ロッキー  90点

ロッキー

映画批評・備忘録

第49回アカデミー賞作品賞ならびに第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞受賞作品。また、2006年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の中の1つである。

男なら誰もが憧れる感動のラストシーン
何かを達成し、誰かに伝えたい、そんな時に思わずエイドリアーン!と叫びたくなるほど強烈な感動のドラマ!

当時、映画のオーディションに50回以上落選していたスタローンは、ポルノ映画への出演や用心棒などで日々の生活費を稼いでいた。長い極貧生活を送っていたある日、彼は世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦のテレビ放送を観戦した。アリは当時世界最強と言われていたのに対し、ウェプナーはスタローン同様、繰り返す転職の中で日銭を稼いでいた。誰が見ても勝ち目がないウェプナーであったが、予想外の善戦を展開。試合はアリが勝利したものの、ウェプナーの繰り出したパンチがアリのわき腹を直撃しダウンを奪い、対戦後に「二度と対戦したくない」と言わしめた。スタローンは「アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、この出来事を基にわずか3日で脚本を書き上げ、プロダクションに売り込んだ。
しかし、当初のエンディングは「試合前にミッキーが歪んだ人種差別的思想を表し、それに失望したロッキーが試合を放棄して会場を去る」という、当時アメリカで隆盛を極めていたアメリカン・ニューシネマと呼ばれるジャンルの流れを汲む陰鬱なものであった。これを当時の妻・サーシャが読んで「私はこんなロッキー嫌いよ」と述べたため、ハッピーエンドに変更している。


ロッキー(原題:Rocky


脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:9点
合計:90点

あらすじ

フィラデルフィアに暮らす「三流」ボクサーロッキー・バルボアは本業のボクシングによる賞金だけでは生活していくことができず、知人である高利貸しの取立人を請け負いながら日銭を稼ぐというヤクザ気質な生活を送っていた。素質はあるのにこれといった努力もせず、所属するボクシングジムのトレーナーであるミッキーからもその落ちぶれた様に愛想を尽かされ追い出されてしまう。
そんな自堕落な生活を送っていたロッキーにも生きがいがあった。近所のペットショップで働くエイドリアンの存在である。ロッキーの親友で、精肉工場で働くポーリーの妹であるエイドリアンに、ロッキーは恋心を抱き、毎日ペットショップへ足を運んでは話しかけるものの、内気で人見知りが激しいエイドリアンはなかなか打ち解けない。そんな妹に好意を寄せているロッキーを、ポーリーは奇異に思いながらも感謝している。ロッキーとエイドリアンは不器用ながら距離を縮めてゆき、やがてお互いになくてはならない存在になっていく。
そんなある日、建国200年祭のイベントの一環として開催される世界ヘビー級タイトルマッチで、世界チャンピオンであるアポロ・クリードの対戦相手が負傷。プロモーターらは代役探しに奔走するが、そんな時アポロが「全くの無名選手と戦うというのはどうだ?」とアイデアを出す。無名選手にアメリカン・ドリームを体現させることで世間の話題を集め、自身の懐の深さを知らしめようという算段である。
そしてアポロは、ロッキーが「イタリアの種馬(Italian Stallion)」というユニークなニックネームをもつというだけの理由で、対戦相手に指名する。ロッキーは両者の実力の差が歴然としていることや、自分がサウスポーであることから申し出を断るが、人気獲得のためにも何とかして試合を開催したいアポロは、半ば強制的に試合の開催を決定する。そしてロッキーの戦いは始まった。
スポンサーを名乗り出るポーリーや、自身の豊富な経験からマネージャーになることを希望するミッキー、そして1つの生きがいであるエイドリアンが、ロッキーに自分が決して孤独ではないことを気づかせた。「今の自分には確かに人生の目的や愛、支えてくれる人たちがいる」。今まで経験したこともないような過酷な特訓を、ロッキーは耐え抜いた。試合前日の夜、ロッキーは「絶対勝てない」と弱音を吐いた後に呟く。「もし最終15ラウンドまでリングの上に立っていられたら、自分がただのゴロツキではないことが証明できる」
そして試合当日、無名のボクサーと史上最強の世界チャンピオンの対戦。賭け率は50対1。アポロの優勢は誰の目にも明らかであった。ついにゴングが鳴った。挑発を交えながら攻めるアポロに、負けじと喰らい付くロッキー。しかし、最初のダウンを奪ったのはロッキーだった。ロッキーの予想外の善戦に、場内の雰囲気も異様な盛り上がりを見せ始めた。
その後も激しい攻防が続き、第14ラウンド、アポロの強烈なパンチを受けたロッキーのダウンは致命的かと思われた。傷つくロッキーを見ていられないと控室で一人待つエイドリアンが、意を決して会場入口に姿を現したのは、くしくもちょうどその時だった。思わず顔をそむけるエイドリアン、もう起き上がるなと指示するミッキー、KO勝ちを確信するアポロ。しかしなんと、それでもロッキーは立ち上がり、不屈の闘志を剥き出しにして再びアポロに向かっていく。
最終ラウンドを迎え、場内にはロッキーコールが巻き起こる。最終盤はロッキーの猛ラッシュ、よろめくアポロを最後のゴングが救い、試合は判定に縺れ込んだ。会場は興奮のるつぼ、ロッキーのもとには報道陣が詰め寄り何本ものマイクが向けられるが、ボロボロに傷付き目も塞がった状態のロッキーは、彼らそっちのけで、渾身の力を振り絞りエイドリアンの名を何度も叫ぶ。その姿は、「見てくれたかいエイドリアン、俺はやったよ、やったんだ!」と言っているかのようだ。エイドリアンもまたロッキーの名を幾度も叫びながら、観客の波を掻き分けロッキーの立つリングへと向かう。
ジャッジが割れたことを前置きして告げられた判定結果は、僅差でチャンピオンの勝利であった。飛び上がって喜ぶアポロ。しかしロッキーとエイドリアンの二人には勝ち負けなど関係なかった。リングサイドではポーリーが、警備員にどやされながらもロープを引っ張りエイドリアンの行く道を開け、そこからリングによじ登ったエイドリアンはロッキーの胸へと飛び込む。「アイラブユー、ロッキー!!」「アイラブユー、エイドリアン!!」。二人は熱く、固い抱擁を交わすのだった。

スタッフ

監督 :ジョン・G・アヴィルドセン
脚本 :シルヴェスター・スタローン
製作 :アーウィン・ウィンクラー,ロバート・チャートフ
製作総指揮 :ジーン・カークウッド
音楽 :ビル・コンティ
撮影 :ジェームズ・グレイブ
編集 :リチャード・ハルシー,スコット・コンラッド
配給 :ユナイテッド・アーティスツ

キャスト

シルヴェスター・スタローン
タリア・シャイア
バート・ヤング
バージェス・メレディス
カール・ウェザース
トニー・バートン
フランク・スタローン
ビル・ボールドウィン
ジョー・スピネル
ジョディー・レティジア
ジミー・ガンビーナ
ジェーン・マーラ・ロビンズ

予告編

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