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レオン|孤独な殺し屋と、殺された両親の復讐を誓う少女の純愛。リュック・ベッソン監督のハリウッド進出第1作。

映画 レオン
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レオンは、1994年製作のフランス・アメリカ合作映画。22分間未公開シーンを追加した完全版が1996年公開された。リュック・ベッソンのハリウッド初監督作品。会社側はそれほど重視していない作品であったが、『レオン』は予想を上回る大ヒットと批評家からの高評価でリュック・ベッソンの代表作となり、ジャン・レノとナタリー・ポートマンもこの作品でブレイクした。ベッソンは本作を、初期の作品『ニキータ』で描いたテーマを英語で描いた別バージョンであるとしている。特に主人公レオンのキャラクターは『ニキータ』の登場人物「掃除屋」から継承されており、ベッソン自身レオンは掃除屋の血族であると言及している。

レオン 映画批評・評価・考察


レオン(仏題:Leon、米題:The Professional)

脚本:38点
演技・演出:19点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:10点
合計92点

ベッソン監督のセンス抜群の洗練された映像の美しさや演出に加え、その手腕に応える若いキャストと中堅・ベテランキャストの見事な演技が傑作作品を生み出したといえ、才能が溢れんばかりのナタリー・ポートマンとベッソン作品で繊細な演技を磨いてきたジャン・レノ、そして悪役を演じさせれば憎悪すら抱いてしまうゲイリー・オールドマン、レオンのボスであるトニーを演じたのは名優ダニー・アイエロというのがまた渋ぶすぎる。ダニー・アイエロは、、『ゴッドファーザー PART II』のトニー・ロサト役、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のヴィンセント役、スパイク・リー監督作ドゥ・ザ・ライト・シングのサル役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた重鎮俳優。

※後に『TAXi』シリーズで一躍有名となったサミー・ナセリが、本作にはSWAT隊員役として出演。その演技から、ベッソンの目に止まることになった。また、ジャン=ユーグ・アングラードが、完全版のみに麻薬の売人役でカメオ出演(友情出演)している。

※完全版について 完全版の公開は1996年
監督自らが22分間の未公開シーンを加えたエクステンデッド版。『ディレクターズ・カット版』とも呼ばれている。追加されたシーンにはマチルダの強い主体性やレオンの過去、より実用的なマチルダの暗殺の練習などが描かれており、オリジナルとはレオンとマチルダのキャラクター、二人の関係の印象が少なからず異なっている。正確にはこちらが本来のオリジナル・バージョンであり、監督が本当に公開したかったものであったが、事前の試写会にかけた際、マチルダを実際の現場まで連れて行って暗殺の訓練をするシーンや、大人の男性と幼い少女が愛の言葉を交わしたとか、観衆の一部から「刺激的すぎる」「不健全である」との声があったため、やむ無く問題シーンをカットし、劇場では表現を抑えた『不完全版』が公開されることとなった。

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レオン あらすじ(ネタバレ)

ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオンは、プロの殺し屋として、表の顔はイタリアレストランの経営者で、イタリア系マフィアのボスであるトニーを介した依頼を完璧に遂行する日々を送っていた。ある日、「仕事」帰りのレオンはアパートの隣室に住む少女マチルダと、彼女の顔に父親からの暴力の痕があることをきっかけに知り合う。マチルダは実の父親であるジョセフだけではなく、義姉のジョアンからも虐待を受けており、義母のマージからはまるで関心を向けられず、幼い弟マイケルにしか心を開けない、閉塞感に満ちたまま日常を送っていた。父親に殴られて鼻血を出しているマチルダにレオンがハンカチを差し出す。「大人になっても人生はつらいの?」と尋ねるマチルダに「つらいさ」と答える。

その翌日、ジョセフが麻薬密売組織の「商品」を横領したことを見抜いたスタンスフィールドとその一味がアパートに乱入し、スタンスフィールドはマージやジョアンを容赦なく射殺。スタンスフィールドは薬の在り処を問い詰めるが、ジョセフが一瞬の隙を見て銃を取ったことから銃撃戦となり、手下の一人が撃ったマシンガンの銃弾がアパート内を乱れ飛ぶことになる。現場は蜂の巣になり、撃たれたことに激昂したスタンスフィールドがジョセフにシリンダーの弾を全部撃ち込んでいる頃には、すでに4歳のマイケルは流れ弾を浴びて死亡していた。レオンのためにいつもの2パックの牛乳を買いにでかけ、運良く難を逃れていたマチルダは、帰ってきた頃には家族全員を皆殺しにされていた事を知る。マチルダはとっさに隣室のレオンに助けを求め、レオンはしばし逡巡した後に彼女を保護する。

巧みな駆け引きを駆使し、弟の復讐のため殺しの技術を学ぼうとするマチルダは「ボニーとクライドや、テルマとルイーズのみたいにコンビを組もう」というが、レオンは殺しの腕は一流ながら学がない。「根が地面についてないということが自分と同じだ」という理由で、鉢植えの観葉植物だけが友達のレオン。奇妙な同居生活を始めた二人は、やがて互いに心の安らぎを見出すようになり、複雑な感情と信頼を抱いていく。

ある時、マチルダはスタンスフィールドが麻薬取締局の捜査官であることを突き止める。密売組織の背後には、スタンスフィールドを始め、麻薬取締局が絡んでいたのだ。ピザの宅配を装い麻薬取締局に侵入するも、スタンスフィールドに早々に察知され逆に捕まってしまうマチルダ。奇しくも、レオンもマチルダのために、マチルダの一家の殺害に関与した麻薬取締局の捜査官への復讐を始めていた。1人を始末して帰宅したところ、マチルダの置手紙により、マチルダが麻薬取締局にスタンスフィールドを殺害しに行ったことを知る。レオンは早速麻薬取締局へ乗り込み、拘束されていたマチルダを取り返し、一味の内2人を殺害する。

一方スタンスフィールドは、トニー配下の殺し屋が仲間の捜査官を殺害しているのだと目星をつけ、トニーを詰問しに出向く。実はスタンスフィールドこそが、今までトニーを仲介役にレオンに殺しを依頼してきた元締めであった。全てはレオンの仕業であると確信したスタンスフィールドは、次の日の朝、警察の全部隊を動員してレオンの住むアパートを包囲、突入させた。レオンは激しく抵抗し、その戦いの中マチルダを脱出させることに成功する。マチルダとはトニーの店で落ち合うことにし、レオン自身は負傷した突入部隊員に扮し脱出を試みるもスタンスフィールドに見破られ、あと一歩のところで射たれてしまう。だが虫の息の中、身に着けていた手榴弾のピンを抜き、スタンスフィールドを道連れにレオンは爆死する。

一人残されたマチルダは、トニーに殺し屋の修行をさせて欲しいと頼むが、断られる。レオンの遺産はレオンの意志により、トニーが管理して少しずつマチルダに渡されることになる。マチルダは学校の寄宿舎に戻り、レオンの形見となった観葉植物を学校の庭に植えるのだった。

レオン スタッフ

監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
製作:パトリス・ルドゥー
音楽:エリック・セラ
撮影:ティエリー・アルボガスト
編集:シルヴィ・ランドラ

レオン キャスト

レオン・モンタナジャン・レノ
本作の主人公。イタリア系移民で超一流の殺し屋。イタリアンマフィアのボスであるトニーからの依頼を受けては暗殺を行うが、「女子供は殺さない」というポリシーを持つ。『仕事』の時には黒のニット帽とオーバルのサングラスを着用している。何もない日は食事・家事・買い物・筋力トレーニング・観葉植物の世話と、決まった時間に決まったことを行うストイックな日々を過ごしている。唯一の気晴らしは映画館で古い映画を観ること。字を読むことができない。友達と呼べる人間も一人もおらず、ほとんど誰とも交流しない孤独な日々を送っている。唯一彼が心を許している「友達」の観葉植物の世話が日々の楽しみ。好物は牛乳で、周囲にあきれられるほど毎日欠かさず飲んでいる。ある日、気まぐれから命を救ったマチルダと一緒に暮らすようになり、さらには復讐のために殺しの技術を教えてくれと頼み込まれる。当初は断るが、銃を窓越しに乱射した彼女の本気さに触れ、しかたなく戦術の初歩を教えることになり、奇妙な同居生活をはじめる。

マチルダ・ランドーナタリー・ポートマン
本作のヒロイン。レオンの住むアパートの同じ階の隣に住む12歳の少女。幼いながらも言動は非常に大人びており、頭の回転も早いため、精神年齢は実際よりも高い印象を受ける。大人の目を盗んでタバコを吸うという癖がある。父親の再婚相手とうまくいっておらず、更には父親や異母姉とも仲が悪いため、「素行不良」という理由で寄宿舎に入れられている。唯一心を許し合っている幼い弟に会うために時々寄宿舎を抜け出して帰ってきていた。父親から暴力を受けた傷をレオンに見られ、声をかけられたことで顔見知りとなり、彼がいつも買う牛乳を買いに出かける。しかし、使いをすませて帰ってくると玄関先に死体となって転がっている父親を発見し、とっさに通りすぎて隣のレオンに助けを求めたことで難を逃れた。だが、最愛の弟を殺された復讐心から、レオンに殺しの技術を教えてもらう代わりに、学のない彼に読み書きや計算などの勉強を教えることになり、少女と殺し屋との同居生活が始まる。

ノーマン・スタンスフィールド(スタン)ゲイリー・オールドマン
麻薬取締局の刑事でありながら、麻薬密売組織を裏で牛耳る男。非常に残忍かつ冷酷非情な性格であり、女・子供を含めて無関係な人間を殺すことに一切の躊躇を見せない。レオンに暗殺指令を出していたトニーは、実は彼の指示で動いていた。クラシック音楽の鑑賞が趣味で、イヤホンで音楽を聴いたり、ジョセフの一家を惨殺した際は、ジョセフにクラシック音楽について語る描写がある。ベートーヴェン、モーツァルト、ブラームスを好んで聴いている。運び屋のジョセフ(マチルダの父親)が麻薬をくすねたことを知り、返却を求めたが応じなかったため、鼻歌を歌いながら一家を皆殺しにした。その際、彼の部下がマチルダの幼い弟を殺したことで彼女に憎悪されることになる。エキセントリックな行動が目立ち、麻薬捜査官でありながら自身も麻薬に手を染めている。しかし、頭の回転は早く、なおかつ捜査官としては非常に優秀で能力は高い。レオンがトニーの配下であることを見抜き、次第に彼を追い詰めていく。終盤、大勢の警官及び特殊部隊(ESU)を率いてレオンとマチルダのアパートを包囲・突入し、突入部隊員に扮し逃亡を図ろうとしたレオンの行動を見抜き、彼を撃って致命傷を負わせるものの、レオンが絶命寸前にピンを抜いた手榴弾の爆発で道連れとなり爆死した。

トニーダニー・アイエロ
レオンの雇い主でイタリアンマフィアのボス。アメリカに流れてきたレオンを拾って一流の殺し屋に育て上げたのは彼である。実はスタンスフィールドの配下であり、スタンと敵対する麻薬組織やマフィアを壊滅させて彼の勢力を拡大させていた。

ジョセフ・ランドーマイケル・バダルコ
マチルダの父親。定職にもつかず、ケチな麻薬の運び屋で収入を得る。実の父親にも関わらず、彼女を毛嫌いしており、厄介払い同然に寄宿舎に入れている。スタンスフィールドから預かっている麻薬をくすね、そのことを疑われるも認めず、刻限までに返却もしなかったため、報復として家族を殺害される。自身はショットガンで反撃を試み、スタンスフィールドの部下を1名を射殺し逃亡を企てるも、スタンスフィールドに射殺された。

マージ・ランドー:エレン・グリーン
マノーロ:アダム・ブッシュ
マルキー:ピーター・アペル
ウィリー・ブラッド:ウィリー・ワン・ブラッド
ベニー:キース・A・グラスコー
スタンスフィールドの部下:ドン・クリーチ
ファットマン(ジョーンズ):フランク・センジャー
トント:ルーシャス・ワイアット・チェロキー
ジョーンズのボディガードチーフ:エリック・シャリエ
SWATチーフ:ジェフリー・ベイトマン
重要人物のジョガー:デビッド・W・バトラー
ホテルの受付:ジョージ・マーティン

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