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第9地区|地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立をドキュメンタリー風に描いた作品。

映画 第9地区
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第9地区は、2009年8月に公開されたアメリカ合衆国・南アフリカ共和国・ニュージーランド合作映画。日本での公開は2010年4月。地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立をドキュメンタリー風に描いた作品。舞台となった南アフリカ共和国でかつて行われていたアパルトヘイト政策が反映されたストーリーになっている。

第9地区 映画批評・評価・考察


第9地区 (原題: District 9)

脚本:34点
演技・演出:15点
撮影・美術:15点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計78点

ドキュメンタリー風ではあるものの、それは序盤の舞台説明時におけるもので主人公が変態する過程とともにカメラワークもアクション映画らしいスピード感のあるものに変わっている。
この映画の主人公ヴィカスなんですが、自己中心的で差別意識が強い嫌な奴で、エイリアンのクリストファー・ジョンソンとその息子の方が好意的に感じるキャラクターになっています。
クリストファー・ジョンソンは、知的で誇り高く、暴力に屈せず、息子に愛情を注ぐ理想の父親像(人間像)のように描かれています。ヴィカスと対照的な人物としてあえて描かれている存在です。
ヴィカスが主人公的な役割を果たすのは、このクリストファー・ジョンソンを身を挺して守るシーンで、それがなかったらヴィカスはクズキャラで終わっています。

監督の狙いがどういうものなのかは分かりませんが、ブラックジョークなのか、差別的な演出が散りばめられている映画なので、正直、不愉快な描写が多く、おもしろい!と言ってはダメな作品なような気がします。

ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品であり、本作は同監督の自作SF短編映画『アライブ・イン・ヨハネスブルグ』(英題:Alive in Joburg)を長編化したものである。ストーリーはアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を題材にしている。またDVD収録のコメンタリーでは、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と南アフリカネイティブとの確執も葛藤した上で参考にしたとも監督自らが語っている。
なお、舞台となった土地の社会情勢を下敷きにしてはいるが、上記コメンタリー内の脚本家コメントでは、監督の「これは政治的な映画ではない」との発言が紹介されている。作品の本来の目的は政治や社会への風刺、皮肉ではなく、人種対立の背景を持つ社会に新たな弱者としてのエイリアンを持ち込むという、設定の新奇さを売りにしたエンターテインメントであると語られている。実際、危険だがユーモラスなエイリアンの描き方、エイリアンの戦闘ロボットによる派手なアクションシーンなど、作品内では娯楽性が追求されている。
製作費は3千万ドルであり、ハリウッドのVFXを使った作品としては少ない。出演者はほとんどが無名俳優であり、主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人であるという。ちなみに主人公ヴィカスのセリフは、演じるシャールトによるアドリブである。

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第9地区 あらすじ(ネタバレ)

1982年、南アフリカ共和国のヨハネスブルク上空に突如宇宙船が出現した。しかし、上空で静止した巨大な宇宙船からは応答や乗員が降りる様子はなく、人類は宇宙船に乗船しての調査を行うことを決定。知的生命体との接触に世界中の期待が集まる中行われた調査であったが、船内に侵入した調査隊が発見したのは、支配層の死亡と宇宙船の故障により難民となった大量のエイリアンであった。

乗船していたエイリアンたちは地上に移り、隔離地区である「第9地区」で難民として、MNU(英:Multi-National United) と呼ばれる超国家機関による管理・監視のもとで生活することになったが、文化や外見の違いから人間とエイリアン達との間では小競り合いが頻発する。人間達のエイリアンへの反発や差別は強まり、やがて彼等に対しては「エビ」(外見がエビ[=PRAWN]に似ているため)という蔑称が定着するようになった。

そして宇宙船出現から28年後、ついにエビ達を新たに用意された彼ら専用の居住区域である第10地区に移住させることが決定し、MNUの職員であるヴィカスは、立ち退き要請の同意を得るため第9地区を訪れるが、エイリアンの家で見つけた謎の液体を不注意により浴びてしまう。ヴィカスの身体は液体の影響で突然変異を起こし、徐々にエイリアンの身体に変化していく。それを知ったMNUはヴィカスを死んだことにして人体実験を行うが、ヴィカスはMNUを脱走し第9地区に逃げ込む。
第9地区に逃げ込んだヴィカスは、宇宙船を起動して故郷に帰ることを目指すクリストファー・ジョンソンに出会い、液体が宇宙船の燃料だったことを聞かされる。クリストファーは液体をMNUから取り戻せば元の身体に戻すと約束して、ヴィカスと共にMNUに乗り込む。液体を手に入れたヴィカスは早速元の身体に戻してほしいと頼むが、MNUで仲間が生体実験の材料にされていることを知ったクリストファーは、「仲間を救うために3年待ってほしい」と告げる。それを聞いたヴィカスは逆上し、クリストファーを殴り倒して指令船を奪い宇宙船に乗り込もうとする。

しかし、指令船はクーバス大佐の部隊に撃墜され、ヴィカスとクリストファーは捕まってしまう。MNUに護送される途中、ヴィカスはエイリアンとの同化を望むギャング集団に拉致され、食べられそうになる。ヴィカスは、指令船に残っていたリトルCJが起動させたロボットに乗り込みギャング集団を一掃した後、クリストファーを置き去りにして逃げ出すが、考え直してクーバスたちからクリストファーを助け出し、彼を宇宙に逃がそうとクーバスたちに戦いを挑み全滅させる。クリストファーは3年後に助けに来ると約束し、宇宙船に乗り込み地球を後にする。

宇宙船が地球を去った後、ヴィカスは行方不明となった。ヴィカスの行方が一向に分からない中、彼の妻タニアの自宅に廃材で作られた造花が置かれていた。第10地区では、完全にエイリアンに変化したヴィカスが造花を作りながらクリストファーを待ち続けていた。

第9地区 スタッフ

監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ,テリー・タッチェル
製作:ピーター・ジャクソン,キャロリン・カニンガム
製作総指揮:ケン・カミンズ,ビル・ブロック
音楽:クリントン・ショーター
撮影:トレント・オパロッチ
編集:ジュリアン・クラーク
製作会社:ウィングナット・フィルムズ
配給:トライスター・ピクチャーズ/MGM/QED international,ワーナー・ブラザース/ギャガ

第9地区 キャスト

ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ:シャールト・コプリー
クーバス大佐:デヴィッド・ジェームズ
クリストファー・ジョンソン(エイリアン):ジェイソン・コープ
タニア・ファン・デ・メルヴェ:ヴァネッサ・ハイウッド
ニコラス・ファン・デ・メルヴェ:ジョン・ヴァン・スクール
サンドラ・ファン・デ・メルヴェ:マリアン・フーマン
ピエト・スミット:ルイス・ミナー
フンディスワ・ムランガ:マンドラ・ガドゥカ
オビサンジョ:ユージーン・クンバニワ
トーマス:ケネス・ンコースィ

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