貌と愛らしさで人気になるリンダ・ゴラウスキーが出演していることも見逃せません。
採点は低めですが、個人的には好きな作品です。カーペンターの映画にしては、エモい気もした作品でした。
光る眼 あらすじ(ネタバレ)
のどかな海沿いの町、アメリカはカリフォルニア州ミドウィッチ。バザーの日の朝10時、突然人々は意識を失って倒れ、6時間のあいだ眠り続けた。この異常事態は解明されないまま、町に異変をもたらした。何とその日を境に、町の受胎可能な女性全員が-たとえ処女であっても-妊娠していたのだ。政府上層部から派遣された科学者のスーザン・バーナー博士(カースティ・アレイ)は、この不可思議な“集団妊娠”におびえる町民に対し、生まれた子供を国の科学機関で定期検診させてもらうことを条件に法外な額の補助金を提示して、半ば強引に人々の同意をとりつける。
やがて町の女性たちは一斉に出産を迎える。医師のアラン・チェフィー(クリストファー・リーヴ)の妻ジルは女の子を、そしてあの日事故で夫フランク(マイケル・パレ)を亡くしたジル・マクゴワン(リンダ・コズラウスキー)は男の子を生んだ。メラニー(メレディス・サレンジャー)だけはなぜか死産で、その死児の遺体はバーナー博士が持ち去っていた。やがて子供たちは全員ジョージ・ミラー神父(マーク・ハミル)の教会で洗礼を受け、バーナーとチェフィーは検査の結果、彼らが皆似たような遺伝子を持っていることを知る。
ある日チェフィーの留守中、妻のジルはマーラと名付けたその娘にうっかり熱すぎる食事を与えてしまう。異変はそこで起きた。マーラは突如目を光らせ、ジルをひとにらみしただけで彼女の体を自由に操り、その手を煮えたぎる鍋につっこませたのだ。彼女はほどなく海に身を投げて死んだが、悲嘆に暮れるチェフィーに、バーナーは町中で起こっている同様の事態があの子供たちの仕業であることを教える。
-数年後。成長した子供たちは、親たちなど意に介さず、チェフィーの娘マーラ(リンゼイ・ホーン)を頭に自分たちだけで団結して、常に一団となって行動していた。バーナーの頼みで彼らの“教師”役を任されたチェフィーは、子供たちの中でジルと故フランクの遺児、デイヴィッド(トーマス・デッカー)だけは人間性をみせることを知る。実は、男女ひと組で行動する彼らの中で、彼だけはパートナーがいないのだった。デイヴィッドのパートナーはバーナーが密かに隠した死児だった。バーナーはチェフィーにその人間とは思えない醜い死体をみせ、これこそ彼らが地球上の生物でないことを示す証拠と語る。町がいよいよパニックを起こさんばかりになった矢先、子供たちは、町外れの小屋に移動し、自分たちだけの生活をはじめる。娘を連れ戻そうとしたベン・ブラム(ピーター・ジェイソン)、町を守ろうと彼らに銃を向けたミラー神父は子供たちに殺された。
バーナーは、この町同様、世界各地で子供たちが町を混乱させ、ついにそこを滅ぼした事件が起こっているとチェフィーに語る。バーナーが押しかけた子供たちに惨殺されたのち、ついに町民は警察の力も借りて小屋を襲うが、不思議なパワーをさらに増した子供たちにあっさり撃退される。しかしチェフィーは子供たちも人間の意思を全て読み取れるわけではないことを知り、彼らを滅ぼす算段をたてる。
かくして子供たちが町を脱出するために彼にバスを調達させた夜、チェフィーは、心を読んで彼を操ろうとする彼らのパワーに必死で抗い、ついに持ち込んだ時限爆弾を作動させ、子供たちもろとも爆死して果てる。混乱の中、チェフィーに救われ、町から逃げのびる車の中にジルとデイヴィッドの姿があった。
光る眼 スタッフ
監督:ジョン・カーペンター
脚本:デイヴィッド・ヒメルスタイン
原作:ジョン・ウィンダム
製作:マイケル・プレガー,サンディ・キング
製作総指揮:アンドレ・ブレイ,ジェフ・ゴードン,テッド・ヴァーノン
音楽:ジョン・カーペンター,デイヴ・デイヴィス
撮影:ゲイリー・B・キッブ
編集:エドワード・A・ウォーシルカ
製作会社:アルファヴィル・フィルムズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,UIP
光る眼 キャスト
アラン・チェフィー医師:クリストファー・リーヴ
スーザン・バーナー博士:カースティ・アレイ
ジル・マクゴーワン:リンダ・コズラウスキー
フランク・マクゴーワン:マイケル・パレ
メラニー・ロバーツ:メレディス・サレンジャー
ジョージ牧師:マーク・ハミル
サラ:ピッパ・パースリー
ベン・ブラム:ピーター・ジェイソン
キャリー・ブラム:コンスタンス・フォースランド
バーバラ・チェフィー:カレン・カーン
デヴィッド・マクゴーワン:トーマス・デッカー
マーラ・チェフィー:リンジー・ホーン
ロバート:コディ・ドーキン