日の名残り 88点

日の名残り

映画批評・備忘録

2017年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの同名の小説を映画化。
このまま、何も言わずに 愛し続けたい。カズオ・イシグロのベストセラー小説を巨匠ジェームズ・アイヴォリーが映像化した珠玉の名作。
原作者のカズオ・イシグロ自身は、作品の二人(スティーヴンスとミス・ケントン)の出会いと別れを、「誰にでもあるような、切ない記憶」として、普遍化したのだと語っています(DVD特典映像)。
この作品の素晴らしさは原作もですが、主演のアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの小説からそのまま現れたような魅力的な演技にもあります。原作ファンからこの作品ほど絶大な支持を受ける映画もあまりないように思います。映像化にあたり監督を含むスタッフ、キャストの仕事人ぶりも原作の内容と相まってプロのなせる業かと思います。
個人的には、落馬前の故クリストファー・リーヴ(元祖スーパーマン)やヒュー・グラントの好演も見れ、非常に味わい深い作品にして、自分が歳を重ねるごとにまた違った感動感傷を覚える作品でもあります。

アカデミー賞では、主演男優賞、主演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞、監督賞、作曲賞、作品賞、脚本賞の8部門にノミネートされた。

採点の内訳


脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:8点
合計88点

タイトル

日の名残り(原題:The Remains of the Day)

あらすじ

物語は1956年の「現在」と1920年代から1930年代にかけての回想シーンを往復しつつ進められる。
第二次世界大戦が終わって数年が経った「現在」のことである。執事であるスティーブンスは、新しい主人ファラディ氏の勧めで、イギリス西岸のクリーヴトンへと小旅行に出かける。前の主人ダーリントン卿の死後、親族の誰も彼の屋敷ダーリントンホールを受け継ごうとしなかったが、それをアメリカ人の富豪ファラディ氏が買い取った。ダーリントンホールでは、深刻なスタッフ不足を抱えていた。なぜなら、ダーリントン卿亡き後、屋敷がファラディ氏に売り渡される際に熟練のスタッフたちが辞めていったためだった。人手不足に悩むスティーブンスのもとに、かつてダーリントンホールでともに働いていたベン夫人から手紙が届く。ベン夫人からの手紙には、現在の悩みとともに、昔を懐かしむ言葉が書かれていた。ベン夫人に職場復帰してもらうことができれば、人手不足が解決する。そう考えたスティーブンスは、彼女に会うために、ファラディ氏の勧めに従い、旅に出ることを思い立つ。しかしながら、彼には、もうひとつ解決せねばならぬ問題があった。彼のもうひとつの問題。それは、彼女がベン夫人ではなく、旧姓のケントンと呼ばれていた時代からのものだった。旅の道すがら、スティーブンスは、ダーリントン卿がまだ健在で、ミス・ケントンとともに屋敷を切り盛りしていた時代を思い出していた。
今は過去となってしまった時代、スティーブンスが心から敬愛する主人・ダーリントン卿は、ヨーロッパが再び第一次世界大戦のような惨禍を見ることがないように、戦後ヴェルサイユ条約の過酷な条件で経済的に混乱したドイツを救おうと、ドイツ政府とフランス政府・イギリス政府を宥和させるべく奔走していた。やがて、ダーリントンホールでは、秘密裡に国際的な会合が繰り返されるようになるが、次第にダーリントン卿は、ナチス・ドイツによる対イギリス工作に巻き込まれていく。
再び1956年。ベン夫人と再会を済ませたスティーブンスは、不遇のうちに世を去ったかつての主人や失われつつある伝統に思いを馳せ涙を流すが、やがて前向きに現在の主人に仕えるべく決意を新たにする。屋敷へ戻ったら手始めに、アメリカ人であるファラディ氏を笑わせるようなジョークを練習しよう、と。

スタッフ

製作総指揮 – ポール・ブラッドリー
製作 – ジョン・キャリー、イスマイル・マーチャント、マイク・ニコルズ
製作補 – ドナルド・ローゼンフェルド
監督 – ジェームズ・アイヴォリー
原作 – カズオ・イシグロ
脚色 – ルース・プロワー・ジャブヴァーラ、ハロルド・ピンター(クレジット無し)
撮影 – トニー・ピアース=ロバーツ
音楽 – リチャード・ロビンズ
提供 – コロンビア映画

キャスト

ジェームズ・スティーヴンス – アンソニー・ホプキンス
ミス・ケントン – エマ・トンプソン
ダーリントン卿 – ジェームズ・フォックス
ルイス – クリストファー・リーヴ
ウィリアム・スティーヴンス(スティーヴンスの父親) – ピーター・ヴォーン
カーディナル(ダーリントン卿が名付け親になった青年) – ヒュー・グラント
スペンサー – パトリック・ゴッドフリー
デュボン・ディブリー – マイケル・ロンズデール

予告編

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