殺人魚フライングキラーは、1981年公開のアメリカとイタリアとオランダの合作映画。元日活女優の筑波久子がチャコ・ヴァン・リューウェンの名でプロデュースした。空中を跳び人を襲う殺人魚の恐怖を描く。『ピラニア』の続編にあたり、低予算で製作されたいわゆるB級映画。
殺人魚フライングキラー 映画批評・評価・考察
殺人魚フライングキラー (原題:Piranha II: Flying Killers)
脚本:15点
演技・演出:10点
撮影・美術:5点
編集:5点
音響・音楽:5点
合計40点
ジェームズ・キャメロンにとっては黒歴史で監督の名を外したかった作品。
作品の質としては全て中途半端な作品で、まぁまぁ気持ち悪い、まぁまぁ見れる映像、まぁまぁ面白い、かといって50点かというとそれほどの映画でもない。そもそも前作のピラニアは水中で襲ってくるのでリアリティが感じれたけど、ゆっくりパタパタ飛んでくる魚なんか、はたくか、殴るかすれば回避できそうなだけに喰われてしまう人があまりにも無抵抗で間抜けに見え、予算の都合でピラニアの大群ではなく数匹にやられちゃうのもなんだかなぁ~。。。。
※これまでロジャー・コーマンの会社で、特殊効果のスタッフとして修行してきたキャメロン念願の初監督作品だが、前任の監督チャールズ・イグリー(彼もコーマンの会社で特撮マンとして働いていた)がクビになったことによる代役だった。1981年夏、ジャマイカにロケ撮影に行ったがスタッフもスケジュールも常にギリギリ、役者の衣装代も出ないほどで仕方なく自前の服を持ってこさせるなど状況は最悪だった。特殊効果担当者が作ったピラニアの模型があまりにも酷い出来栄えだったため、徹夜で作り直すこともあった。そんな悲惨な環境にもかかわらず撮影を開始したが、わずか5日で解雇され、あとはプロデューサーのアソニティスによって完成された。激怒したキャメロンは自腹でローマまで渡航し「クレジットを外してほしい」と直談判したが、アメリカ市場向けにアメリカ人らしい名前が必要なので要望は聞き入れられず追い出されてしまった。完璧主義で知られるキャメロンにとっては、話題にされて激怒するほどではないにしろ、あまり良い印象を持っていない作品ではあるという。
当時、無名だったキャメロンを監督に抜擢したのは「チャコ・ヴァン・リューウェン」こと筑波久子だった。筑波は『ピラニア』で頼りない印象を受けたジョー・ダンテと比べて、このときのキャメロンの印象について、次のように語っている。
「彼は堂々としてましたね、最初から現場に溶け込んでました。自信家だったんでしょう。声も大きかったですよ。」
殺人魚フライングキラー あらすじ(ネタバレ)
カリブ海に浮かぶ小さな島。ゴージャスなリゾート地である。夜の海に出かけた男女が、水中の難破船にもぐり込みファックしているところへ、魚が襲いかかり、2人の身体をくいちぎってしまう。
海浜のホテルの1室に住むアン・キンブローは、夫と別居している海洋学者だ。息子クリスとの生店のため、ホテルのスキューバ教室のコーチをしていた。彼女はお客をつれて、2ヵ月前に沈んだ海軍の船の周りをもぐる。船内に入っては駄目といわれていたのに、ヘイウッドという男が入り、怪魚の群に襲われる。彼の死の真相を調査するスティーブ保安官は、アンの夫だった。アンに近寄って口説くタイラー。2人は死体置場に侵入しヘイウッドの写真を撮る。2人を見とがめた看護婦が、彼らを追い出したあと、ヘイウッドの身体から飛び出した魚にのどをかみつかれて死亡。
タイラーはピラニアを特殊に育成したのではと言い、アンは写真を研究し、その意見に賛成する。ホテルの食料を盗んで航海をつづけるグラマー美人2人組ビバリーとロレッタも、魚に襲われる。アンは沈没船を捜査して、怪魚の存在を確認。タイラーは自分が軍の研究者で、ピラニアと飛び魚とトウゴロイワシ科のある種をかけあわして殺人魚を育成したとアンに告白する。沈没した海軍の船にその怪魚の箱がつまれていたのだ。
アンはホテルの支配人ラオールに海遊びを禁止するよう説得するが、彼は聞き入れない。その夜、トウゴロイワシの大群が産卵のため海辺にやってくるのをホテルの客たちが見物する。クリスはデュモン氏のボートに乗り組み、彼の娘アリソンと小さな手こぎボートで夜の海に出かける。彼の行方を求めて、スティーブがヘリで海を捜索する。海辺に並ぶ人間たちを殺人魚が襲う。タイラーとアンは、沈没船に時限爆弾をしかける。殺人魚群に追われてタイラーは死亡。ダイナマイトが爆発した。クリスとアリソンを救出したスティーブが、妻の死を思い肩をおとしているところへ、アンが浮上。2人は固く抱きあうのだった。
殺人魚フライングキラー スタッフ
監督:ジェームズ・キャメロン
製作:チャコ・ヴァン・リューウェン,ジェフ・シェクトマン
製作総指揮:オヴィディオ・G・アソニティス
脚本:H・A・ミルトン(オヴィディオ・G・アソニティス,ジェームズ・キャメロン,チャールズ・H・イグリー)
撮影:ロベルト・デットーレ・ピアッツォーリ
美術:ビンチェンツォ・メデューサ,ステファノ・パルトリニエリ,フランコ・バノリオ
編集:ロベルト・シルビ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
提供:ブラウワースグラクトインベストメント,チャコフィルムカンパニー
殺人魚フライングキラー キャスト
アン:トリシア・オニール
タイラー:スティーブ・マラチャック
スティーヴ:ランス・ヘンリクセン
クリス:リッキー・ポール・ゴルディン
ラウル:テッド・リチャート
アリソン:レスリー・グレーヴス
ウィルソン夫人:アン・ポラック
ギャピー:アンシル・グロードン
ベル:アルバート・サンダース
ベノッチ:フィル・コルビー
マル:アーニー・ロス