エイリアン3 74点

エイリアン3

映画批評・備忘録

当初のプロジェクトでは、本作に原案としてクレジットされているヴィンセント・ウォードが監督を務める予定だったが、20世紀FOXと人事において揉めたことにより解雇され、デイヴィッド・フィンチャーが抜擢された。主役のリプリー役シガニー・ウィーバーに「監督こそエイリアンよ!」と激怒されるほど険悪な空気の中、撮影が進められた。監督のフィンチャーにとってもエイリアン3はトラウマになってしまった。

フィンチャー監督にとっては災難な作品だったかもしれないが、彼の溢れんばかりの才能が凡作ではなく一定の評価が得られる作品まで高めたことは言うまでもない。

※変遷を重ねた脚本について

1988年の脚本家組合のスト、会社上層部からの鶴の一声などもあって脚本が何度も書き換えられた。
最初の脚本はウィリアム・ギブスンによるヒックスとビショップが主人公になる物で、リプリーは昏睡状態のまま目覚めないが4人全員が生還するというシナリオだった。しかし当時の監督だったレニー・ハーリンは2の焼き直しにすぎないと判断して採用しなかった。ギブスンの脚本からは囚人達の頭のバーコード状の刺青が採用されている。(ただし頭にあるのではなく、敵対勢力であるUPPの女兵士が腕にバーコードの刺青を入れている、という描写である。)
2番目の脚本はエリック・レッドによるものであり、生存者はおろか死体すらないスラコ号がウェイランド・ユタニ社が経営する農業コロニーに到着するというものだった。エイリアンと戦うのはサム・スミスという農夫の青年であり、後にサイボーグとなった彼は様々な家畜(牛、鶏、豚など)から生まれたエイリアンと白昼、西部劇よろしく戦うというシナリオだった。最終的にリプリーの出ないエイリアンはあり得ないという20世紀FOX会長ジョー・ロスの鶴の一声と、シガニー・ウィーバーにも支持されなかったことから採用されなかった。本脚本からは人間以外から誕生する逆関節・四足歩行エイリアンが採用されている。(実際の脚本では、主人公は最初にスラコ号に乗船する兵士であり農夫ではない。実家が農家というだけである。)
3番目の脚本はヴィンセント・ウォードが物語を書き、それをジョン・ファサノが脚本としてまとめるという形で執筆された。(実際にはその前にデヴィッド・トゥーヒーによって3番目の脚本が書かれている。刑務所衛星を舞台に企業が培養したエイリアンが暴走するというストーリーで、主人公は収容されている囚人だった。)極めて宗教色の強いストーリーであり、地球は既に滅亡しており、聖書の教えに従って生きているごく一部の人間が木製のコロニーで中世さながらの生活をしていて、そこにエイリアンに汚染されたスラコ号の脱出艇とリプリーだけが到着するという内容だった。羊から生まれたシープ・エイリアンを筆頭に、シャーク・エイリアンや麦や木目調に擬態するエイリアン、リプリーを魔女と呼んで殺そうとする人物から生まれるヘッド・バスターなる新種がいたりする。ウォードがスタッフの人選にすら口出しするようになったため、20世紀FOXは彼を解雇すると共に脚本を採用しなかった。本脚本からは聖書に従って生活する囚人達やリプリーのスキンヘッド、溶鉱炉でエイリアンを倒すことなどが採用された。
その後もグレッグ・プレス、ラリー・ファーガソンと脚本は二転三転し、最終的にそれらをまとめてデヴィット・ガイラーによる脚本が完成稿となる。以上のシナリオの変遷については「映画秘宝」に掲載された映画評論家の品川四郎の文章による。

採点の内訳

脚本:25点
演技・演出:16点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:8点

合計74点

タイトル

エイリアン3(原題:Alien³)

あらすじ

惑星LV-426のエイリアン殲滅作戦後、冷凍睡眠につく隊員たちを乗せて地球に帰還していたはずの植民地海兵隊の宇宙船スラコ号は、謎の事故を起こしていた。スラコ号から切り離された脱出艇はある惑星で回収されたが、共に生還したはずのヒックスやニュートが着陸の際に死亡、ビショップも機能を停止しており、リプリーは涙に暮れる。
脱出艇が漂着した先は、宇宙の流刑惑星フィオリーナ161(通称フューリー)だった。惑星には数十名の凶悪な男性囚人が、戒律(宗教的規律)の元で心静かに自活的な生活をおくり、放射性廃棄物を収める鉛のコンテナを作る作業に従事していた。唯一の女性であるリプリーの出現に、惑星の秩序は一時危機をむかえるものの、囚人頭であるディロンが再び囚人達をまとめる。
そんな状況下で、脱出艇に潜んでいたフェイスハガーによってエイリアンが生まれ、活動を始めた。スラコ号の事故の真相は、脱出ポッド内にエイリアン・クイーンが卵を生み落していたことに気づかないままリプリー達が冷凍睡眠に入ってしまい、その間に生まれたフェイスハガーによってポッドが故障したというものだった。 凶悪で強靭な事にかけては、人並みはずれたさしもの囚人たちも、武器なしには対抗できず、成す術も無いままエイリアンの餌食になっていく。リプリーは因縁に決着をつけるため、囚人達と団結してエイリアンを倒そうとする。

スタッフ

製作 – ゴードン・キャロル、デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
監督 – デイヴィッド・フィンチャー
製作総指揮 – エズラ・スワードロウ
原案 – ヴィンセント・ウォード
脚本 – デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル、ラリー・ファーガスン
撮影 – アレックス・トムソン
音楽 – エリオット・ゴールデンサール
提供 – 20世紀フォックス
VFX – ボス・フィルム(BFC)、リズム&ヒューズ・スタジオ
VFXスーパーバイザー – リチャード・エドランド

キャスト

シガニー・ウィーバー
チャールズ・ダンス
チャールズ・S・ダットン
ダニー・ウェッブ
ラルフ・ブラウン
ブライアン・グローヴァー
ポール・マッギャン
ピーター・ギネス
ヴィンチェンゾ・ニコリ
ピート・ポスルスウェイト
ホルト・マッカラニー
レオン・ハーバート
クリストファー・ジョン・フィールズ
クリストファー・フェアバンク
フィル・デイビス
クライヴ・マントル
デオビア・オパレイ
ナイオール・バギー
ランス・ヘンリクセン
マイケル・ビーン(写真のみ)

予告編

商品情報