ピクセルは、2015年7月24日公開のアメリカ合衆国の映画。パックマン、ドンキーコング、スペースインベーダーなど、日本の名作ゲームのキャラクターたちをフィーチャーしたアドベンチャー。ゲームキャラクターにふんして地球侵略を開始したエイリアンと人類の攻防を活写する。メガホンを取るのは、『ハリー・ポッター』シリーズなどのクリス・コロンバス。
ピクセル 映画批評・評価・考察
ピクセル(原題: Pixels)
脚本:25点
演技・演出:10点
撮影・美術:16点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計65点
80年代に大人気だった『パックマン』『ギャラガ』『ドンキーコング』など、クラシックアーケードゲームのキャラクターが登場、懐かしさもあり当時子供だったおじさんには結構楽しめる映画になっている。期待通りアダム・サンドラー筆頭にギャグ・コメディならではのセリフ回しが多く、内容的にもくだらない箇所が多数あるのはご愛嬌。ゲームキャラのCGの映像は綺麗で見ごたえがあるし、戦闘におけるアイデアとユーモアは面白い。
※『パックマン』の生みの親である岩谷徹は「残虐じゃなかったらいいよ」と許諾しており、また、制作陣は「パックマンは正義の味方」というアメリカ人の一般的な認識に基づき、パックマンが人間を食べないように意識して制作している。
ピクセル あらすじ(ネタバレ)
1982年、NASAは地球外生命体に向けて当時流行していたゲームを収録した映像などを友好目的として送った。だが、それを見たある異星人がメッセージを「果たし状」と誤解してしまう。
2015年、異星人は映像を基にゲームのキャラクターを兵器として再現し、地球に送り込んだ。手始めにグアムのアンダーセン空軍基地を攻撃し、あらゆる物質を立方体状のブロック(ピクセル)に変える能力で兵器をバラバラに分解して、基地を壊滅させた。その兵器が『ギャラガ』をモデルにした物だと気づいた大統領ウィルは幼馴染みのサムを呼び出し相談を持ち掛けるが、ポーター大将ら軍幹部はゲームオタクに過ぎない彼の話を聞き入れず追い返してしまう。帰り道で親友のラドローと出会ったサムは、彼から今回の攻撃は「ヴォルーラ星人」と名乗る異星人からの挑戦状だと告げられる。2人はウィルの元に駆けつけ、ヴォルーラ星人からの「3本勝負」の挑戦状の存在を知らせたが、支持率を下げたくないウィルは軍隊の派遣をためらう。
そうしているうちに、インドのタージ・マハルが『アルカノイド』の形をした兵器によって崩滅してしまい、もう後が無いと悟ったウィルは、サムとラドローに地球の命運を託すことを決断した。ヴァイオレット中佐ら開発チームが対ゲームキャラ形兵器用武装を作り、2人はポーター率いるアメリカ軍の精鋭部隊にゲームスキルを教え込む。そしてロンドンで3回戦が始まったが、生え抜きのアメリカ兵達も特訓の甲斐無く苦戦を強いられ、ゲームに無関心なポーターら指揮官も全く役に立たず、ゲームに精通した2人の活躍によって勝利する。
勝利を喜ぶサムたちの元にヴォルーラ星人からのメッセージが届き、次の決闘場がニューヨークだと告げられる。サムは今後の戦いを有利に進めるため、自身のライバルでかつてアーケードゲーム世界大会チャンピオンだったエディに協力を依頼し、彼を対ゲームキャラ形兵器チーム“アーケーダーズ”に迎え入れる。サムたちはニューヨークでパックマンとの闘いに勝利し同点に持ち込むが、エディがチートプログラムを使用していたことが発覚し、ヴォルーラ星人はそれを「ルール違反」と咎めて地球総攻撃を通告すると共に、ペナルティとしてヴァイオレットの息子マティを攫ってしまう。
“アーケーダーズ”を疎んじていたポーターはこれ幸いと彼らを追い出すが、ワシントンD.C.を襲うゲームキャラ形兵器の大群に手も足も出ない。一方、失意に陥るも再び立ち上がった“アーケーダーズ”は、シェルターから抜け出したウィルが持ってきた対ゲームキャラ形兵器用武装を携え、迎撃に臨む。母船の下に辿り着いたサムたちは内部に呼び入れられ、「ボスとの直接対決」としてサムが苦手とする『ドンキーコング』で戦うこととなった。かつてエディに敗れたトラウマを思い出し苦戦するサムだったが、マティからエディが世界大会でもチートプログラムを使用していたことを知らされ、「実力だけで勝負したらブレナーさんがチャンピオンだった」と言われて奮起し、ドンキーコングを倒して勝利する。
地球人と誤解を解いたヴォルーラ星人との和平は無事に成就された。そして人質を救出して帰還を果たした“アーケーダーズ”は地球を救った英雄として迎えられ、サムは世界大会で敗れて以来失っていた自信を取り戻した。
ピクセル スタッフ
監督:クリス・コロンバス
脚本:ティム・ハーリヒー,ティモシー・ダウリング
原案:ティム・ハーリヒー
原作:パトリック・ジャン 『ピクセル』
製作:アダム・サンドラー, クリス・コロンバス,アレン・コヴァート,マーク・ラドクリフ
製作総指揮:パトリック・ジャン, ベンジャミン・ダラス,ジョニー・アルヴェス,マティアス・ブシャール,セス・ゴードン,ベン・ウェイスブレン,ラー・ペイカンジャック・ジャラプートスティーヴ・コーレンヘザー・パリー, バリー・ベルナルディ, マイケル・バーナサン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
主題歌:ワカ・フロッカ・フレイム『Game On(feat. Good Charlotte)』,三戸なつめ『8ビットボーイ』
撮影:アミール・モクリ
編集:ヒューズ・ウィンボーン
製作会社:ハッピー・マディソン・プロダクションズ1492ピクチャーズ
ピクセル キャスト
サム・ブレナー:アダム・サンドラー
今作の主人公。元『ギャラガ』の世界チャンピオン。子供の頃は凄腕のアーケードゲーマーだったが、アーケードゲーム世界大会の決勝戦『ドンキーコング』でエディに負けて以来自信を失い落ちぶれる。現在はオタック電気に勤め、主にホームシアターの取り付け業者として働いているが、大統領となった親友ウィル直々の指名により地球の命運を賭けた戦いに身を投じる。センチピード戦での活躍によってアーケーダーズのリーダーとなる。作中では『ブレナー』とファーストネームで呼ばれていることがほとんどで、『サム』と呼ばれることは少ない。性格は達者で楽観的だが、敵キャラクターの行動パターンを完璧に読み取れる実力を持っている。そのためゲーム好きでありながらも、パターンのない現代ゲームよりパターンのあるレトロゲームを好む。アーケードゲーム世界大会の決勝戦に使われた『ドンキーコング』には敗北したトラウマもあり苦手意識を持つ。ちなみに日本語吹替版でのサムの台詞には、序盤で「あばよ!」と吹き替えを務める柳沢慎吾のセルフパロディが入っている。
ウィル・クーパー:ケヴィン・ジェームズ
サムの幼なじみの親友で、現在はアメリカ大統領として活躍している。しかし政策は全く支持されておらず、しまいには小学校で絵本を読み聞かせる際に読み間違いを繰り返した挙句、それを子供に手厳しく指摘され呆然とする情けない姿を中継で曝したり、地球が侵略されるかもしれない瀬戸際であるにもかかわらず新妻のジェーンと幼稚にじゃれ合いながらケーキを作っている映像をスクープされたりとスキャンダル続きで、歴代中最もバカな大統領として世間の笑い者にされている。なんで彼が大統領になれたのか不思議だが、エディの協力する条件を取捨選択して適切に受け入れるなど、少なくとも的確な判断ができるところがあった。また、今回の事件でサム等を活躍させた事で国民からの支持率と信頼度が回復していき自身も難しい言葉が少し分かる程には成長した。子供の頃にクレーンゲームで手に入れた『スターウォーズ』のチューバッカのマスクを愛用していることから、チューバッカの愛称である「チューイー」のニックネームを持つ。当初はサム達の活躍を別室から見守っていたが、終盤では窮地に陥った彼等を助けるべくアーケーダーズの一員として参戦。ゲームの腕前はサムに遠く及ばないが、クレーンゲームだけは誰よりも上手で、実際にクレーン車を操縦してサムらに襲いかかった『フロッガー』のカエルをアームで捕まえた。
ヴァイオレット・ヴァン・パッテン:ミシェル・モナハン
本作のヒロイン。一児の子供を持つアメリカ軍中佐で、対ゲームキャラクター用武装の開発及び提供を担当している。「シナモン」と言う女性に旦那を奪われ自宅で悲しんでいた所に仕事にやって来たサムと出会う。最初はサムとはあまり仲が良いとは言えず対立することもあったが、彼の活躍によって次第に信頼し合えるほどの距離に縮まり、仲良くなる。パックマン戦ではアーケーダーズのオペレーターを務めたが、エディがイカサマをしたせいで息子をヴォルーラ星人に連れ去られた上解任されてしまった。その後戦いを終わらせ息子達を救出するために改めてチームの一員に加わる。
エディ・プラント:ピーター・ディンクレイジ
アーケードゲーム世界大会でサムを負かした『ドンキーコング』の世界チャンピオンで、サムのライバル。自称「ファイヤーブラスター(火炎噴射男)」。電話会社にハッキングし架空請求を行ったため、8年間刑務所に収監されていたが、釈放を条件にアーケーダーズのエースとして加入した。非常に傲慢で常に挑発的な振る舞いをし、他者を「負け犬」呼ばわりする事が多い。強欲な一面もあり、協力の見返りとして釈放以外に島や自家用ヘリ、ずっと税金を払わない、セリーナ・ウィリアムズとマーサ・スチュワートとリンカーンホテルでWデートを要求した。実は愛用のサングラスのレンズにチートコードを彫り込んでおり、世界チャンピオンまで上り詰めたのもそれを用いたイカサマによるものだった。ヴォルーラ星人にパックマン戦でのイカサマがばれた事を知ると責任逃れのために行方をくらましたが、決戦の際には「ズルせずに勝ちたい」という願望を胸に再び参戦。すべてが終わった後にはサムにイカサマの件を謝罪し、彼が世界一のアーケードゲーマーであると認めたことで許された。容姿と性格は、実在する『パックマン』と『ドンキーコング』の世界チャンピオンビリー・ミッチェルをモデルにしている。ちなみに日本語吹替版でのエディの台詞では、神谷のアドリブで神谷が演じた『シティーハンター』シリーズの冴羽や、『北斗の拳』シリーズのケンシロウのセルフパロディが入っている。
ラドロー・レイモンソフ:ジョシュ・ギャッド
サムとウィルの少年時代からの親友で、同じくサムと共にアーケードゲーム世界大会に参加したゲーマー。自称「ワンダーキッド」。誰よりも先に異星人からの攻撃だと気づき、サム達を動かした。センチピード戦でサムと共に活躍したため、アーケーダーズの一員として抜擢される。成人しても女性経験はなく、『ドージョークエスト』のレディ・リサを溺愛しており、現実世界に現れたら結婚したいと強く願っている。その上幼い頃から病的な陰謀論者であり、また他者とコミュニケーションを取ることも苦手とし、実際にクロロホルムを用いるなどの陰険な手段をとることも少なくないことから、周囲からは変人扱いされており、友達も少ない。祖母と暮らしているが、祖母とも仲が悪い。戦いを通じ、人間性や人との繋がりの大切さに気付き、全てが終わった後、Qバートから変化したレディ・リサと結婚。その1年後、彼女との間にできた5匹のQバートを育てる良き父親となった。
マティ:マシュー・リンツ
ヴァイオレットの一人息子。サムと同じくゲーム好きで、それをきっかけに彼と仲良くなる。更に母親とサムを近づけようとサポートする。子供とは思えないほど冷静であり、『ラスト・オブ・アス』などの流血や暴力表現のあるゲームも平然と遊ぶ。「敵キャラクターの行動パターンを読んで戦う」という考えを持つサムとは違い「プレイヤー側のキャラクターが死なないように戦う」という考えを持っており、更に警察が発見したエディのサングラスを見たことでイカサマをしたことに唯一気付き奇しくもこれらの事がラストゲームで役立ってくる。
ジェーン・クーパー:ジェーン・クラコウスキー
アメリカのファーストレディで、ウィルの新妻。最初はウィルが相手してくれなかったことで愛想が尽きそうになったが、今回の事件で改めてウィルと時間を過ごすことで、互いの夫婦愛が改善された。
ポーター:ブライアン・コックス
アメリカ海軍提督で、ヴァイオレットの上司。保守的な軍人で、ゲームキャラクターによる攻撃も当初は他国からの攻撃だと決めつけていた。ゲームへの興味もゲームオタクへの理解も無く、対ゲームキャラクター用武装も撃退に大活躍しているサム達も信用していない。
岩谷教授:デニス・アキヤマ
『パックマン』を企画・デザインした岩谷徹がモデルであり、作中設定では事件当時は大学教授である[15]。パックマン戦にて4人目のゴースト役にサムたちの助っ人として、日本から派遣されて来る。自分が創ったパックマンを息子のようにこよなく愛しており、実体化して街を襲撃するパックマンを手なずけようと接触するが、右手を噛まれてピクセル化されてしまったため、「このビッチをぶっ殺せー!」と叫びながら逃げていった。その後は特に出番も無かったが、終盤で戦いが終わるとピクセル化された右手が元に戻り、ヴォルーラ星人の母船を見て笑顔を浮かべていた。岩谷徹本人による出演だと誤解されることもあるが、実際に本人が演じたのは1982年に幼いサムたちが通っていたゲームセンターでアーケードゲーム機の修理をするエンジニア役としての一瞬の「カメオ出演」である。
ディラン・コーハン:アフィオン・クロケット
アンダーセン空軍基地に勤務している軍曹。基地がギャラガに襲撃された際、異星人によってトロフィーとして攫われてしまう。マザコンで、攫われてしまったりアーケーダーズがドンキーコングのステージに現れた際も母親の事ばかり気にしている。クライマックスで救出された際にはウィルを「二番目に好きな大統領」と褒め称えた(一番目は「オバマさん」)。
ヒル:ショーン・ビーン
SASに所属するイギリス軍伍長で、ハイドパークにて一般人に退去を命じた。ポーター同様に保守的な軍人で、サムたちを信用していないが、劇中ではセンチピード戦の際にビールのCM撮影と嘘をついて市民を紛争の場から遠ざけるなど、市民に配慮する面もある。
バグショー:フィオナ・ショウ
イギリスの首相。異星人を撃退するためアメリカ軍に協力する。小難しい単語や言い回しを使って話すためウィルは何を言っているのか理解できなかった。しかもウィルのスキャンダラスなスクープを見た時は彼にズレた指摘をした。
司会者:ダン・エイクロイド
1982年にサム達が参加したアーケードゲーム世界大会の司会者。
本人役:セリーナ・ウィリアムズ
エディが地球を救う見返りに求めたデート相手。島一つを貰うことを条件にエディとデートをし、当初はエディに脅しをかけるほどうんざりしていたが、エディが世界を救った英雄となってからは手のひらを反すように好意を抱くようになった。
本人役:マーサ・スチュワート
セリーナ同様、エディが地球を救う見返りに求めたデート相手。
マックス・ヘッドルーム:マット・フリューワー
アメリカでも放送されたイギリスのテレビ番組『マックス・ヘッドルーム』の主人公。ヴォルーラ星人のボスの使いとして、彼の顔を借りたメッセンジャーがアーケーダーズをラストゲームへと招く。
なお、日本語吹き替え版での名前表記は“宇宙人マックス”。吹き替えを担当した山寺は『マックス・ヘッドルーム』本編でもマックスの吹き替えを担当している。
レディ・リサ:アシュレイ・ベンソン
『ドージョークエスト』の主人公で、ラドローが溺愛している女性キャラクター。日本刀を使った二刀流の達人で、その美しい姿はラドロー含む多くのプレイヤーを魅了した。ヴォルーラ星人の技術によって実体化したが、他のゲームキャラクターは全てゲームと同じドット体で登場するのに対し、リサだけはなぜか人間と同様の姿に変化できる。登場早々ラドローに襲い掛かるも、彼の自分に対する真っ直ぐで真剣な純愛に心打たれて地球側に寝返った。戦いが終わると彼女も消滅し落胆するラドローであったが、トロフィーとして残ったQバートがレディ・リサに変化し元気を取り戻した。終始寡黙なキャラクターで、ラストで少しだけ喋ったが、日本語吹き替え版ではラドローが喋ったことになっている。