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ゼイリブ|格差社会の到来を予知したかのような資本主義への風刺作品。エイリアンによる姿なき侵略を描くSF サスペンス・ホラー!

映画 ゼイリブ
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ゼイリブは、1988年製作のアメリカ合衆国のSF映画。SF映画、ホラー映画の形をとった風刺作品であり、またアクション映画の面もあるこの作品には、1980年代の社会に蔓延した物質主義的思考に対する批判や、特権階級の者らがメディアを悪用し人々を洗脳し社会を専制的に支配していることに対する批判や警告が織り込まれている。

ゼイリブ 映画批評・評価・考察


ゼイリブ(原題:They Live)

脚本:35点
演技・演出:15点
撮影・美術:12点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計76点

映画『ゼイリブ(原題:They Live)』はジョン・カーペンターが製作のほぼすべての分野に携わっており、彼のファン必見の作品の一つ。
この映画は二つの作品が元になっていて、ひとつはレイ・ネルソンによる朝の八時であり The Magazine of Fantasy and Science Fiction誌に1963年に掲載されたものである。もうひとつは Nadaと呼ばれた作品で、the Alien Encounters comic book に掲載されたものである。
それらの要素に加えて、1980年代にかつてないほどに増大した通俗的な資本主義に対するカーペンター監督の嫌悪感が表現されている
1980年代の社会に蔓延した物質主義的思考に対する批判や、特権階級の者らがメディアを悪用し人々を洗脳し社会を専制的に支配していることに対する批判や警告が織り込まれている。
カーペンター監督はかつて次のようにコメントしたことがある。

「ふたたびテレビを見てすぐに気づいたことは、テレビ画面に映し出される映像は全て、我々に何かを売りつける意図のもとにデザインされているということです。映像はすべて我々に何かを買いたいという欲望を起こさせることを意図して作られているのです。彼ら(映像の作り手)がやりたいことと言えば、我々のお金を奪うことだけです」

この作品では、邪悪な者たちを骸骨のようなエイリアン(異星人)に喩えつつ、彼らがテレビ放送、マスメディアを用いて自分たちの姿をまともな人間であるかのようにいつわり、また洗脳手法、例えばサブリミナル効果の手法を用いて社会を支配し人々に悪影響を及ぼしている様子が衝撃的に描かれている。

上記の内容をそのまま受け止めると、物凄い神ががった説教くさい重厚な映画のように思えてしまうが、物語の中盤で友人にサングラスを掛けさせるために、プロレス技(主人公ナダ役は元プロレスラー)を繰り出しながら5、6分くらい格闘するシーンがあったり、風俗嬢がセックスしている相手が宇宙人だったり、カーペンター自身はかなり遊び半分で撮っている映画で作品のテイストは低予算B級映画であることを忘れることなかれ。。。

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ゼイリブ あらすじ(ネタバレ)

主人公 ナダ(ネイダ)は、しがない肉体労働者。世は貧富の差が激しく、失業者があふれている。

家がないナダはフランクに誘われ労働者仲間のボロ家(キャンプ地)に仲間たちと一緒に泊めてもらう。そこで何気なくテレビを見はじめた。画面には贅沢な消費生活にどっぷりつかった女性の映像が流れている。ところが受信映像がふいに乱れたと思ったら、正規の放送局の映像とは思えない乱れた電波が画面に映りはじめて、その映像に現れた男がこんなことを言い始めた。「我々の暮らしている世界は人工的な仮眠状態にされています。あるグループが信号が発信されているのを発見したのです。彼らは抑圧的な社会を作り上げているのです。彼らの目的は皆の意識をなくすことです。彼らの目的は人々を欲に目をくらませ、物質主義者にしたてあげることです。彼らは自分たちが生きるために我々を眠りこけさせ、欲に狂わせている。我々は“奴隷”にされているのです」映像が消えると、ナダの近く座っていた男がなぜかそわそわと立ち上がり出てゆく。ナダは不審に思い、気づかれないようにその男についてゆく。男は近所の教会堂の中に入ってゆく。”自由教会”という名の教会で、普段から賛美歌が聞こえてきていた。ナダは気づかれないようにこっそりとその教会堂に足を踏み入れる。賛美歌が聞こえていたのは人の声ではなく、録音テープで流している不思議な教会であった。その教会堂の隣室では人々が何やら議論をしていた。ナダは壁に隠された収納スペースがあり、そこにダンボール箱がいくつも入っていることに気づく。ナダはとりあえず教会から退散した。不思議な教会のことが気になったナダは、後日もその教会堂を外から観察しつづけた。するとナダのいるキャンプ地に突然に武装警官の集団が襲いかかった。翌日ナダが教会堂に行ってみると、人が誰もいなくなっていた。ナダは隠し収納部屋があったことを思い出す。ナダはそこからダンボール箱をひとつ持ち去った。

街の横丁にたどりつきそのダンボール箱を開けた。中には黒いサングラスがぎっしりとつまっていた。そのうちのひとつを手にとると、残りはダンボール箱のままゴミ箱に捨てた。何気なくそのサングラスをかけて街をブラブラと歩き始めた。すると街の景色が何やらいつもと違って見える。宣伝の平凡な写真の看板やカリブ海旅行の看板をメガネを通して見ると、「命令に従え」「結婚して、出産せよ」と書いてある。サングラスを通して見ると、雑誌にも新聞にもテレビ放送でも「消費しろ」「考えるな」「眠っていろ」「権力に従え」などの不気味な命令文に満ち満ちているのが見える。しかも街に溢れる人々の大半は、骸骨のような恐ろしい顔をしたエイリアンたちだった。エイリアンが人間のふりをしていたのだ。 このサングラスは、エイリアンの本当の姿、およびエイリアンらが作り出している洗脳信号を見抜くことができるサングラスだったのだ。と、突然、警官がナダに襲いかかってきた。サングラスを通して見ると、その警官もエイリアンである。実は既に地球にはエイリアンが溢れていて、政府の中枢も、テレビ局にもエイリアンが人間に擬態をして入り込んでおり、人間は彼らに支配されていたのだ。人間達はニセの現実の中に生かされていたのだ。ナダたちはエイリアンたちに対して戦う決意を固め行動を開始した。

ナダは路地のゴミ捨て場に隠していた残りのサングラスを回収し、給料の支払いに現れたフランクに与える。はじめは拒絶するフランクだったが、ナダは殴り合いのすえに何とか彼を説得し、エイリアンの存在に気づかせる。そしてふたりはギルバートとも偶然再会、サングラスを掛けていた3人は無言で状況を理解し合う。ギルバートはエイリアンに対するレジスタンスのリーダーであり、電波ジャックやサングラス製造も彼の仲間によるものだった。レジスタンスの秘密集会に参加したナダとフランクは、「新兵器」としてコンタクトレンズ型の透視装置と、エイリアンからの鹵獲品である、通信機能とワープ機能を備えた腕時計を手渡される。レジスタンスは「ケーブル54」を洗脳信号の発信源とみていたが、「送信所は潔白です。社員である私が保証します」という声が挙げられ、議論は打ち切られた。声の主はホリーだった。ナダに気づいたホリーは、かつての自分の非をナダに詫びる。そこへ、アジトのありかを突き止めた警官隊が乱入し、ギルバートらレジスタンスのほとんどが射殺される。ナダとフランクは腕時計のワープ機能によって何とかその場を脱する。

ワープホールの先は、エイリアンが地下に張りめぐらせた秘密都市だった。そこでふたりは、かつてのキャンプ仲間だった元浮浪者の男と再会する。男はエイリアンへの協力と引き換えに出世街道を歩み、身なりのよい紳士となっていた。ふたりは自分たちが協力者となったと思わせ、男に地下都市を案内させる。地下都市にはエイリアンが出入りする宇宙港としてのワープ場および、「ケーブル54」のテレビスタジオの入り口があった。ナダとフランクは警備員を射殺して社内に乱入し、信号の発信源を探し回る。

社内でナダはホリーと再会し、技術に明るい彼女から、送信アンテナがビルの屋上にあることを聞き出し、そこを目指す。ナダが先に屋上にたどり着くが、後からやって来たのはホリーだけであった。実は彼女もエイリアンの協力者であり、フランクは既に彼女の手により殺されていた。ホリーがナダに銃を突きつけると同時に警察のヘリも機銃で狙いをつけ、絶体絶命となる。しかし、ナダは袖に隠し持っていた銃でホリーを射殺、機銃に撃たれながらもアンテナを破壊、目的を達成しながら事切れた。

擬態信号が利かなくなり、放送中のニュースキャスター、評論家、テレビ俳優、そして街の人々など、社会に溶け込んでいるエイリアンたちの正体が次々と露わになり、世界は大パニックに陥るのだった。

ゼイリブ スタッフ

監督:ジョン・カーペンター
製作:ラリー・J・フランコ
製作総指揮:シェップ・ゴードンアンドレ・ブレイ
原案:レイ・ネルソン 『朝の八時』
脚本:フランク・アーミテイジ(=ジョン・カーペンター
音楽:ジョン・カーペンターアラン・ハワース
美術:ウイリアム・J・ダレル・ジュニアダニエル・A・ロミノ
SFX:ジム・ダンフォース
製作会社:カルロコ・ピクチャーズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,東宝東和

ゼイリブ キャスト

ナダ:ロディ・パイパー
フランク:キース・デイヴィッド
ホリー:メグ・フォスター
浮浪者:ジョージ・フラワー
ギルバート:ピーター・ジェイソン
宣教師:レイモン・サン・ジャック
髭の男:ジョン・ローレンス
親方:ノーマン・オールデン
父親:ジェイソン・ロバーズ・Jr
テレビの女優:スーザン・ブランチャード
身なりのいい客:ジョン・F・ゴフ
ブロンドの警官:ノーマン・ハウエル
黒人革命家:サイ・リチャードソン

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