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クリムゾン・タイド|冷戦後の世界を背景に、ロシアでおきた叛乱にそなえて出港した弾道ミサイル原子力潜水艦を舞台とする潜水艦映画。

クリムゾン・タイド
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クリムゾン・タイドは、1995年公開のアメリカ合衆国の映画。冷戦後の世界を背景に、ロシアでおきた叛乱にそなえて出港した弾道ミサイル原子力潜水艦を舞台とする潜水艦映画。※タイトルの意味は「深紅の潮流」が、「クリムゾンタイド」は舞台となる潜水艦と同じ名を持つアラバマ大学のフットボールを初めとするスポーツチームの愛称である。

クリムゾン・タイド 映画批評・評価・考察


クリムゾン・タイド (原題:Crimson Tide)

脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:16点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計90点

エリートと叩き上げの対立、白人と黒人の相克、「見えない敵」との頭脳戦、外界と限られた接触しかない特殊な環境、これら潜水艦映画の伝統的なプロットを踏まえつつ、ほとんど一般に知られることのない、現代の弾道ミサイル原潜内での日常、演習、ミサイル発射手順の細部の描写の積み重ねを踏まえて、究極の破壊力の行使をめぐる緊迫したドラマが展開される。ジーン・ハックマンとデンゼル・ワシントンの細やかな表現力の多彩さと熱(オーラ)が画面越しでも伝わってくる。二人の言葉の応酬は五感が揺さぶられるほど熱くピリピリとした緊迫感、息が詰まるほどのプレッシャーを感じ、潜水艦の中に自分がいるような錯覚さえ起こしてしまう。

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クリムゾン・タイド あらすじ(ネタバレ)

ロシアでチェチェン紛争をきっかけに超国家主義者ウラジーミル・ラドチェンコ率いる反乱が勃発。反乱軍は大陸間弾道ミサイルを発射できる基地など大兵力を自らの手におさめ、自らの要求が応じられなければ日米を核攻撃すると脅迫。これに対しアメリカ政府は、オハイオ級原子力潜水艦「アラバマ」を出撃させることを決定した。

「アラバマ」の艦長で、実戦経験豊富な叩き上げのラムジー大佐は、ハーバード大学卒のエリートにしてアフリカ系のエスニシティのハンター少佐を新たな副長に迎え、出港する。たたき上げの自負があり自信過剰のラムジーは軍規を無視し艦内にペットの犬を持ち込み、艦内で放尿させるなどやりたい放題であったが、乗員は見て見ぬふりをせざるを得なかった。だが、艦内火災の際に演習を継続しようとする訓練方針の違い、火災の際に死亡したハンターと同じエスニシティの乗員への扱いなどをめぐって両者は対立し、危機にストレスを感じる乗員たちへの対処の食い違いなどから両者の溝は徐々に深まってゆく。

出港から6日目。北太平洋を哨戒中の「アラバマ」に指令が届く。?? 叛乱軍が弾道ミサイルに燃料注入を開始、発射を阻止すべく先制攻撃を加えよ、と。発射準備に忙殺されるアラバマに、叛乱軍の攻撃型潜水艦が迫る。デコイ(囮魚雷)の放出により魚雷攻撃を間一髪で回避するものの、フローティング・アンテナのウィンチが損傷し、受信しつつあった新たな指令が中断してしまう。途中まで印刷された指令文の解釈をめぐり、核ミサイル攻撃の準備を続行すべきだとするラムジーと、指令を再確認するまで攻撃を待つべきだとするハンター。2人の対立はついに頂点に達する。ラムジーは副長の意見を容れずにミサイルを発射しようとする。しかしながらSLBMの発射には証人となる士官の前での艦長と副長両者の承認が必要であり、これは軍規違反となる。そこでラムジーはハンターを命令不服従として解任しようとする。しかしながらハンターは逆に艦長のラムジーを軍法違反で拘束するように部下に命令を出す。二人の上官から相反する命令を受け役割葛藤に当惑するウォルターズ先任伍長であったが、結局ハンターの主張が法理論上適切であると判断し、ハンターの命に従う。

しかし、引き続く叛乱軍潜水艦の魚雷攻撃に「アラバマ」は死傷者を出し、艦前部隔壁のブロー装置が機能せず、かつ浸水により浮力を失いあわや沈没の危機にさらされる。沈没はぎりぎりで避けられたものの、動揺した一部の士官たちはラムジーに唆されて武器庫を開けて武装し、艦長室に拘禁された艦長を救い出し、ラムジーがこんどは指揮権を回復し、これまでの状況を反乱と断定し、ハンターを拘束する。そして核ミサイル攻撃を敢行しようとする。常日頃リベラルな態度を装うラムジーであったが、ことに及んで馬に準え、ハンターに対する人種差別的な隠喩を含む発言に至り、両者の関係は険悪になる。

ラムジーとハンターの相反する対応は、海軍の規定上どちらも間違ってはいなかった。軍司令部よりのSLBM発射の命令は適切な手順を踏んでおり、これを中止するには同様の暗号による照合を経た命令を受けなければならない。この命令を受けていない状態では、先の命令をそのまま遂行することを指示したラムジーの指示は適切である。これに対し、発射命令の後、何らかの指示を含む暗号電報が発せられ、不完全な状態で受信した場合、確認のための措置を取ることは適切であるのでハンターの指示も正しいことになる。しかしながらソ連の反乱軍の原潜の執拗な魚雷攻撃に悩まされ確認作業は困難を極めた。 もしミサイル攻撃が手遅れになれば、報復なしに大量の米国市民を無為に死なせることになる。反対に、もし攻撃指令が撤回されていたのであれば、ミサイル攻撃はロシア側の報復攻撃を呼び、最終戦争の引き金となる。ミサイル攻撃遂行か、指令の再確認か、外部との連絡が取れない艦内はふたつに割れて対立するのだったが結局、通信装置が直り、完全な形で命令を受けることが可能になった。命令はSLBMの発射を中止するように求めたものであった。すなわちハンターの措置は正しかったことになる。

しかしながら海軍の査問委員会では兵学校での同期の判事によってラムジーに対する温情措置が求められ、名誉退役処分で事が収まった。完全には納得がいかないハンターではあったが、ラムジーが自分を次期艦長に推薦してくれたので矛を収め、ことは一件落着した。 今回の事例は海軍の軍令に大きな禍根を残し、現在ではSLBM発射についての最終命令は大統領にのみ決定権が委ねられることになったとテロップが流れ、物語はめでたく大団円を迎えることになる。

クリムゾン・タイド スタッフ

監督:
製作:
脚本:(リライト、クレジットなし)
撮影:
SFX:
音楽:
美術:

クリムゾン・タイド キャスト

ロン・ハンター少佐(副長):
フランク・ラムジー大佐(艦長):
ウォルターズ先任伍長:
ピーター・“ウェップス”・インス大尉(兵器システム将校):
ボビー・ドガーティ大尉(補給担当将校):
ロイ・ジマー大尉 (通信将校):
ラッセル・ヴォスラー (通信士):
ダニー・リベッティ(ソナー員長):
ウィリアム・バーンズ:
ポール・ハラーマン大尉:
ダリク・ウェスターガード大尉 (戦術システム将校):
マホーニー大尉 (当直甲板士官):
グラッタム二等兵:
ウラジーミル・ラドチェンコ (ロシアで反乱を起こした超国家主義者のリーダー):
ジュリア・ハンター (ハンターの妻):
アンダーソン少将:(クレジットなし)
ベネフィールド:エリック・ブラスコッター

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