ミスター・ベースボールは、1992年公開のアメリカ合衆国の映画。日本の球団にトレードされた米大リーガーの活躍を描くヒューマン・コメディ。中日ドラゴンズの協力で、野球の場面は日本各地のプロ野球チームのホーム・グラウンドで撮影された。ナゴヤ球場では、10万人以上の名古屋市民がエキストラとして参加している。日本プロ野球(NPB)でプレーする助っ人外国人選手を題材としており、日本でプレーすることが決まった選手が日本プロ野球の教科書代わりにしばしば鑑賞することで知られている。
ミスター・ベースボール 映画批評・評価・考察
ミスター・ベースボール(原題:Mr. Baseball)
脚本:31点
演技・演出:15点
撮影・美術:15点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計76点
『メジャーリーグ』(1989年)とよく比較される映画ですが、オリジナル色が強く、映画メジャーリーグよりリアルな野球映画です。主演のトム・セレックが本物のメジャーリーガーに見えるほどフォームや体格が仕上がっています。また高倉健も『ブラック・レイン』の時より自然に演じていてトム・セレックに負けない大物オーラが漂ってます。そして『メジャーリーグ』にも出演していたもう一人の助っ人外国人選手を演じたデニス・ヘイスバートの魅力も見逃せません。彼は千葉真一と親交があった日本通の俳優で、それが演技にも表れています。日米野球の融合が見れる作品ですが、好きになれないのが、ヒマワリの種や唾を吐くと言ったマナーの悪さを演出に加えたこと、メジャー流に染まる日本人選手を描きたかったんだと思いますが、そこはむしろトム・セレックが日本のマナーの良さを真似るくらい方が良かったように思います。泥にまみれた日本式スポ根描写が良かっただけに・・・まぁ、乱闘や唾吐きやヒマワリの種&ガムはブラックユーモアだったとは思いますが・・・日本のプロ野球で監督が選手に暴力を振るうシーンは当時としてはよく見た光景でしたが、それに異論を唱え、エリオット(トム・セレック)が野球は楽しむものだと説くというのは筋が通っていて気持ち良いものでした。
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ミスター・ベースボール あらすじ(ネタバレ)
ニューヨーク・ヤンキースのスター選手のジャック・エリオットは、ルーキーとの競争に破れ、日本の中日ドラゴンズへトレードされてしまう。ドラゴンズの監督は往年の名選手だった内山だ。エリオットはチームメートのマックス・デュボアに、日本でプレーする際のアドバイスを受けるが、聞こうとしなかった。
練習初日、内山監督からスイングの欠陥を指摘されたエリオット。しかし、マイ・ペースで試合にのぞむエリオットは、弱点を知られていないこともあり、活躍を続ける。記者会見で、通訳の西村が、エリオットの発言を優等生的な言葉で訳したこともあって、ミスター・ベースボールというニックネームで人気者になった。
球場で知り合ったヒロ子にはげまされながら馴れない生活を続けるエリオットだが、内山監督との対立は深刻さを増し、乱闘騒ぎを起こしてしまったエリオットは出場停止に。そんな様子を見ていたヒロ子は、翌日エリオットを父親に紹介した。それは何と内山監督だった。
内山監督の人間性と熱意を知ったエリオットは、猛特訓を行い、スランプを脱出、エリオットの態度に一丸となったチームも快進撃を続け、優勝を争う運命の一戦がやってきた。ジャイアンツとの戦いはもつれ、遂に最終回を迎えた。内山の持つホームラン記録に挑むエリオットが打席に立った。周囲は記録を守るため、エリオットにバントさせようとしたが、内山は自由に打つようサインを出した。しかしエリオットはバントを決め、チームはリーグ優勝を果たすのだった。
ミスター・ベースボール スタッフ
監督:フレッド・スケピシ
脚本:ゲイリー・ロス,ケヴィン・ウェイド,モンテ・メリック
原案:セオ・ベレティア,ジョン・シュンカーマン
製作:フレッド・スケピシ,ダグ・クレイボーン,ロバート・ニューマイヤー
製作総指揮:ジョン・カオ,ジェフリー・シルヴァー,近藤晋
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:イアン・ベイカー
編集:ピーター・ホーネス
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,UIP
ミスター・ベースボール キャスト
ジャック・エリオット:トム・セレック
主人公。ポジションは一塁手。右投左打。ヤンキースでは背番号48を着けていたが中日では54に変更された。これは「中日がジャックに期待するシーズン本塁打数」という意味合いが込められたものでもある。登録名は「エリオット」。打順は主に3番。「野球は楽しんでやるもの」がモットー。よく若手選手の靴にライターで火をつける悪戯を仕掛けている。なお、作中での応援歌は実際に中日に所属したゲーリー・レーシッチやアロンゾ・パウエルと同じもの(狙いうち)が流用された。右膝に持病を抱えており、自分の部屋ではアイシングを施している場面が度々見られる。
内山:高倉健
中日の監督。背番号は83。現役時代は野手を務め、新人王、4度のMVP、7試合連続本塁打という記録も保持している。選手に「根性論」に基づく非科学的で過酷なトレーニングを課し、徹底的な管理野球も推しているほか、読売ジャイアンツには相当な対抗意識を持つ。練習中にジャックのスイングを一目見ただけでフォームの欠陥(シュートに対する弱点)を見抜き、その上で「最盛期はまだ終わっていない」と評価するなど、類まれな分析能力を備えるが、近年の監督成績は不振を極めており、球団首脳陣からは「今年で結果を残せなければ契約を打ち切る」と通告されている。ジャックとは当初通訳の西村を通じて会話をしていたが、実は英語を話すことができる。日本の文化と内山自身が提唱する管理野球に馴染めないジャックとは何度も対立を繰り返したが「もっと選手を伸び伸びとプレイさせるべき」というジャックからの意見を受けそのスタイルを改め、選手たちの自主性を重んじ喜怒哀楽を全面に押し出したチームに変貌させた。モデルとなった人物は星野仙一と広岡達朗。
内山ヒロ子:高梨亜矢
内山の娘。職業はデザイナー。来日して間もないジャックとナゴヤ球場で出会い、公私にわたって世話を焼く。チーム関係者が気付いていなかったジャックの膝の古傷を真っ先に見抜いている。パーソンズ美術大学に留学した経験から、ジャックが頻発する野卑なスラング表現にも動じない。ジャックとはすぐに恋愛関係になったが、実家に招くまでは内山の娘ということを隠していた。
マックス・デュボア:デニス・ヘイスバート
中日の助っ人外国人選手で、ジャックの“先輩”にあたる。愛称は「ハマー」(由来は本人も知らない)。背番号は40。登録名は「デュボア」。ポジションは右翼手。打順は主に4番。中日には5年という長期に渡り在籍しているが、ジャックに対しては現在もMLBへの復帰願望があることを明かしている。ジャックとは対照的に温厚な性格で、日本の文化や、いわゆる「ガイジン」として扱われる環境にも馴染んでいる。最終的に、優勝決定試合での活躍が評価され、ドジャースと契約を結ぶこととなり、念願のMLB復帰を果たす。
西村洋次:塩屋俊
中日の球団付け通訳で、ジャックの担当となる。ジャックの発言を直訳して不自然な日本語に置き換えたり、あるいは侮蔑的な表現を誠実な意味に脚色することもある。気弱な性格からジャックに何度となく怒鳴られていたが、後に厚い信頼が生まれる。
中村:穂積隆信
中日の球団社長。当初はチームの成績不振が続いていたこともあり、内山に対して「シーズンの結果次第で監督職を解任する」といった通告を出していた。
山下:豊原功補
中日の選手。背番号は4。ポジションは二塁手。チームの選手の中ではブロークンながら英語ができる方で、ジャックにしばしば声を掛ける。優勝決定試合では、ジャックとマックスをランナーに置いて3ラン本塁打を放ち、一気に1点差に詰め寄る。
向井:藤原稔三
中日の選手。背番号は2。ポジションは三塁手でキャプテン。ジャックによく「ムカオ」「ムーキー」と名前を間違えられる。
五十嵐:マック高野
中日の選手。背番号は12。ポジションは左翼手。怠慢な守備をジャックによく窘められる。
黒沢:森永健司
中日の選手。背番号は28。ポジションは遊撃手。
八木:問田憲輔
中日の選手。背番号は37。ポジションは中堅手。
西川:藤井直貴
中日の選手。背番号は22。ポジションは捕手。
糸井:後藤祝秀
中日の選手。背番号は11。ポジションは投手。
先発投手で当初は打ち込まれると交代を命じられていた。演じている後藤はかつて中日に投手として所属していた。
大前:西村譲
中日の選手。背番号は44。
内田:水島新太郎
中日の選手。背番号は26。
坪井:神保悟志
中日の選手。背番号は36。
上本:苅谷信行
中日の選手。背番号は42。
堀コーチ:大木正司
中日のヘッドコーチ。背番号は81。
ライアン・ワード:スコット・プランク
大洋の助っ人外国人選手。背番号は37。ポジションは遊撃手。登録名は「ワード」。走塁時にスパイク攻撃を仕掛けるのが得意らしい。二塁打を打ったジャックと会話をするシーンがある。
ライル・マッシー:レオン・リー
大洋の助っ人外国人選手。背番号は4。ポジションは右翼手。登録名は「マッシー」。
演じているレオンははかつて大洋に内野手として所属していた。
ビリー・スティーブンス:チャールズ・ジョセフ・フィック
巨人の助っ人外国人選手。背番号は41。ポジションは一塁手。登録名は「スティーブンス」。演じているフィックは兄にMLB選手のロバート・フィック、息子にC・J・フィックを持ち、野球を題材にしたドラマや映画に出演していた俳優。ジャックとポジションが同じ為、攻守の随所で度々会話するシーンがある。
アラン・ネヴィン:アニマル・レスリー
巨人の助っ人外国人選手。背番号は46。ポジションは左翼手。登録名は「ネヴィン」。演じているアニマルはかつて阪急に投手として所属していた。優勝決定試合では一時4点差に広げる本塁打を放つが、その裏の回で乱闘となった際に中日の選手達をボディスラムで投げ飛ばすなど大暴れし、退場になった。
リッキー・デイビス:フランク・トーマス
ヤンキースのルーキー。背番号は68。演じているトーマスは当時はシカゴ・ホワイトソックスの有望な駆け出しの選手であり、後にホワイトソックスのスター選手となる。彼の出現によって、ジャックは中日にトレードされた。
ジェンキンス:トッド・A・プロバンス
タイガースの若手選手。背番号は19。演じているプロバンスはかつてトロント・ブルージェイズでプレーしていたが、マイナーリーグから昇格することはできなかった経験を持つ元野球選手。タイガースに所属したジャックから打撃の助言を受ける。
佐藤:鈴木林蔵
中日の球団幹部。
高橋:楠見彰太郎
中日の選手。
ヒロ子の祖父:浜村純
ヒロ子の祖母:万代峰子
ヒロ子のアシスタント:藤田朋子
審判:桜金造,掛田誠