おくりびとは、2008年公開の日本映画。死者の遺体を棺に納める【納棺師】の職に就いた男が、仕事を通じ、様々な死に向き合いそこに息づく愛の姿と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。第32回モントリオール世界映画祭でグランプリを受賞するなど、世界的にも高い評価を得る。
おくりびと 映画批評・評価・考察
おくりびと
脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計85点
本木雅弘が遺体を棺に納める“納棺師”を演じ、日本映画初のアカデミー外国語映画賞を受賞。誰もが迎える最後の儀式にまつわる人間ドラマを滝田洋二郎監督が端正に描き、国際的にも高く評価された感動のドラマ。
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おくりびと あらすじ(ネタバレ)
所属していたオーケストラが解散して、失業したチェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)。やむなく彼は妻の美香(広末涼子)と二人、実家のある山形へと帰った。その家は、2年前に死んだ母親が残してくれた唯一の財産だった。愛人を作った父が家を出たあと、母は女手ひとつで大悟を育ててくれたのだ。
新たな職を探す大悟が行きあたったのは、佐々木(山崎努)が経営する葬儀屋での納棺師という仕事だった。死者を彩り、最期のときを送り出すという業務の過酷さに、大悟は戸惑いを隠しきれない。しかし、佐々木と事務員の百合子(余貴美子)の持つ温もりに惹かれて、大悟は「おくりびと」となった。美香にすら、その仕事の内容を明かせないまま…。
故郷に戻った大悟は、幼い頃に通っていた銭湯で同級生の母親であるツヤ子(吉行和子)との再会を果たす。銭湯を経営するツヤ子は、廃業を勧める息子たちの声を押し切って、ひたすら働き続けていた。やがて、大悟の仕事を知った美香は、我慢できずに実家へと帰る。死者を扱う夫の業務が、どうしても納得できなかったのだ。それでも大悟は、納棺師を辞められない。唐突に倒れて、この世を去ったツヤ子の納棺も担当した。どこまでも自身の仕事に誇りを持つ大悟の気持ちを、ようやく美香も理解する。二人の関係は修復した。
そんなとき、父の訃報が大悟のもとに届く。家庭を捨てた父親には深いわだかまりを抱いていた大悟だが、佐々木や百合子からの説得を受けて、死去した老人ホームへ美香と向かう。そこには、30年ぶりに対面する父(峰岸徹)の遺体があった。そして父が、決して大悟のことを忘れていなかったことを知る。堪えきれずに嗚咽する大悟の涙を、美香はハンカチで拭く。父の納棺を慎ましく行う大悟と、それを見守る美香。彼女の胎内では、大悟との間で芽生えた新たな命が動いていた。
おくりびと スタッフ
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
製作:中沢敏明,渡井敏久
製作総指揮:間瀬泰宏
音楽:久石譲
撮影:浜田毅
編集:川島章正
配給:松竹
おくりびと キャスト
小林 大悟:本木雅弘(幼少時:内田琳)
元チェロ奏者。東京の管弦楽団で働いていたが、興行不振などが重なり所属楽団が解散してしまい、それに伴って山形への帰省を決意。求職中、偶然見つけた求人広告をきっかけに納棺師として働くことになる。はじめは納棺師という仕事に戸惑いを感じていたが、次第に誇りを持って仕事をするようになる。6歳のころに父親と絶縁、母は海外の演奏旅行中に死亡している。
小林 美香:広末涼子
大悟の妻。ウェブデザイナー。大悟のことを「だいちゃん」と呼ぶ。大悟が再就職先として納棺師を選択したことに最初は嫌悪感を示していたが、ツヤ子が亡くなった際の納棺作業を見て、納棺師としての大悟を受け入れる。
佐々木 生栄:山﨑努
NKエージェント社長。妻(今本洋子)とは9年前に死別している。直感で動くことが多い。
上村 百合子:余貴美子
NKエージェント事務員。出身の帯広市に一人息子を残し酒田に住んでいる。お世話になっていた飲み屋の主人が脳溢血で亡くなった際に佐々木と出会い、「自分が死んだら、この人に納棺してもらいたい」という思いからNKエージェントへの入社を決意した。
山下 ツヤ子:吉行和子
亡き夫が遺した銭湯「鶴の湯」を一人で切り盛りする老婦人。息子とは、常々銭湯をマンションに建て替える計画について揉めていた。その際ツヤ子は「ここを潰す気は一切ない」と言い切っている。しかし仕事中に倒れ急逝、その後大悟の手により納棺される。
平田 正吉:笹野高史
「鶴の湯」の50年にわたる常連客。その仕事は火葬場の職員。その長年の経験から、「死は門である」という信念を持つ。ツヤ子の火葬も担当する。
山下:杉本哲太
大悟の同級生でツヤ子の息子。役所勤めで、ツヤ子の経営する銭湯をマンションに建て替える計画を勧めていた。その件ではツヤ子と度々揉めていた。
山下 理恵:橘ゆかり
山下の妻。
山下 詩織:飯塚百花
山下の娘
小林 淑希:峰岸徹
大悟の実父。大悟が幼い頃に離婚し家を出たまま行方がわからなくなっていた。幼い大悟に文字のない時代に思いを伝える「石文(いしぶみ)」を教え、石を交換した。大悟はウェイトレスとの駆け落ちと勘違いしていたが、実際はずっと独り身だった。家を出たあとはとある漁港に身を寄せ、空き家で生活しながら港の仕事を手伝っていた。なお、峰岸はこの映画の上映期間中に亡くなっている。
ツヤ子の孫娘:松田七星
富樫 直美:宮田早苗
佐々木に納棺された女性。
富樫:山田辰夫
直美の夫。大悟らの到着が予定より5分遅いことに文句を言うものの、納棺後、妻について「あいつ、今までで一番綺麗でした」と感謝を述べる。山田は滝田監督の高校の同級生であり、監督自ら出演を依頼している。
曽根崎:石田太郎
大悟が所属していたオーケストラのオーナー。
大悟が所属していたオーケストラの指揮者:飯森範親
小林 和子:星野光代
大悟の母(回想のみ)
留男:白井小百合
大悟が女性として納棺した。
留男の母:小柳友貴美
留男の父:大谷亮介