極道の妻たちII(ごくどうのおんなたちつー)は、1987年公開の日本映画。1986年に公開されヒットを記録した「極道の妻(おんな)たち」のシリーズ第二弾。主演を岩下志麻から十朱幸代に変更し、監督も五社英雄から土橋亨にバトンタッチした。愛した男たちを守るために力強く生きる2人の女を中心に、極道の妻たちの美しさ、強さ、哀しさ、もろさを描く。本作では、バブル景気の大阪府を舞台に組の乗っ取りを企てる敵対する組との攻防、1人の元ヤクザの男を巡る2人の女の恋愛模様が描かれている。また、作中では様々な賭博が扱われている。
極道の妻たちII 映画批評・評価・考察
極道の妻たちII
脚本:32点
演技・演出:15点
撮影・美術:14点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計76点
一作目の出演者が今作にも出演していますが、役名・脚本ともに繋がりはありません。この映画は次々に続編が作られていきますが、一作、一作、完結しています。主演の十朱幸代が40代で濡れ場を演じていますが、とても綺麗です。岩下志麻と演技を比較するのは失礼かもしれませんが、十朱幸代は迫力という点では劣っているかもしれませんが演技力は上手だなと思えました。また、今作は村上弘明の好演が光りますし、今作でも体を張るかたせ梨乃のおっぱいの存在感が大きいです。木村一八、竹内力がこの時は、さわやかな感じがありますし、光石研も今と随分違ってるなという印象です。
極道の妻たちII あらすじ(ネタバレ)
バブル景気により大阪府のヤクザ組織・重宗組のシマの地価が高騰する中、ある日開発会社によるシマ荒らしが起きる。重宗組組長(藤岡琢也)の妻・遊紀(十朱幸代)は組員から「開発会社はダミー会社」との報告を受けた直後、夫・孝明と幹部の一人がそれぞれ別の場所で襲撃に遭う。孝明は一命を取り留めるが幹部は命を落としてしまい、遊紀は入院した夫から「開発会社の黒幕は、萬代組に違いない」と告げられる。後日孝明の事件が愛人女性との痴情のもつれが原因と判明し、その後裁判を傍聴した遊紀は愛人を擁護する夫に愛想を尽かす。
萬代組若頭・磐城(神山繁)と会った遊紀はシマ荒らしと幹部の襲撃は傘下の組にやらせていたことを知らされる。遊紀がけじめを迫った直後、磐城から萬代組に孝明の2億円もの借金の存在を知らされ、返せない場合は重宗組の資産を売るよう告げられる。遊紀は金策のため徳島県に住む知人の金貸しに会って当座の金として数百万円を貸してもらう。金貸しから萬代組の元ヤクザ・木本燎二(村上弘明)を紹介された遊紀は、好意を寄せて彼に抱かれて心が癒やされる。
木本は数年前にとある事件を起こして組を絶縁され、服役中に恋人・榎麻美(かたせ梨乃)から一方的に別れを告げられ、出所後は賭博師となっていた。徳島を後にした木本は麻美のアパートを訪ねて彼女と娘の3人で暮らすことを願うが、平穏な生活を望む麻美から拒否されてしまう。その後も木本は復縁を持ちかけ、麻美はそれを拒む日々が続くと、ある日2人のやり取りを目撃した遊紀は彼女のアパートに訪れる。木本を重宗組で預かることを伝えた遊紀は、麻美から他の男との結婚予定を告げられて了承を得る。
木本が重宗組で面倒を見るようになった後、遊紀のもとに来春行われる磐城の萬代組五代目襲名披露の招待状が届く。襲名披露で“大会”が催されることを知った遊紀は、賭博師の木本に協力を得て磐城に一泡吹かせることを思いつく。しかしそれには多額の軍資金が必要で、遊紀は数百万円を元手に木本と各地の賭場を巡り、数ヶ月かけて持ち金を増やす。その頃麻美は結婚予定の男に裏切られてしまい、木本との復縁を考えるも彼に振り回された過去を思い出して躊躇する日々を送る。
襲名披露当日、磐城に挨拶に行った遊紀は“大会”に木本が参加していることを告げて、驚く彼の後から広間へ向かう。手本引の大勝負に臨む木本を見つけた磐城だが、大勢の客人を前に見守るしかできず、勝負に勝った木本は数億円の金をものにする。数日後、木本への愛を確信した麻美は娘と3人でやり直すことを決め、彼に思いの丈を伝えて2人で熱い抱擁を交わす。孝明の借金返済のため萬代組組事務所に訪れた遊紀は、2億円の札束を突き返した後、磐城に啖呵を切って去っていくのであった。
極道の妻たちII スタッフ
監督:土橋亨
脚本:高田宏治
原作:家田荘子
企画:日下部五朗
プロデューサー:奈村協,天野和人
撮影:水巻祐介
美術:高橋章
音楽:小笠原寛
主題曲:和田アキ子「抱擁」
録音:栗山日出登
照明:増田悦章
編集:市田勇
助監督:長岡鉦司
スチール:中山健司
配給:東映
極道の妻たちII キャスト
重宗遊紀:十朱幸代
重宗組組長の妻。夫の孝明が撃たれて入院する間、小規模だが100年続く重宗組を仕切る。孝明よりもしっかり者な性格で根性も座っており、作中では「重宗組は姐さん(遊紀)で持ってる」と評されている。孝明との間に子供はおらず夫婦2人暮らし。評判の良い元芸姑で過去に徳島市や大阪市の店で過ごした時期があるが、酒は弱い方。手本引の胴元をするなど賭け事にそれなりに精通している。その後知り合った木本に惹かれて好意を寄せ始める。
榎麻美:かたせ梨乃
木本の元恋人。シングルマザーで幼い娘・真由と2人で和歌山市のマンションで暮らしている。ヌードグラビアモデルの仕事を始めたばかり。ヤクザだった木本と付き合いカタギになることを条件に結婚の約束をしていたが、彼が約束を破って刑務所に入ったため別れた。趣味は娘とするジョギング。自身の父がヤクザだったことで学校でイジメに遭った過去があり、ヤクザをあまり良く思っていない。母親として真由との幸せな生活を送るため1人で奮闘する。
木本燎二:村上弘明
萬代(ばんだい)組の元ヤクザで、1ヶ月前に刑期を終えたばかり。過去に磐城に仕えていたが、敵対組織のヤクザ相手に勝手に襲撃事件を起こして捕まったため萬代組から絶縁された。ポーカー、花札、麻雀などジャンルを問わず様々な賭け事に強い。家族思いだが無鉄砲な性格なため、思いつきで行動することも多く麻美からは自己中心的な人物に思われている。出所後麻美と真由と一緒に暮らすことを願い、ダンプカーの運転手として働こうとする。
小松満男:柳沢慎吾
若い構成員の中ではリーダー的存在。若手の中では遊紀・孝明から一番信頼されており色々と2人から私用の付き添いや送り迎えを頼まれている。ただし少々おっちょこちょいで詰めが甘い性格なため、時々ミスをしたり失言することがある。遊紀と孝明がお互い気ままな行動を取ることがあり夫妻に振り回される。
ノブ:木村一八
冒頭の慰安旅行ではサダ、ジロと3人で先回りして海水浴場の一部を勝手に借り切りにして準備する。牧村と2人でシマを見回っていた所、彼が開発会社の男に突然銃で撃たれるのを目撃する。
サダ:竹内力
まだまだ頼りない所があり、ある日二人連れの女性に声をかけたら実は相手が捜査第4課の婦警だったというミスをやらかす。その後組に訪れた木本の身の回りの世話を任される。
ジロ:光石研
自分たちが場所取りをした潮干狩り場に姐さんや子供たちが楽しめるよう、事前に獲っておいた貝を仕込む。ヤクザにしては、結構人懐っこく子供好きな性格。牧村が殺された後、ノブ、サダと3人で河東に報復に向かう。
重宗孝明:藤岡琢也
重宗組の四代目組長。遊紀の夫。本人曰く「組長になりたくてなったわけじゃない」とのことで、組長にしてはいささか頼りない人物。博打は下手の横好きなこともあり借金を抱え、現在は家・土地が抵当に入っている状態。どちらかと言うと人当たりが良く、刑事の中本からは、「ヤクザの親分だが敵を作るようなやつじゃない」と評されている。威勢はいいが達者なのは口だけで、女にだらしない性格。ちなみに遊紀によると、重宗組は組員が約50人という小規模で、武器も短銃が少しあるだけとのこと。
磐城忠勝:神山繁
萬代組の若頭。以前から重宗組のシマを狙っている。組員は1万5,000人の大所帯でマシンガンや手榴弾などの武器も所有している。近代極道は、一般企業が株の売買で会社の買収をすることがあるように極道も他の組を金で買収する時代になってきたと考えている。孝明に2億円の金を貸しており、彼の入院後やって来た遊紀に返せないなら重宗組の資産を3億円で売るよう迫る。その後、韓国の済州島で自身の萬代組五代目襲名披露では、“大会”と共に花会も行う。
河東喜六:綿引勝彦
磐城の弟分。萬代組の傘下の河東組組長。実態のない開発会社を立ち上げ、重宗組のシマを強引なやり方で奪い取ろうとする。孝明が持つ多額の借金を自身が肩代わりしている。その後堅気として働こうとする木本や、重宗組に対して組員を使って色々と嫌がらせをする。
人橋松代:草笛光子
本業は金貸しだが、表向きはクラブのママとして生活している。徳島市在住。元テキ屋の女親分で過去に徳島で芸姑だった遊紀と知り合った旧知の中。遊紀について「私の娘分のようなもの」と評し、かわいがっている。自分が気に入った相手に対しては面倒見がよく義理人情のある性格。趣味は、店の2階で仲間内でやる賭けポーカー。金を借りに来た遊紀を励ます。その後マスター兼恋人だった勉に絞殺されたことが新聞で分かり、このことが遊紀に覚悟を決めさせるきっかけともなる。
津村江津子:藤奈津子
藤森蓮子:円浄順子
榎真由:戸恒恵理子
亀田修三:佐川満男
牧村勇人:安岡力也
徳永功:趙方豪
田所雄志:白川浩二郎
中本刑事:草薙幸二郎
向井繁之:市川好朗
元良国:岩尾正隆
金崎巌:大前均
磯崎勉:夏夕介
中年の女教師:和田アキ子
早之瀬参治:遠藤太津朗
笠原弥吉:名和宏
影山忠男:月亭八方
亀田富子:中島ゆたか
牧村昌子:高倉美貴
留美:速水典子
影山の妻:亜湖