ザ・フライは、1986年公開のアメリカ合衆国の映画。物質移動と遺伝子組みかえを研究している科学者が実験ミスによって蝿男になるまでをリアルに描くホラー映画。1958年に公開された同名の映画(邦題は『ハエ男の恐怖』)のリメイク作品で、主演ジェフ・ゴールドブラムの出世作。1989年には続編『ザ・フライ2 二世誕生』が公開された。
ザ・フライ 映画批評・評価・考察
ザ・フライ (原題:The Fly)
脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:19点
編集:10点
音響・音楽:8点
合計93点
監督のクローネンバーグはスキャナーズで全世界に信者ともいえる熱烈なファンを獲得しており、公開後多くの作品に影響を与えています。
今作でもずば抜けた才能を発揮し、その世界観はSFホラーの新たなページを開いた。クローネンバーグが求める映像をスタッフが創意工夫重ね実現していて、CGが無い時代なので、壁をペタペタと歩き回るシーンを、回転する部屋を作り撮影しています。主演のジェフ・ゴールドブラムもヒロインのジーナ・デイヴィスもこの作品以降もキャリアを積みハリウッド・スターの地位を築きました。
ハエとの遺伝子レベルの融合が、どういう結果を招くのかをフィクションながらも説得力のある映像で表現できており、当時はトラウマになるほど強烈なインパクトがありました。物語の途中まではスパイダーマンのように超人的な能力を得たように見せておいて、変態していく過程はさすがでした。また肉体の変化と精神の変化も描けているのも素晴らしい。
怖かったのは、変態シーンよりも、おぇ~どろどろぉ~じゅわぁ~を2連発されるシーンのが気持ち悪かったし、ゲッツさんが気の毒過ぎると同情してしまいました。腕相撲ボキッはトラウマです。
ザ・フライ あらすじ(ネタバレ)
上手くいけばノーベル化学賞を受賞できたかもしれないと言われた天才科学者セス・ブランドルは、「隣り合う2つのポッドの片方に収めた物体を細胞レベルで分解し、もう片方へ送った後、元の状態に再構築する」という物質転送機「テレポッド」を開発中。無機物の転送実験には成功していたセスだが、有機物では失敗が続いていた。
ある日、自分を取材した記者であり後に恋人となるヴェロニカの助言を得たセスは、それをヒントに改良を重ね、遂に生物の転送に成功。しかし、ヴェロニカと彼女の元恋人ステイシスとの関係に嫉妬し泥酔したセスは、その勢いで自らの身体を実験台とした転送を行う。
転送直後は何一つ不具合はなく、むしろ転送前より強靭となった事で成功を収めたかに見えたこの実験だったが、その後セスの身体に数々の異変が発生。調査の結果、実験時に彼の入った転送ポッドに1匹のハエがまぎれ込んでおり、再構築にあたって、遺伝子レベルでセスとハエが融合したことが判明した。
異常な身体能力を得ると共に肉体は変貌し、日ごとに人間ではなくなっていくセス。彼の身を案じるヴェロニカだが自身の妊娠が発覚、彼女の胎内に宿ったセスとの子供もハエの遺伝子を受け継いでいる可能性があると知る。ヴェロニカはステイシスの助けを得て堕胎手術に臨むが、思考までハエと化しつつあるセスに妨害され、研究室へと連れ去られる。
ついに完全なハエ人間ブランドルフライとなったセスは、完全な人間に戻ることを諦め、“人間に近い生物”になるべく「テレポッドを使ったヴェロニカ及び胎児との融合」を画策するが、ステイシスの妨害により失敗、ポッドの部品との異常な融合を果たす。もはや動くことすらできないブランドルフライから彼自身の銃殺を乞われたヴェロニカは、これに応えるのだった。
ザ・フライ スタッフ
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:チャールズ・エドワード・ポーグ,デヴィッド・クローネンバーグ
製作:スチュアート・コーンフェルド
製作総指揮:メル・ブルックス
音楽:ハワード・ショア
撮影:マーク・アーウィン
編集:ロナルド・サンダース
配給:20世紀フォックス
ザ・フライ キャスト
セス・ブランドル:ジェフ・ゴールドブラム
ヴェロニカ・クエイフ:ジーナ・デイヴィス
ステイシス・ボランズ:ジョン・ゲッツ
トニー:ジョイ・バウシェル
マーキー:ジョージ・シュバロ
ブレント・シーバース医師:レスリー・カールソン
産婦人科医:デヴィッド・クローネンバーグ
バーの男:マイケル・コープマン