どついたるねん 90点

どついたるねん

映画批評・備忘録

赤井英和は1985年2月5日に行われた大和田正春との試合後、意識不明に陥り急性硬膜下血腫・脳挫傷で開頭手術を行い現役を引退、奇跡的に回復したもののボクシングへの情熱は断ちがたく、危険を承知の上で当時日本ミドル級の現役チャンピオンだった大和武士を相手に身体を張ったボクシングシーンの撮影に挑んだのが今作。
かつて浪速のロッキーと謳われた赤井英和は、この名のとおり、映画ロッキーで一躍スターダムに上り詰めたシルヴェスター・スタローンの如く、俳優として花を咲かせた。また、監督・阪本順治もこの作品を機に日本映画界を代表する監督に飛躍していく。
この映画は、阪本監督のリアリズムが徹底されており、上記でもあるように、頭部を手術した赤井に現役チャンピオンの大和武士と戦わせるという危険も承知の撮影が行われている。
この作品は、赤井英和の自伝的映画のため、赤井英和とは何者かを知っているとより深い感動が得られる映画でもある。

浪速のロッキー 赤井英和

プロになってからの赤井は、プロ4戦目の全日本新人王決定戦では尾崎富士雄に3RKO勝ちしジュニアウェルター級全日本新人王を獲得、その後も攻撃型ボクサーとして当時の日本記録であるデビュー以来12試合連続ノックアウト勝ちという快挙を成し遂げ、その試合スタイルから「浪速のロッキー」という愛称が付いた。強打を武器に世界タイトル獲得も時間の問題とまでいわれ、試合後のユニークなインタビューのコメントも人気を呼び、ノンタイトル戦ながら全国中継(朝日放送発)で取り上げられるまでに注目を集めた。当時関西出身の世界王者渡辺二郎よりも赤井の人気と知名度は高かった。

世界タイトル挑戦 天才の挫折

1983年7月7日、近畿大学記念会館で行われたWBC世界スーパーライト級タイトルマッチで、アメリカのブルース・カリーに挑戦。試合前日の記者会見で「7月7日やから7回に倒してパチンコのフィーバーにしたる」と宣言していたが、皮肉にも第7ラウンドでTKO負けを喫してしまい、世界タイトルは逃してしまった。まもなく敗戦のショックにより、引退をほのめかすような一筆を残して失踪。しかし、数日後現役続行を決意する。
この世界挑戦敗退後、正式に赤井の専属トレーナーとなるエディ・タウンゼントは、誰とは明言していないが、そのボクサーは優れた才能は持っているが、ボクサーとしては誘惑に弱すぎた、誘惑の味を知ってからの世界へのスタートは遅すぎる、という趣旨の発言を後にしている(「赤井とはもう少し早く一緒にやりたかった」等)。この発言は、赤井のことを示しているとされている。
その後、赤井は再び世界を目指すべく再起をかけることになり、2度目の世界タイトルを目指そうとした前哨戦として、1985年2月5日に開かれた大和田正春との試合に臨む。しかし、またも第7ラウンドでのKO負けの後、意識不明に陥る。急性硬膜下血腫、脳挫傷と診断され、大阪市内の富永病院で開頭手術が行われた。搬送時生存率20%、手術後生存率50%と極めて重篤な状態であったが、無事に回復(本人曰く、開頭中に意識が回復し、タオルで包まれた自分の脳を触ったという。触ると強烈な吐き気を催したが、その理由が解らず何度も触っては吐き気を催したと証言していた)。回復後はボクサー復帰も視野に入れていたが、医師からボクサーを引退するように勧告を受け、現役を引退する。

どついたるねん


脚本:38点
演技・演出:19点
撮影・美術:17点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計90点

あらすじ

試合中にKOされ、再起不能に陥ったボクサーの安達英志(演:赤井英和)は緊急手術の末に奇跡的に回復するが、医師から2度とリングに立てないと宣告される。ボクシングが人生の全てであった安達はジムを開くがリングへの思いは絶ちがたく、自暴自棄の日々を過ごす。元チャンピオンのコーチ、左島(演:原田芳雄)との出会いによって復活に賭ける英志は、トレーニングを積みライセンスを再取得。4回戦ボーイとしてリングに向かう。やがてカムバック戦の対戦相手が決まるが、それはかつての後輩、清田(演:大和武士)だった・・・。

スタッフ

監督:阪本順治
脚本:阪本順治
製作:荒戸源次郎
音楽:原一博
撮影:笠松則通
編集:高島健一
配給:ムービーギャング

キャスト

赤井英和:安達英志
相楽晴子:鴨井貴子
麿赤児:鴨井大介
原田芳雄:左島牧雄
大和武士:清田さとる
笑福亭松之助:安達太郎
正司照枝(かしまし娘):安達秋子
芦屋小雁:宮田
結城哲也(現:ゆうき哲也、元チャンバラトリオ):原田ジム会長
輪島功一:輪島功一
大和田正春:イーグル友田
升毅:ジョー
ハイヒールモモコ:レポーター
山本竜二:マスター
美川憲一:北山次郎

予告編

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