コンクリートは、2004年に公開された日本映画。ノンフィクション小説『十七歳、悪の履歴書』を原作とし、女子高生コンクリート詰め殺人事件をモチーフとして、わずか5日間で撮り上げた作品。公開をめぐって、「モチーフとなった事件の残虐性」「そもそも映画にする必要があるのか?」などの意見が2ちゃんねるなどの電子掲示板を中心に多数湧き上がり、劇場にも上映反対意見が多数届いた。しかし、その中には「監督が元暴走族という肩書きをもつ」「被害者の女子高生を演じるのがAV女優である」という反対意見としては疑問点があったり、半ば理不尽とも言える意見もあったと言う。劇場の銀座シネパトスへの上映中止嘆願書が作成され、だれでも簡単にファックスで送れるようにサイトに貼り付けられた。また製作者に向けては、映画の制作意図を問いただす質問状が送りつけられた。その影響で5月29日から銀座シネパトスで予定されていた公開は中止されたが、その後、アップリンク・ファクトリーで7月3日から9日までの1週間だけ公開された。
コンクリート 映画批評・評価・考察
コンクリート
脚本:1点
演技・演出:1点
撮影・美術:1点
編集:4点
音響・音楽:5点
合計12点
わずか5日間で撮影し、公開7日間で打ち切りになった問題作。1988年から1989年にかけて起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件を題材にした映画で、殺人に至る過程を主人公(少年A)の視点で描いています。少年達の凶悪化にある背景とエスカレートしていく暴力を淡々とした調子で描いています。主演の高岡蒼佑に虚無感が漂っているのが妙にリアルに映ります。実話であることを前提にしてみるのと、フィクションとして見るのでは大きく印象が変わる作品です。僕がすごく気になってしまったのは、音楽がFENCE OF DEFENSEの西村麻聡なんですよ。あのアニメ版横山光輝三国志の主題歌『時の河』の作曲者です。なぜ彼がこの作品を引き受けたのか謎ですが、独特のチカチカ編集に合っているようにも思えますが、カラオケの実写みたいな質感がなんとも。。。。やっぱり5日で撮ったっていうやすっぽい映像なんですよね。それに俳優の演技についても基本的に棒演技で脚本も事件に沿っているだけでした。
今作品、DVDは廃盤になっており、動画サイトでの配信も止まっているようです。以前はHuluかアマプラで見れたと思ったのですが、現在は見れないようです。
コンクリート あらすじ
空き地の停まる1台のワゴン。テープランプの赤色に、3人の少年の姿が照らし出される。3人は、大きな旅行バックをドラム缶に入れ、コンクリートを流し込む。翌朝未明。朝霧が漂う埋立地に、そのドラム缶は哀しく横たわっていた…。高校を中退した少年、大杉辰夫。彼はタイル張りの職に就き、恋人・佳代子と同棲を始める。結婚を約束した2人だったが、辰夫は粗暴な振る舞いで鑑別所送りになるなど不安定な生活が続く。やがて、辰夫は仕事を辞め、ヤクザの下請けとして働くようになり、尾崎弘明、池田智巳らとともに少年たちを束ね、ヤクザの下部組織“龍神会”を結成する。しかし、自分たちが組に利用されているだけと知った辰夫たちは、その苛立ちと、シンナー中毒による感覚の麻痺によって次第に行動をエスカレートさせていく。ある日、辰夫は帰宅途中の女子高生・美咲に目を付けるとホテルに連れ込みレイプするのだった。事件の発覚を恐れた彼らは、美咲を池田の自宅に監禁する。美咲に対する虐待はエスカレートし続け、出口を見失った少年達の暴走は、やがて残酷な結末に向かってゆく……。
コンクリート スタッフ
企画・製作:小田泰之
エグゼクティブプロデューサー:倉谷宣緒
プロデューサー・莟宣次
原作:渥美饒兒
脚本:菅乃廣
監督:中村拓
撮影:倉本和比人
特殊メイク:広瀬諭
音楽:西村麻聡
ラインプロデューサー:菱沼康介
助監督:大竹朝子
製作担当:坂下大輔
スタイリスト:黒田茂津子
ヘアメイク:山田真由美
スチール:渡辺茂史
効果音:村山裕子
コンクリート キャスト
主要人物
大杉辰夫(モデル:少年A) – 高岡蒼佑(現:高岡奏輔)
本作の主人公で、当件の主犯。
元柔道部で先輩たちと諍いを起こし高校を中退。その後、タイル張り会社に勤めるが、島田の勧誘を断れ切れずヤクザになる。そして、代表として「龍神会」を結成。
美咲(モデル:被害者E) – 小森未来(現:小森美樹)
本作のヒロインで、当件の被害者。帰宅途中に辰夫に騙されて監禁される。
松山佳代子(モデル:少年Dの姉) – 三船美佳
辰夫の彼女で、本作のもう1人のヒロイン。当初は辰夫に結婚を迫っていたが、後に破局する。
尾崎弘明(モデル:少年B) – 小林且弥
従犯。辰夫の舎弟で「龍神会」メンバー。辰夫に対し従順な態度を取るが、内心では不平を抱いている。辰夫や池田に比べて優しい性格で、当初は美咲に暴力を振るわなかった。
池田智巳(モデル:少年C) – 柘植亮二
従犯。辰夫の舎弟で「龍神会」メンバー。美咲の監禁場所を提供した。好戦的な性格で、美咲に対し積極的に暴行をしていた。
松山隆男(モデル:少年D) – 間野健介
従犯。佳代子の弟。辰夫に脅されて無理矢理「龍神会」メンバーにさせられる。
その他
森 – 樋田洋平
「龍神会」メンバー。
吉岡 – 斎藤悠
「龍神会」メンバー。
岡本 – 豊島侑也
「龍神会」メンバー
島田 – 宮田大三
辰夫の中学時代の同級生。ヤクザの子分。
大門 – 町田政則
ヤクザの幹部。
池田真弓(モデル:少年Cの母) – 高柳さち子
智巳の母。美咲に帰宅するよう促すが、失敗する。
大杉美佐江(モデル:少年Aの母) – 沖直未
辰夫の母。辰夫に家庭内暴力を受けていた。
大杉信也 – 中務一友
辰夫の父。愛人の家に入り浸り、ほとんど自宅にいない。
早坂 – 中谷彰宏
警察で取り調べを担当する刑事。
片桐 – 永澤俊矢
辰夫が勤務していたタイル貼りの会社の社長。