アンタッチャブルは、1987年公開のアメリカ合衆国の映画。禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、正義のためにギャングのボスであるアル・カポネを逮捕しようとするアメリカ合衆国財務省捜査官たちのチーム「アンタッチャブル」の戦いの日々を描いた実録映画。捜査チームの主任捜査官だったエリオット・ネスの自伝を基にしている。監督はブライアン・デ・パルマ、出演はケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリーなど。主人公を助ける老警官役のショーン・コネリーが第60回アカデミー賞助演男優賞、第45回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞した。また、日本でも第30回ブルーリボン賞外国作品賞を受賞した。
アンタッチャブル 映画批評・評価・考察
アンタッチャブル(原題:The Untouchables)
脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計94点
上映時間119分の中で濃密な男たちの戦いのドラマが見れる作品です。また、ブライアン・デ・パルマといえば芸術的なカメラワーク、演出の巧みさ、まさに職人芸の映像作品としても楽しめます。史実を脚色したとはいえ、当時絶大な力を誇ったアル・カポネに挑んだ人物はいったいどんな漢たちだったのか?その人物像にも迫った作品でもあります。強硬に捜査を進めるジム・マローン(ショーン・コネリー)の存在が大きく、単純に正義・法だけで物事は解決できないこをよく知っており、エリオット・ネス(ケビン・コスナー)を自らの命をかけてまで支え続けます。アンディ・ガルシアの演技も良いものでしたが、ショーン・コネリーの名演は見逃せないものでした。暗殺者を演じたビリー・ドラゴと対決した階段落ちシーンは映画史に残るもので脳内再生できるほど記憶に残るものでした。
アンタッチャブル あらすじ(ネタバレ)
1920年代から30年代初期の禁酒法は闇酒場を横行させ、アル・カポネをボスとする犯罪組織は酒の密造とカナダからの密輸により莫大な利益をあげていた。地元の警察や裁判所を買収しているギャングたちが市民への殺人も厭わない状況に、政府はアメリカ第三の大都会であるシカゴへ財務省のエリオット・ネスを派遣する。大張りきりで自信満々のネスは、赴任早々、シカゴ市警の警官たちを引き連れて密造酒摘発で手柄を立てようとするが、ギャングに買収されていた警官が情報を漏らしていたため失敗。さらに新聞記者に失敗した場面の写真を撮られて世間の失笑を買い意気消沈するが、帰り道で会った初老の警官ジム・マローンに「警官の仕事は手柄を立てる事ではなく、無事に家に帰る事だ」と教えられる。
翌日、屈辱に耐えながら出勤したネスに、抗争の巻き添えになって死んだ少女の母親が面会に訪れる。改めてその悲しみを訴えられ、諦めないでと励まされたネスは、新たな決意を胸にマローンを呼び出す。ネスはシカゴを牛耳るアル・カポネを逮捕する決意をマローンへ打ち明け、信頼できる仲間と班を編成するために協力してほしいと頼む。カポネの実力を知るゆえに躊躇うマローンだが、警官としての生き方を貫くことを決意する。警察学校の生徒だった新米のジョージ・ストーン、財務省から応援にきた簿記係のオスカー・ウォレスといった個性派だが優秀な四人が揃ったところで、マローンが全員に銃を持たせて密造酒の摘発に向かう。実績を挙げたネスの元にギャングから賄賂が贈られてくるが、彼は賄賂を拒否したため家族の身に危険が迫り、妻子と離れて暮らすことになる。
家族と別れたネスは、ウォレスのアドバイスでカポネを脱税の罪で起訴する方針を固める。ネス一行はマローンの情報を元に、カナダ警察と協力してカポネ・ファミリーの密造酒密輸の現場を押さえることとなった。銃撃戦の末にギャングたちを殺すことになったが、ファミリーの帳簿係と帳簿という証拠が手に入った。しかし、カポネは報復としてウォレスと帳簿係を殺害し、さらに部下のフランクに命じてマローンも殺害する。証人を失った検察は及び腰となり起訴を取り下げようとするが、ネスとストーンはマローンの死に際のメッセージを頼りに、逃亡を図るファミリーの会計係を確保するためシカゴ・ユニオン駅に向かう。列車の発車時刻寸前に現れたカポネ・ファミリーとの銃撃戦を経て会計係を確保したネスとストーンは予定通りにカポネを起訴するように働きかけ、カポネの予備審問が開始される。
予備審問で会計係がカポネの脱税を認めるが、カポネが余裕の表情を見せたため、ネスは疑問に感じる。ネスは、フランクがカポネにメモを渡したことを不審に思い、彼が銃を携帯していることを理由に法廷から追い出し身体検査をさせる。フランクの所持品の中からマローンの自宅の住所が書かれた紙マッチが見つかり、彼がマローンを殺したことを確信するが、フランクは廷吏に発砲して逃走する。ネスはフランクを裁判所の屋上に追い詰め殺さずに拘束するが、フランクがマローンの死を侮辱したことに激怒し、彼を屋上から突き落とす。屋上から戻ったネスは、ストーンから「フランクがカポネに渡したメモは買収された陪審員のリストだ」と聞かされ、ネスは陪審員を入れ替えるように判事に要求する。判事はメモの信憑性を疑問視して拒否するが、ネスは「カポネの帳簿に判事の名前がある」と脅迫し、陪審員の入れ替えを認めさせる。追い詰められたカポネの弁護士は有罪を認め、激怒したカポネは弁護士に殴りかかる。
後日、カポネに有罪判決が下った記事を読み終えたネスは、ストーンと別れの言葉を交わしてシカゴ市警を後にする。路上で記者から声をかけられた彼は、「禁酒法が廃止になるが」との問いかけに、大いに飲むと答えるのだった。
アンタッチャブル スタッフ
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:デヴィッド・マメット
原作:エリオット・ネス,オスカー・フレイリー『The Untouchables』
製作:アート・リンソン
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:スティーヴン・H・ブラム
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ,ビル・パンコウ
製作会社:アート・リンソン・プロ
配給:パラマウント映画
アンタッチャブル キャスト
エリオット・ネス:ケビン・コスナー
ジム・マローン:ショーン・コネリー
ジョージ・ストーン:アンディ・ガルシア
オスカー・ウォレス:チャールズ・マーティン・スミス
アル・カポネ:ロバート・デ・ニーロ
フランク・ニッティ:ビリー・ドラゴ
マイク・ドーセット署長:リチャード・ブラッドフォード
ウォルター・ペイン:ジャック・キーホー
ジョージ:ブラッド・サリヴァン
キャサリン・ネス:パトリシア・クラークソン
蝶ネクタイの男:ヴィトー・ダンブロシオ
スクープ:スティーブン・ゴールドステイン
アンダーソン警部補:ピーター・エイルワード
地方検事:クリフトン・ジェームズ
隊長:ロバート・スワン
市会議員:デル・クローズ
ブラックマー夫人:コリーン・ベイド ※登場シーンカット
ネスの娘:ケイトリン・モンゴメリー
判事:アンソニー・モッカス・Sr
母親:メロディ・レイ