ディープ・インパクトは、1998年公開のアメリカ合衆国の映画。“彗星の地球衝突”を題材にしたことで続く同時期のヒット作「アルマゲドン」の“隕石地球落下”との競作も話題になったSFパニック巨編。ミミ・レダーが監督、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮をそれぞれ担当し、ドリームワークスとパラマウント映画が共同で配給を担当している。一般的に、この手のパニック映画では派手なCG演出で逃げ惑う人々の混乱などを描くことが多いが、本作では世界的な危機に陥った状況下の各登場人物の人間関係と、政府の危機管理対策を主軸として描いている。
ディープ・インパクト 映画批評・評価・考察
ディープ・インパクト(原題:Deep Impact)
脚本:37点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計87点
ミミ・レダー監督は、依頼が来た当初は、自分には荷が重いと難色を示していたようですが、スピルバーグが説得し承諾した経緯があります。ミミ・レダー監督の代表作(次作)には、ハーレイ・ジョエル・オスメント主演の『ペイ・フォワード可能の王国』があり、非常に繊細な心情の変化や葛藤を演出する表現力があり、今作がパニックムービーやディザスタームービーとしてではなく感動作として受け入れられているのは人の心情と行動の描写が丁寧だったからのように思えます。
ディープ・インパクト あらすじ(ネタバレ)
天文部に所属する高校生、リオ・ビーダーマンは天体観測中に彗星を発見。その情報を天文台のウルフ博士に伝える。計算の結果、彗星が地球に衝突するとの結果を弾き出し、博士は情報を持って移動するが交通事故で亡くなってしまう。
1年後、テレビ局に勤めキャスターを目指しているジェニーは、元財務局長官の突然の辞職の理由が「エリー」という女性との不倫スキャンダルだと読んで取材をしていた。「エリー」に関して嗅ぎつけられたと思った政府はジェニーを連行、アメリカ大統領トム・ベックのもとに通すと、大統領は2日後に行う緊急会見に好待遇で出席させる事を条件に、それまでスクープを伏せて欲しいと頼む。
2日後その緊急会見にて「ウルフ=ビーダーマン彗星」が地球に1年後に衝突する事と、衝突回避のための「メサイア計画」を発表した。エリーとは女性の名前ではなく「E.L.E.」(Extinction-Level Event, 種の絶滅級の事象)のことだったのだ。会見の特別席に出席した事もありジェニーは社内のライバル、ベスを出し抜いてメサイア計画の報道キャスターに抜擢される。「メサイア計画」とは、アメリカとロシアの合同作戦で、宇宙船メサイア号で彗星に乗り込み、核爆弾で彗星を破壊する計画だ。その搭乗クルーにはかつてアポロ計画に参加し時の人となった有名ベテランパイロット、フィッシュもいた。他の若いクルー達からは「NASAがPRのために起用した過去の人」とやっかまれていたが、一同は作戦通りメサイアで彗星に乗り込む。過酷な状況下で死傷者を出しながらも核爆弾を埋め込み爆発させることには成功、しかし彗星は大きな破片の「ウルフ」と小さな破片の「ビーダーマン」の二つに分裂しただけで、軌道を逸らすには至らず、なおも地球へと進み続けていた。さらに爆発の衝撃でメサイアは地上との通信も途絶してしまう。
政府はメサイア計画の失敗を伝えるとともに、戒厳令、第2作戦となる核ミサイルでの迎撃による「タイタン作戦」、そしてその失敗に備えて各国が「ノアの方舟」となる地下居住施設をすでに建設していることを公表。アメリカは100万人収容可能な巨大な地下施設をミズーリ州内の洞窟に建設していたが、つまり国民の大半は見捨てられたも同然だった。彗星発見者として予め家族と共にシェルターへの避難権を与えられたリオは、ガールフレンドのサラと結婚すればサラとその家族も一緒に避難所に入れると聞きつけサラと結婚。しかしいざ軍の送迎バスに乗り込む際に、サラだけは避難権を得ていたものの、その家族は対象外となっていた事が判明、サラは両親と離れられないとして残ってしまう。しかしリオも地下シェルターの入り口まで来た所でやはりサラを置いてはいけないと、避難権利を捨て両親と別れ引き返して行くのだった。
一方、政府の計らいで避難者に選ばれたジェニーだが、避難権の抽選対象は50歳未満との規定により対象外となっていた母が自殺してしまう。ジェニーは母を捨てて若い女性と再婚した父を許せなかった。しかし核ミサイルタイタンの作戦も失敗に終わり、避難権を持たない人々は彗星の衝突を待つばかりとなった中、家族の絆を思い出したジェニーは避難権をベスに譲ると、家族にとっての思い出のビーチに向かう。そして同じ思いを持ってそこに居た父と再会し、和解を選ぶのだった。
先行していた小彗星が地球に落下。1000メートルにも及ぶ高さの津波が都市を次々に飲み込んでいく。バイクでサラと合流したリオは、サラの両親からサラとその妹である赤ん坊を託されると、津波から逃げるために山を駆け上がる。一方、地球に近づいた事で通信が復旧したメサイアは、フィッシュ指導のもと残された核弾頭で大彗星だけでも破壊する事をNASAに告げると、家族との最後の交信を交わし大彗星に突入していく。小彗星による津波をギリギリでかわす事に成功したリオとサラが空を見上げると、そこにはメサイアが破壊した大彗星の破片が光の流星シャワーとなって降り注いていた。甚大な被害を出しながらも、生き残った人々は人類の再建を誓うのだった。
ディープ・インパクト スタッフ
監督:ミミ・レダー
製作:リチャード・D・ザナック,デヴィッド・ブラウン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ,ジョーン・ブラッドショウ,ウォルター・F・パークス
脚本:マイケル・トルキン,ブルース・ジョエル・ルービン
撮影:ディートリッヒ・ローマン
美術:レスリー・ディレイ
衣装デザイン:ルース・マイヤーズ
編集:ポール・チチョッキ,デヴィッド・ローゼンブルーム
キャスティング:アリソン・ジョーンズ
音楽:ジェームズ・ホーナー
製作会社:ドリームワークス
配給:パラマウント映画,ドリームワークス,UIP
ディープ・インパクト キャスト
スパージョン・“フィッシュ”・タナー:ロバート・デュヴァル
ジェニー・ラーナー:ティア・レオーニ
リオ・ビーダーマン:イライジャ・ウッド
ロビン・ラーナー:ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ジェイソン・ラーナー:マクシミリアン・シェル
サラ・ホッチナー:リーリー・ソビエスキー
トム・ベック:モーガン・フリーマン
アラン・リッテンハウス:ジェームズ・クロムウェル
アンドレア・ベイカー:メアリー・マコーマック
マーク・サイモン:ブレア・アンダーウッド
オーレン・モナッシュ:ロン・エルダード
ガス・パーテンザ:ジョン・ファヴロー
マーカス・ウルフ:チャールズ・マーティン・スミス
ドン・ビーダーマン:リチャード・シフ
ヴィッキー・ホッチナー:デニーズ・クロスビー
ミハイル・タルチンスキー:アレキサンダー・バルエフ
エリック・ヴェネカー:ダグレイ・スコット
ベス・スタンレー:ローラ・イネス
スチュアート・ケイリー:ブルース・ウェイツ
クロエ・ラーナー:リヤ・キールステッド
マリアンヌ・デュクロス:ウナ・デーモン
ティム・アーバンスキー:マーク・モーゼス
オーティス・“ミッチー”・ヘフター:カートウッド・スミス
ボビー・ルー:アリミ・バラード