ロスト・メモリーズ 62点

ロスト・メモリーズ

映画批評・備忘録

これぞウリナラ・ファンタジーな映画。
日本による朝鮮統治が継続しているパラレルワールドを舞台に、日本が体制悪として描かれている映画だが、仲村が演じるのはステレオタイプな悪役ではなく、家族を守るために親友との戦いに挑むという悲劇的な役柄になっている。2002年、この作品で仲村トオルは韓国でも最も名声の高い、大鐘賞助演男優賞を外国人で初めて獲得した。
日本の統治下で育った設定なのでチャン・ドンゴンや韓国俳優達がたどたどしい日本語で演じている。「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の日本人がたどたどしい英語で演じている作品に似た印象を受けるので、チャン・ドンゴンの頑張りには拍手を送りたいが日本人が見たら変な感覚になるのは避けられない
この作品から、韓国人にとっては安重根は英雄だと印象付けられるが、この映画の良いところは、日本人からみればテロリストだと表現しているところにある。
韓国版スターゲイトみたいな時空の扉がオーパーツとして登場するが、くぐるだけで1909年に行けてしまったり、安重根は暗殺後に捕らえられたが、安重根の暗殺者(井上)の暗殺を阻止したチャン・ドンゴンは、現場にいたにもかかわらず、なぜか捕らえられていない。後半は、ほぼ脚本が破綻しており、無理矢理ハッピーエンドにしてしまった。

採点の内訳

脚本:25点
演技・演出:10点
撮影・美術:15点
編集:6点
音響・音楽:6点

合計62点

タイトル

ロスト・メモリーズ(原題:2009 Lost Memories)

あらすじ

1909年、安重根によるハルビン駅での伊藤博文暗殺が失敗。初代朝鮮総督に伊藤が就任。その後、朝鮮人による独立運動(三・一運動)やテロ(上海天長節爆弾事件)は完膚なきまでに弾圧される。満州問題で意見の一致を見た日米は同盟を結び、日本は第二次世界大戦に連合国側で参戦する。原爆はベルリンに投下され、日本は第二次世界大戦の勝利によって東アジアを統合、1960年に国連の常任理事国入りを果たした。日本は1965年に人工衛星サクラ一号を打ち上げ、1988年に名古屋オリンピックを開催、2002年にはサッカーワールドカップ単独開催と、世界でも指折りの大国として繁栄する。そして朝鮮は植民地統治の成功によって完全に日本の一部と化し、京城(ソウル)は東京・大阪に次ぐ日本第三の都市として繁栄していた。
2009年、京城府内の伊藤会館で行われていた「井上財団」の美術品展示会場で催されていたパーティーに朝鮮独立派テロ組織が乱入、客を人質に立て籠もる。事態を重く見た朝鮮総督府は日本捜査局(JBI:Japanese Bureau of Investigation)に出動を命令、主人公の坂本正行(チャン・ドンゴン)とその無二の親友たる西郷将二郎(仲村トオル)の2人も休暇返上で駆けつける。事件はJBIの圧倒的な火力で解決されるが、その際に当該組織のメンバーが命がけで守ろうとした古代造形品があり、その捜査を坂本と西郷が任される。しかし捜査を進めるうちに、第2代朝鮮総督井上(伊藤暗殺を阻止した架空の人物)の遺産で作られた「井上財団」の暗部、同じく捜査官だった坂本の父親が関わった過去のテロ組織の事件、更には伊藤博文暗殺失敗に繋がる、日本(現実世界では日韓)史100年を揺るがす陰謀が姿を現してくる……。

スタッフ

脚本:イ・シミョン、イ・サンハク
監督:イ・シミョン
音楽:イ・ドンジュン
撮影:パク・ヒョンチョル
美術:キム・キチョル
制作:インディコム
配給:CJエンタテインメント
日本での配給:ギャガ、メディアボックス
共同制作:スペースシャワーネットワーク、伊藤忠商事

キャスト

坂本正行:チャン・ドンゴン
西郷将二郎:仲村トオル
オ・ヘリン:ソ・ジノ
高橋:シン・グ
イ・ミョンハク:アン・ギルガン
キム・デソン:チョ・サンゴン
朝鮮人リーダー:チョン・ボジン
金田次郎:大門正明
三浦:キム・ウンス
英世:光石研
百合子:吉村美紀
史学者:今村昌平
伊藤博文:ファン・ヨンイル
安重根:オ・セホン
日本代表サッカー選手:李東国

予告編

商品情報