どら平太は、2000年公開の日本映画。黒澤明・小林正樹・木下恵介・市川崑といった日本映画を代表する4人の巨匠が結成した四騎の会の第1回作品として企画された山本周五郎の原作による痛快時代劇を、市川崑が30年ぶりに映画化した。とある藩の不正を暴くために、江戸からやってきた新任の町奉行はどら平太と呼ばれる暴れん坊の望月小平太(役所広司)。彼は天衣無縫のふるまいで、ヤクザの取り仕切る無法地帯へ乗り込んでいく。
どら平太 映画批評・評価・考察
どら平太
脚本:32点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計83点
勧善懲悪の娯楽時代劇、暴れん坊将軍や大岡越前などの時代劇が好きな人には十分楽しめる映画です。役所広司といえば、三匹が斬るでも主演してましたよね。そういうノリを感じるというかそのものというか(笑)
こういう痛快なチャンバラ映画って最近、ご無沙汰なので定期的に映画化してほしいです。役所広司の再演でも松坂桃李あたりを持ってきても良いので撮ってくれたらなぁ。何せ時代劇ドラマがほとんど無くなってしまったので。
どら平太 あらすじ(ネタバレ)
ある小藩の国許では、財政難を補うために「壕外」と呼ばれる無法者の町から莫大な上納金を集めていた。その上納金は藩の重職たちの懐に入り、壕外を束ねる三人の親分は無法を黙認され、その無法を暴こうとした町奉行は次々に辞職に追い込まれた。そんな中、江戸屋敷から新たな町奉行として望月小平太が赴任してくる。彼は居並ぶ重職たちの前で「壕外の大掃除をする」と宣言し、望月に全権を委任する藩主のお墨付きを見せつける。しかし、望月は江戸では遊び人として知られ、その評判を聞いていた国許でも人望がなく、若手藩士からは悪評が原因で命を狙われていた。友人の安川半蔵は、「誰かが意図的に悪評を流した」と考えるが、望月は「仕事をしやすくするために、もう一人の友人・仙波義十郎に悪評を流してくれるように頼んだ」と返答する。
望月は仙波から金を工面してもらい、壕外に入り浸り酒・博打・女遊びの豪遊を繰り返し、親分たちの子分を気風の良さで味方に引き入れていった。望月は子分たちから情報を集めるが、三人の親分は互いに生業を分けて争いが起きないようにしていることを聞き出し、策を練り直す必要に迫られる。そんな中、江戸から望月を慕う芸者こせいが乗り込んでくる。こせいは、「国許で結婚する」と嘘をついて江戸を去った望月を連れ戻そうとしていたが、彼の元を訪れた安川から「重職が壕外入りを知って喚問しようとしている」と聞かされ、策を進めるためにその場から逃げ出す。逃げ出した望月は、町奉行の正体を明かして多十・才兵衛の二人の親分の元に乗り込み、二人を口八丁手八丁で丸め込み兄弟杯を交わす。二人から話を聞いた大親分の灘八は、今までの町奉行とは毛色の違う望月を危険視し、彼を殺そうと考える。一方、重職たちも望月の存在を危険視し、口封じを画策する。
望月は隠れ先の寺で仙波と会い、命が狙われていることを聞かされ、壕外に向かう途中で刺客に襲われるが、これを返り討ちにする。一方、こせいは望月を探すために壕外に向かうが、禁制品の抜け荷をしている現場に出くわしてしまい殺されそうになる。そこに望月が現れて無法者たちを成敗し、こせいを助け出す。こせいを隠れ宿の杢兵衛に預けた望月は、寺で灘八の子分から彼の屋敷に招待される。望月は灘八の屋敷に乗り込むと、そこには三人の親分が待ち構えており、兄弟杯を返上される。灘八は望月を養子に迎えて取り込もうとするが、望月に「お前たちを死罪にする」と返答されたため数十人の子分たちに望月を襲わせる。しかし、子分たちは望月に叩きのめされ、灘八は観念して出頭命令を受け入れる。翌日、三人の親分は城に出頭し、望月から死罪の代わりに壕外からの永久追放を言い渡される。三人の親分が処分を受け入れた後、望月は重職たちを追い込むために、彼らが処分した取引文書を捏造するように依頼する。
望月は仙波と会い、仙波しか知らない情報が重職や親分たちに漏れていたことから、彼が重職と親分の橋渡し役だと指摘する。仙波は橋渡し役であることを認め、全ての責任を負い望月の目の前で切腹する。望月は城に乗り込み、三人の親分に用意させた取引文書を見せつけ、重職たちに「文書を処分する代わりに藩政から手を引け」と迫り、重職たちは引退することを明言する。壕外の大掃除を終えた望月は安川に辞職届けを手渡し、藩主のお墨付きを破り捨てる。驚く安川に対して、望月は「お墨付きは俺が作った偽物だ」と答える。望月は江戸に戻ろうとするが、こせいが現れたため、彼女から逃げるために道中で購入した馬に乗り走り出す。だが、馬は走るのに適さない種類ですぐに追いつかれてしまう。
どら平太 スタッフ
監督:市川崑
脚本:四騎の会(黒澤明,木下惠介,市川崑,小林正樹)
製作:西岡善信
製作総指揮:中村雅哉
音楽:谷川賢作
撮影:五十畑幸勇
編集:長田千鶴子
製作会社:「どら平太」製作委員会
配給:東宝
どら平太 キャスト
望月小平太(どら平太):役所広司
こせい:浅野ゆう子
仙波義十郎:宇崎竜童
安川半蔵:片岡鶴太郎
大河岸の灘八:菅原文太
巴の多十:石倉三郎
継町の才兵衛:石橋蓮司
杢兵衛:3代目江戸家猫八
姐御風の女:岸田今日子
今村掃部:大滝秀治
本田逸記:神山繁
内島舎人:加藤武
落合主水正:三谷昇
佐藤帯刀:津嘉山正種
中井勝之助:うじきつよし
市川六左衛門:尾藤イサオ
征木剛:菅原加織
乾善四郎:松重豊
鳥居角之助:黒田隆哉
伝吉:本田博太郎
壺平:永妻晃
源次:赤塚真人
馬方:横山あきお
役名不明:伊佐山ひろ子