レッド・ドラゴンは、2002年公開のアメリカ合衆国の映画。羊たちの沈黙で、猟奇殺人鬼ハンニバル・レクター博士がクラリス・スターリングに出会う直前までを描く。トマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』の2度目の映画化である。ハンニバル・レクター博士シリーズ4部作のうちの3作目。アカデミー賞受賞作品となった『羊たちの沈黙』で登場するFBI捜査官クラリス・スターリングに出会う直前までを映像化している。「羊たちの沈黙」「ハンニバル」へと続く、T・ハリスによる小説シリーズ“レクター3部作”の第1作を再映画化したサスペンス。原作は1986年にも「レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙」として映画化されたが、前出2作の映画化でレクター博士に扮したホプキンス主演で異例の再映画化。かつてレクターを捕らえた捜査官役に人気俳優エドワード・ノートン。
レッド・ドラゴン 映画批評・評価・考察
レッド・ドラゴン(原題:Red Dragon)
脚本:35点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計85点
時系列では1作目の前日譚にあたる作品で『ハンニバル』のような派手なゴア描写はありませんが、登場人物の内面の描き方は秀逸でキャストの演技も繊細でじっくり見せてくれる見応えのある作品でした。ダラハイダを演じたレイフ・ファインズは、狂気と良心の間で揺れ動く繊細な心の動きが所作に現れており、素晴らしい演技だと感嘆しました。サイコ・スリラー映画としてはシリーズ4作のうち、今作がピカイチでした。過剰な演出が無いのにも関わらず、絶えず怖さを感じました。
レッド・ドラゴン あらすじ(ネタバレ)
1980年ボルチモア。FBI捜査官ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)は、犯罪精神医学の権威ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)の起こす連続殺人事件を追っていた。レクターの逮捕にこぎつけたものの、ウィルはレクターにナイフで腹部を刺され生死の境を彷徨うほどの重傷を負う。
3年後、FBIを退職しフロリダ州マラソンの海辺で暮らすウィルのもとへ、元上司ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が訪ねてくる。アラバマ州バーミングハムとジョージア州アトランタで起きた連続一家惨殺事件の捜査協力を依頼されたウィルは、期間限定で現場へ復帰する。捜査を始めたウィルは、収監されていたレクターに助言を求めることを決める。
一方、荒れ果てた屋敷に一人住むビデオ加工技師フランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)、通称ミスター・Dは自身の障害や、厳格な祖母に支配された生い立ちからくるトラウマに悩まされ、自らを脱却し超越することを望んでいた。
ウィルは、ボルティモア州立病院精神科へ飛び、事件についての意見を求めるためレクター博士と対面。レクターは犯人像と犠牲者選択のヒントを口にする。再びアトランタへ戻ったグレアムは、赤い竜という犯人のキーワードを発見。やがて殺人鬼の正体が、ホームビデオの製作やダビングを業とする会社に勤めるDことフランシス・ダラハイドだと判明する。
レクターと交信し、自ら神のように振る舞うダラハイドだったが、盲目の同僚の女性リーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)に愛を感じ、混乱が生じる。そしてダラハイドは、リーバの目の前でショットガンで自殺。
だが死んだはずの彼が、グレアムの自宅に現れ、息子(タイラー・パトリック・ジョーンズ)を襲った。まもなく格闘の末、ダラハイドは銃弾に倒れるのだった。
レッド・ドラゴン スタッフ
監督:ブレット・ラトナー
脚本:テッド・タリー
原作:トマス・ハリス『レッド・ドラゴン』
製作:ディノ・デ・ラウレンティス,マーサ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:アンドリュー・Z・デイヴィス
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:マーク・ヘルフリッチ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,UIP
レッド・ドラゴン キャスト
ハンニバル・レクター:アンソニー・ホプキンス
ウィル・グレアム:エドワード・ノートン
フランシス・ダラハイド:レイフ・ファインズ
ジャック・クロフォード:ハーヴェイ・カイテル
リーバ・マクレーン:エミリー・ワトソン
モリー・グレアム:メアリー=ルイーズ・パーカー
フレディ・ラウンズ(新聞記者):フィリップ・シーモア・ホフマン
フレデリック・チルトン博士:アンソニー・ヒールド
ロイド・ボーマン:ケン・レオン
バーニー・マシューズ:フランキー・フェイソン
ジョシュ・グレアム:タイラー・パトリック・ジョーンズ
チャールズ・リーズ:トム・ベリカ
ヴァレリー・リーズ:マルグリット・マッキンタイア
ビリー・リーズ:トミー・カーティス
ショーン・リーズ:ジョーダン・グルーバー
スージー・リーズ:モーガン・グルーバー
幼いフランシスの声:アレックス・D・リンツ
バイロン・メトカーフ:ウィリアム・ラッキング
ダラハイドの祖母の声:エレン・バースティン(ノンクレジット)
ラルフ・マンディ:フランク・ホエーリー(ノンクレジット)