隣人13号(りんじんじゅうさんごう)は、2005年公開の日本映画。人気漫画家・井上三太の初期の傑作『隣人13号』を、LOVE PSYCHEDELICO、元ちとせや韻シストなどのPVを手掛けた俊英・井上靖雄が映像化。
隣人13号 映画批評・評価・考察
隣人13号
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計83点
原作漫画と切り分けて見れば、かなり楽しめる作品。どうしようもないコミック実写化の中では、優れた作品の一つで監督と俳優の才能が存分に味わえる。
映画脚本として、よく練られた作品であり、また監督の表現も変態かつユニークで面白い。
中村獅童の変態性が滲み出ていて、13号とのシンクロ率がMAXに達している。中村獅童のベスト演技映画はこれだと思う。変態中村獅童の最高傑作を是非楽しんでいただきたい。
劇中では、三池崇史(監督)が俳優として登場し、これまた中村獅童に負けず劣らず、変態役を見事に演じている。
また、パフィーの吉村由美にフェラシーンを演じさせた監督の作品への執念を讃えたいところだが、うんこ演出への拘りを見せた監督も、恐らく変態的感性の持ち主なんだろう。
隣人13号 あらすじ(ネタバレ)
かつていじめられっ子だった村崎十三(小栗旬)。小学生の頃、十三はいつもクラスメイトの赤井トールに苛められていた。ある日の午後、赤井は仲間に十三を床に押さえつけさせ、顔の上で硫酸のビンのフタを開けた。もがく十三の脚が赤井を蹴る。そのはずみで、赤井の手のビンから硫酸がこぼれ、十三の顔が焼けるジュッという音。上がる悲鳴、赤井と仲間たちはそのまま逃げる…。10年後、2階建ての中古アパート、平和荘の13号室に引っ越してきた十三。その真上の23号にも、ちょうど引っ越してきたばかりの一家の姿がある。それは、成長した赤井(新井浩文)の家族だった。高校時代を通して暴走族“犬”のヘッドとしてあらゆる悪事を働いてきた赤井だが、結婚して大工として働き始め、今では幼い息子もいる。だが十三は、今でも赤井へ復讐する機会をずっと狙ってきた。その日々が、十三の中に別人格を生み出していた…。自らを“13号”と呼ぶその分身“13号”に導かれた十三は、赤井の勤める建築会社に新人として入る。職場で赤井は、同僚の関(石井智也)が会社を辞めるかどうかで毎日賭けをしており、彼をずっといじめている。関は新入りの十三に親切にするが、それが気に食わない赤井は事故に見せかけて十三の脚を角材で殴りつける。痛みに我慢できず十三はトイレに駆け込んで泣くが、赤井はトイレのドアを外から押さえつける。ドアを開けようともがく十三。その必死の状態の中、追いつめられた十三は、“13号”(中村獅童)に変わってしまう。“13号”はもの凄い力でドアに蹴りをいれ、赤井が吹っ飛ぶ。出てきた時は十三の姿だが、赤井と関は “13号”の姿を一瞬見るのだった。その日、早退した十三の部屋に、赤井の妻・のぞみ(吉村由美)が引越しの挨拶にきた。息子の勇気とのぞみが買い物に出かけた隙に、十三は“13号”に変わって赤井の部屋に堂々と忍び込む。部屋の中を物色した挙句、盗聴器をこっそりと仕掛けていく…。夕刻、十三を心配して関が訪ねてくる。話をしているうちに打ち解けた十三は、関に、自分が子供の頃、赤井に苛められていたこと、その復讐をしようとしているという「秘密」を告げる。そして、自分の中に“13号”という別人格が存在することも…。関が帰った後、十三は昔の思い出がフラッシュバックして“13号”に変わり、ひとり叫ぶ。隣の部屋の男、金田(三池崇史)が「うるさいよ!」と怒鳴り込むと、“13号”は金田の部屋に押し入り台所包丁でメッタ刺しにする。翌朝、関は赤井に十三のことを話そうとするが、赤井は無視。昼休み、十三が関のところへくる。「君はいいやつだなあ…」“13号”は、バールで関を殴り殺す。死体は建築現場の床下に隠される。夜、のぞみが実家からのみかんのおすそわけに、再び十三の部屋にやってくる。十三はお返しに、旦那と映画のチケットを2枚のぞみに渡す。「僕が勇気くんを預かりますから」。翌日、のぞみは勇気を十三にあずけ、赤井とふたりで映画に出かける。だが十三の意識は、その頃ほとんど“13号”の邪悪さに乗っ取られようとしていた。
隣人13号 スタッフ
製作:メディア・スーツ,アミューズソフトエンタテインメント
監督:井上靖雄
脚本:門肇
音楽:北里玲二
制作プロダクション:ピクス
配給・宣伝:メディア・スーツ
隣人13号 キャスト
13号:中村獅童
村崎十三:小栗旬
赤井トール:新井浩文
赤井のぞみ:吉村由美
関肇:石井智也
死神:松本実
金田:三池崇史
村田充
劇団ひとり