戦国自衛隊 95点

戦国自衛隊

戦国自衛隊 映画批評・備忘録

SFでありながら時代劇特有の生々しさや本能の赴くままのエロティシズムも表現されており、国内外を問わず異色の傑作SF映画となっている。登場人物が多いにも関わらず、各キャラクターに個性を持たせており主人公以外でも印象深いシーンが数多くある。千葉真一や夏八木勲のように豪傑を描きながらも、自衛隊員ではあるが、かまやつひろしや三浦洋一のような戦闘向きではない人物も描いている。自衛隊員役には、挿入歌を担当した高橋 研やにしきのあきら・鈴木ヒロミツ・かまやつひろしら、音楽分野の人間も起用している他、草刈正雄・勝野洋・宇崎竜童・薬師丸ひろ子らはワンシーンのみカメオ出演している。

※主演とアクション監督を兼務した千葉真一はクリント・イーストウッド主演映画『戦略大作戦』(1970年)を意識して演出している。
千葉は時速100kmで飛ぶヘリコプターにロープ1本でぶら下がり、乗馬で地面にある矢と弓を左右に傾いて拾い上げるスタントを吹き替え無しで演じたのに加えて、
ヘリコプターから宙吊りになるシーンは自前のハイスピードカメラを足に括りつけて撮影し、騎手の目線を写すためにカメラを取り付けたヘルメットを被り乗馬するなど、アクション監督としても自ら撮影を行った。
脇腹に隠れての乗馬は時代劇『柳生一族の陰謀』第27話「美女と野獣」で千葉が既に演じていたものを騎馬武者のジャパンアクションクラブ (JAC ) に演じさせている。
馬は短距離の瞬発力に優れ、急発進・急停止なども器用にこなすクォーターホースをアメリカから輸入し、クランクイン1か月前から千葉とJAC はクォーターホースと共に生活して訓練してきた。
転倒する馬はケガを負わぬよう、クッションなど安全装置を設けて撮影。千葉は本作の騎馬シーンの一部を1989年の映画『将軍家光の乱心 激突』でも再現している。
夏木勲が春日山城天守閣からヘリコプターに吊り下げられた縄梯子で脱出するシーンや、真田広之は空中浮遊するヘリコプターから飛び降り、乗馬から伊庭義明三尉(千葉真一)へ飛びかかり、斬りつける演技をした。

※撮影にあたり自衛隊の協力を得られなかったため、登場する自衛隊の装備は全て民間の所有品、もしくはレプリカである。
千葉真一演じる伊庭三尉他の登場人物が着ている迷彩服は陸上自衛隊のものではなく、アメリカ海兵隊の使用していた”リーフパターン”熱帯用戦闘服(ジャングルファティーグ)を用いている。
同様に、他の隊員の着用しているOD色作業服もアメリカ軍のもので、前合わせが自衛隊のジッパー式に対してボタン式となっている。
銃器類も全てプロップガンであり、本作の他にも自衛隊の登場する映画で長らく用いられた。

戦国自衛隊 採点の内訳

脚本:38点
演技・演出:19点
撮影・美術:20点
編集:9点
音響・音楽:9点

合計95点

戦国自衛隊 タイトル

戦国自衛隊

戦国自衛隊 あらすじ

伊庭義明 三等陸尉以下、近代武器で武装した21名の陸上自衛官および海上自衛官は、演習に参加するための移動時に突然、新潟県の補給地ごと戦国時代にタイムスリップしてしまった。戸惑っている彼らは当地の武将が率いる軍勢に襲撃される。その後長尾平三景虎が家来と共に近づいて来た。景虎は伊庭と初めて会った瞬間に「同族じゃ」と気に入り、見慣れない服装・武器に惹かれ、伊庭たちを仲間にしたいと考える。タイムスリップした現実を容易には受け入れられない伊庭と自衛隊員たち。再び景虎と敵対する軍勢に大量の矢で射撃され、関おさむ 二等陸士と堀健児 二等陸士らが死亡。伊庭と矢野隼人 陸士長が機関銃を乱射して敵の陣地へ乗り込むが、景虎たちが「ご助勢かたじけない」と家来を引き連れて追いついて敵兵と切り結び、ついには敵将の首級を挙げる。白刃で斬り合う彼らの戦いを目の当たりにしたことで、自衛官たちは戦国時代へ来てしまったことを認識。高島春美 一等海士は現代へ戻ろうと爆薬に火を放とうとし、矢野はナイフを彼に投げ付けて刺殺。隊が落ち着かない中で徐々に自分たちが戦国時代にいる現実を否応なしに受け入れていく。
伊庭は景虎から「あなたは戦国の世で生きるべき人だ」と、一緒に天下を取ろうと誘われる。伊庭は戸惑いながらも戦国時代を謳歌していることに気づき、二人の間にはいつしか友情が芽生えていた。部下たちもそれぞれに戦国時代と向き合い、近隣の農民やその娘たちと交流。三村泰介 一等陸士は娘の一人と恋に落ち、野中学 一等陸士は婆さんに自分の祖母を思い出し、根本茂吉 二等陸士は川で魚を獲る少年と出会い、その母親や兄弟と親しくなっていく。新潟の演習中に脱走し、駆け落ちをするつもりだった菊池弘次 一等陸士はタイムスリップしたことをいまだに信じられず、隊を無断で離れ、婚約者の新井和子と待ち合わせをするはずの場所へ向かう。しかし山中で武装した賊徒たちに襲われ、同行した西沢剛 一等陸士が殺されてしまう。現代にいる和子は相馬野馬追を観ながら、菊池が来るのを待ち続ける。一方、県信彦 一等陸士、木村治久 三等陸曹、小野章一郎 三等海尉らは現代に戻ろうと、原住民と交流することは歴史を変えてしまうと、慎重な対応をしていた。
かつて伊庭にクーデター計画を潰されたとして恨んでいる矢野は弟分の加納康治 一等陸士と、島田吾一 三等陸曹を仲間に引き入れ、小野を殺して哨戒艇を奪い、重火器を持ち出して隊を無断で離れる。矢野らは欲望の赴くまま、周囲の村を次々と襲い略奪と殺人、強姦を繰り返す。伊庭は追跡し、隊に戻るよう説得するが、矢野は拒んで戦えと挑発。不本意だったが、伊庭はヘリコプターからぶら下がって矢野たちの注意を引き付け、その隙にライフル射撃が得意な三村に彼らを狙撃させる。哨戒艇に飛び降りた伊庭は瀕死の矢野を射殺。矢野らの棺桶として、哨戒艇を爆破する。
景虎と天下を取ることで歴史が変わり、現代に戻れると考えた伊庭は、その目的のために京へ行くと部下に宣言し、隊員たちもこれに従う。景虎は越後から西へ進んで浅井・朝倉連合を、伊庭は南へ進んで信濃の川中島で武田信玄を、それぞれ討ち破って京で再び会おうと約束し、進発した。伊庭率いる自衛隊は川中島で武田軍と正面から激突する。伊庭隊は、近代兵器による圧倒的な攻撃力で当初は戦を優位に進めるが、「空を飛ぶ鉄の船(ヘリコプター)」や「地を這う鉄の馬(戦車や装甲車)」の情報を得ていた武田軍は、それに対処するための戦術を駆使して奮闘する。ヘリコプターは低空ホバリングの際に忍び込んできた武田勝頼によって乗員を殺害されて墜落、戦車は人海戦術で動きを封じられ、装甲車は落とし穴にはまって自走不能となるなど、兵器や弾薬の喪失とともに、伊庭たちは戦闘能力を失っていく。不利に傾きつつある戦況の中、一気に決着を付けるべく、伊庭は大将である信玄のみを狙うことを決意。馬を奪い、乗馬しながら弓と矢を得て、武田忍軍を躱し、信玄がいる本陣へ単騎斬り込む。信玄と一騎討ちとなり、形勢不利となりながらも拳銃で射殺。信玄の首級を挙げた。
この戦いで伊庭たちは辛くも勝利を収めたものの、戦車・ヘリコプター・装甲車などを失い、隊員も多くが戦死するなど犠牲も大きく、近代兵器は小銃・拳銃のみしか残っていなかった。
生き残った隊員たちは、戦国時代の過酷さを目の当たりにして昭和へ帰りたいと強く願うようになり、「補給地へ戻り、再びタイムスリップするのを待とう」と伊庭へ進言。しかし、伊庭にとっては、もはや戦国の世で天下を取ることこそが生きる目的となっており、これを認めようとしない。
先行して京へ入っていた景虎は、足利義昭・本願寺光佐・九条義隆らから、「正体不明の伊庭を天下人と認めるわけにはいかない。そのような者と手を組む景虎も朝敵とみなす」と弾劾される。伊庭たちが近代兵器を喪失し、僅かな兵力で荒れ寺へ避難したことを知った3人は「もはや伊庭恐れるに足りず」と、伊庭らの抹殺を細川藤孝に命令する。伊庭への友情と当世の流れの狭間で揺れる景虎だったが、その動きに待ったをかけ、自ら出陣を決意する。
景虎は苦衷の中にも決意を秘めた表情で、伊庭たちが駐留している荒れ寺へ向かう。心強い味方の到着に伊庭は笑顔を見せるが、景虎の雰囲気を察して、敢えて天下取りを宣言し、抜刀する。 対峙する二人だったが、刀を手に躍り掛かった伊庭は、皮肉にも銃で射殺されてしまう。
生き残った隊員たちも、景虎の兵らが放つ矢の雨の中で次々と斃れていった。
伊庭ら戦国自衛隊員は、景虎によって丁重に弔われる。そして、火を放たれた荒れ寺は燃え盛る炎に包まれていくのだった。

戦国自衛隊 スタッフ

監督:斎藤光正
アクション監督:千葉真一
製作:角川春樹
原作:半村良
脚本:鎌田敏夫
撮影:伊佐山巌
美術:植田寛・筒井増男
録音:橋本文雄
照明:遠藤克己
編集:井上親弥
監督補:戸田康貴
助監督:山下稔
記録:堀北昌子
擬斗:菅原俊夫・斉藤一之
衣裳:柳生悦子
制作担当:大橋和男
俳優担当:碓井義徳
スチール:遠藤功成
音楽監督:角川春樹
音楽:羽田健太郎
音楽プロデューサー:鈴木清司・高桑忠男
主題歌:松村とおる「戦国自衛隊のテーマ」
挿入歌:井上堯之「終りのない旅 (ENDLESS WAY )」
エンディングテーマ:ジョー山中「ララバイ・オブ・ユー」
制作協力:三船プロダクション

戦国自衛隊 キャスト

伊庭義明 三等陸尉 – 千葉真一
長尾平三景虎 – 夏木勲(夏八木勲)
三村泰介 一等陸士 – 中康治
県信彦 一等陸士 – 江藤潤
森下和道 一等陸士 – 速水亮
菊池弘次 一等陸士 – にしきのあきら
野中学 一等陸士 – 三浦洋一
根本茂吉 二等陸士 – かまやつひろし
丸岡正男 一等陸士 – 倉石功
平井正芳 一等陸士 – 高橋研
矢野隼人 陸士長 – 渡瀬恒彦
加納康治 一等陸士 – 河原崎建三
須賀利重 一等海士 – 角野卓造
西沢剛 一等陸士 – 鈴木ヒロミツ
木村治久 三等陸曹 – 竜雷太
島田吾一 三等陸曹 – 三上真一郎
小野章一郎 三等海尉 – 辻萬長
高島春美 一等海士 – 伊藤敏孝
清水英雄 二等陸曹 – 加納正
大西里志 一等陸士 – 清水昭博
堀健児 二等陸士 – 古今亭志ん駒
関おさむ 二等陸士 – 佐藤仁哉
みわ – 小野みゆき
新井和子 – 岡田奈々
ゆい – 絵沢萌子
栗林孫市 – 大前均
石庭竹秀 – 工藤堅太郎
館川勝増 – 片岡五郎
浅葉頼親 – 内田勝正
直江文吾 – 岸田森
細川藤孝 – 石橋雅史
黒田長春 – 中田博久
真田昌幸 – 角川春樹
足利義昭 – 鈴木瑞穂
本願寺光佐 – 成田三樹夫
九条義隆 – 仲谷昇
小泉越後守行長 – 小池朝雄
武田信玄 – 田中浩
武田勝頼 – 真田広之
祥吉(子供) – 飯塚浩司
祥吉とまいの母 – 谷口香
まい(祥吉の妹) – 大塚麻衣子
百姓娘 – 奈三恭子
百姓娘 – 高見あさ
百姓娘 – 今生きよみ
哨戒艇の女 – 夏山美樹
哨戒艇の女 – 長沢真紀
哨戒艇の女 – 末宗俊子
哨戒艇の女 – 久保田薫
哨戒艇の女 – 花園友子
夜這いの男 – 佐藤蛾次郎
夜這いの男 – 達純一
夜這いの男 – 永井雅春
小泉家重臣 – トビー門口
小泉家重臣 – 杉江廣太郎
小泉家家臣 – 加賀麟太郎
小泉家家臣 – 中山剣吾
小泉家家臣 – 鈴木登四男
小泉家家臣 – 橘英二
光佐の使者 – 江幡高志
文吾の使者 – 八木隆
影虎の側近 – 大辻慎吾
影虎の側近 – 沢美鶴
影虎の側近 – 新海丈夫
影虎の側近 – きくち英一
影虎の側近 – 辰馬伸
老婆 – 本間文子
落武者 – 宇崎竜童
落武者 – 中庸助
落武者 – 晴海勇三
森下のコーチ – 勝野洋
子供のような武士 – 薬師丸ひろ子
正吉 – 草刈正雄
騎馬武者 ※はジャパンアクションクラブ (JAC )
高橋利道 ※
栗原敏 ※
井上清和 ※
竹下誠治 ※
横山稔 ※
沢田祥二 ※
崎津均 ※
稲田龍雄 ※
黒崎誠輝 ※
関根直秀 ※
藤川聡 ※
伊藤勝昭
長谷部亮
松田浩二
江藤豊悟
徳島進
坂本三男
斉藤四郎
一杉永介
五十嵐公二

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