シュリは、1999年公開の韓国映画。本国で「タイタニック」の動員記録を塗り替え、日本でも韓国映画としては異例の大ヒットとなったラブ・サスペンス。韓国では1999年2月13日に公開され、韓国国内で観客動員数621万人(うちソウルで244万人)という当時の記録を樹立、一種の社会現象を巻き起こした。日本では、1999年秋の東京国際映画祭にて主演のハン・ソッキュの舞台挨拶つきで渋谷公会堂で上映されたのち、2000年1月22日に公開され18億円の興行収入をあげた。
シュリ 映画批評・評価・考察
シュリ(英題:Shiri)
脚本:38点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計92点
この映画が公開され、韓国映画がすごい!と話題を呼ぶ。思えば、この映画を皮切りに次々と韓国映画が国内で上映されるようになったように思う。シュリは、分断された祖国が背景にあるため語らずともリアルであり、現在の北朝鮮を見る限りでも映画に登場する工作員が存在しても全く不思議ではない。カン・ジェギュ監督がすごいと思えるのは、北朝鮮VS韓国という構図の描き方ではなく、それぞれ分断された国家に属す同じ朝鮮人同士の悲運という形で描いていること。そして分断国家の男女の悲恋の物語を中心に描くことで、国内外を問わず共感できる普遍的な表現に成功している。
※カン・ジェギュ監督の考え方についての興味深い話。
シュリ あらすじ(ネタバレ)
1998年9月、ソウル。2002年のワールドッカップのため南北朝鮮統一チームが結成され、南北交流試合開催のニュースに国内は沸いていた。韓国の情報部員ユ・ジョンウォン(演:ハン・ソッキュ)はアクアショップを経営する恋人イ・ミョンヒョン(演:キム・ユンジン)との結婚を1カ月後に控えて、北朝鮮の女工作員イ・バンヒを追っていた。
秘密情報機関OPの特殊要員ユ・ジュンウォンとイ・ジャンギル(演:ソン・ガンホ)は、最近相次ぐ要人暗殺事件の捜査中である。彼らに情報を提供する予定であった武器密売商が射殺されることによって、ジュンウォンはこの事件に北朝鮮の特殊第8軍団が関係している事を知る。そして、ジュンウォンとジャンギルは暗殺犯の行跡を追跡する中で、特殊第8軍団が国防科学技術研究所の開発した新素材液体爆弾CTXを奪取しようと画策していることが分かった。彼らはCTXの移送現場に急行するが、現場に着いたときには、既にCTXが強奪された後であった。おまけに、武器密売商と関係が有ったと思われる国防科学研究所の主任も殺される。
ジュンウォンはその奪取犯がかつて航空機テロ鎮圧作戦の際にすれ違ったことのある、パク・ムヨン(演:チェ・ミンシク)が率いる特殊第8軍団の工作員チームであることに気が付く。CTXの恐ろしい破壊力でOPは非常事態に突入するが、特殊第8軍団の目標が一体なんであるかは分かってはいない。ムヨンの行跡を追っていたジュンウォンとジャンギルは何回も目の前で敵を逃してしまい、OP内部から情報が漏れていることに気が付く。
爆破目標が要人も集う交流試合が開催されるスタジアムと突き止めるが、ここで衝撃の事実が発覚。イ・バンヒの正体はイ・ミョンヒョンだったのだ。かくしてスタジアムに乗り込んだジョンウォンは、ムヨンを倒して寸前で爆破を阻止し、要人を暗殺しようとしたミョンヒョンもその手にかけ、全てを終わらせるのだった。
シュリ スタッフ
監督:カン・ジェギュ
脚本:カン・ジェギュ
製作:イ・グァナク、ピョン・ムリム
音楽:イ・ドンジュン
撮影:キム・ソンボク
編集:パク・コクチ
配給:シネカノン、アミューズ
シュリ キャスト
ユ・ジュンウォン:ハン・ソッキュ
イ・ミョンヒョン:キム・ユンジン
パク・ムヨン:チェ・ミンシク
イ・ジャンギル:ソン・ガンホ
オ・ソンシク:パク・ヨンウ
テロリスト1:キム・スロ