ひとひらの雪は、1985年公開の日本映画。複数女性と関係をもつ中年男の姿を描く。渡辺淳一の同名ベストセラー小説を、荒井晴彦が脚色し根岸吉太郎が監督した。原作小説は、不倫の愛と悦楽を描き、連載直後から、辛みの効いたエロチシズムが評判を呼び、”ひとひら族“や”ひとひら願望“などの流行語を生み、単行本は100万部のベストセラーを記録した。主人公の伊織祥一郎を演じる津川雅彦はそれまであまりヒットに恵まれず、1969年のデヴィ・スカルノとスキャンダル以降は仕事のオファーが減り不遇をかこっていた。1981年の東陽一監督『マノン』で初めて映画賞(ブルーリボン賞助演男優賞)を受けて浮上し、『ひとひらの雪』で名声を得るきっかけをつかんだ。
ひとひらの雪 映画批評・備忘録
ひとひらの雪
脚本:25点
演技・演出:18点
撮影・美術:15点
編集:7点
音響・音楽:8点
合計73点
自分の年齢が高くなるにつれて日本映画の良さやAVとは違ったエロティシズムの素晴らしさに心揺さぶられる感じなのですが、津川雅彦の上手さ、エロさ、に感心させられます。ただのエロ親父というには上品さがあるし、文学的というには砕けたセリフと口調だし、時折見せる眉間にしわを寄せた表情が官能の入り口のようで、呼応するかのように女優の姿も表情もエロさに溢れています。
僕は何を書いてるんだろう。。。。
根岸監督が『失楽園』を撮ってたらなぁと、、女優さんの魅力や脱ぎっぷりってやっぱり監督の力が大きいと思うんですよね。
孔雀ポーズの逸話について
本作は濃厚なセックスシーンが話題を呼び、撮影中もスタッフが思わず横を向くほどで、秋吉も「相当恥ずかしくて体調を崩した」と話しています。中でも当時のマスメディアにグラビア等で盛んに扱われたのが、”孔雀ポーズ”といわれた着物をまくって後背位するシーンで、このときの女性の形が孔雀に似ていることからそう呼ばれ、”くじゃくする”と、”ひらひらする”(不倫する)は、当時の流行語になりました。また、津川に抱かれる秋吉のセリフ”ヤクザにしないで下さい”も流行語になりました。
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ひとひらの雪 あらすじ(ネタバレ)
伊織祥一郎と高村霞はある知人のパーティで十年ぶりの再会をした。伊織は四十半ばで、原宿に事務所を持つ建築家である。彼には扶佐子という妻と一人娘まり子がいたが、四年半も前から別居中で、その原因となった若い秘書・相沢笙子との関係は今も続いている。霞は三十歳、画廊を営む年の離れた夫・章太郎と義理の娘かおりとともに、鎌倉の邸宅に住んでいた。
十年前、美大生だった霞は講師にきていた伊織に憧れ、一夜をともにした。その後、伊織は何事もなかったようにふるまい、間もなく講師をやめたが、その時が初めてだった霞は妊娠し堕胎していたのだ。霞のもとに伊織から会いたいと電話が入った。誘われるままに伊織のマンションを訪れた霞は、ベッドをともにするが「今度は、私が遊ぶんです」と伊織の両手を縛るのだった。逢い引きを続けるうちに、霞の気持は本物となり、逢瀬に燃えていく。「あなたしか受け入れられない躰になった」と霞は言った。霞は夫との性交を拒否しているらしい。伊織は霞の肉体を求め続け、情痴に没入し官能を緩めない。霞は性愛を極めようとするように、その躰は火柱になってのぼっていく。
伊織の変化を察した笙子は、同じ事務所の宮津とスキーに出かけ浮気してしまうが、伊織を忘れられず、彼を求めるのだった。ある晩、会社を辞めて連絡の跡絶えた笙子と霞が伊織のマンションで鉢合わせした。霞にかなわないと悟った笙子は宮津と結婚する決心をする。扶佐子が離婚を承諾した。伊織と霞はスペインへ旅行する約束をする。だが、霞は空港に来なかった。
半月以上たち、かおりが伊織の前に現われた。伊織は霞の浮気が章太郎にばれてしまったことを聞いた。かおりは霞の味方として、伊織との旅行のアリバイ作りを手伝っていたりしたが、霞の真剣になりすぎる様子をみて不安になってきたのだと告げた。伊織のマンションに行ったかおりは、伊織に「抱いて」とせまるが拒否される。そして、一人になった伊織は窓辺の桜の花びらを見ながら泣くのだった。
ひとひらの雪 スタッフ
監督:根岸吉太郎
脚本:荒井晴彦
原作:渡辺淳一
企画:三堀篤・瀬戸恒雄・矢部恒
音楽:本多俊之
主題歌:ジュディ・オング「ひとひらの雪」(作詞:阿木耀子 作曲:佐藤隆 編曲:チト河内)
美術:今保太郎
撮影:川上皓市
編集:西東清明・中野博
助監督:渡辺容大
製作会社:東映東京撮影所
配給:東映
ひとひらの雪 キャスト
高村霞:秋吉久美子
相沢笙子:沖直美
高村かおり:岩本千春
まり子:藤田亜里早
宮津:岸部一徳
望月:丹波義隆
村岡:池田満寿夫
高村章太郎:池部良
坂井:みずきあい
伊織扶佐子:木内みどり
伊織祥一郎:津川雅彦
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