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ブラック・スワン|バレリーナが、プレッシャーにより徐々に精神が崩壊していく様を描いたサスペンス映画。

ブラック・スワン
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ブラック・スワンは、2010年公開のアメリカ合衆国の映画。バレエ『白鳥の湖』の主演に抜擢され、潔白な白鳥と官能的な黒鳥の二つを演じることになったバレリーナが、プレッシャーにより徐々に精神が崩壊していく様を描いたサスペンス映画。

ブラック・スワン 映画批評・評価・考察


ブラック・スワン(原題: Black Swan)

脚本:35点
演技・演出:19点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:8点
合計89点

現実と妄想の境界線が曖昧でクライマックスまで謎めていた映像と描写が続くものの、美しさの影で狂気が迫ってくる怖さが伝わってきて、最後まで見応えがあった。
個人的には映画「ドーベルマン」で狂気の主役を務めたヴァンサン・カッセルとキュートだったウィノナ・ライダーがこういう役柄でこういう演技もできるのかと円熟味を感じつつ、ナタリー・ポートマンの美しさと狂気を感じさせた演技力は素晴らしものだった。黒鳥のシーンは鳥肌が立つほど魅せられた。

批評面、興行面共に成功を収め、第83回アカデミー賞では作品賞を含む5部門で候補に挙がりました。主演のナタリー・ポートマンは約10kgの減量で身体作りをし、幼少期の経験を活かし、1年に渡る過酷なバレエの特訓を行い、アカデミー主演女優賞を始めとする多くの賞を受賞しました。しかし、ポートマンのダンス・シーンは後にボディダブル絡みの論争を巻き起こすこととなりました。
ナタリーが演じるニナの練習着のデザインは、ドイツ在住の日本人ダンサー兼デザイナーの竹島由美子が担当しました。
2010年、アロノフスキーは1998年のアニメ映画『パーフェクトブルー』と『ブラック・スワン』の類似性を指摘されたが、影響は無いと述べていています。アロノフスキーは以前、『レクイエム・フォー・ドリーム』でバスタブのシーンを再創造するために『パーフェクトブルー』のリメイク権を購入し、また2001年に同映画の監督である今敏と対談を行っていました。また今敏死後に発売された書籍『今敏アニメ全仕事』に哀悼のコメントを寄せています。

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ブラック・スワン あらすじ(ネタバレ)

娘盛りのニナ(ナタリー・ポートマン)は、ニューヨークのある一流バレエ団に所属し、バレリーナとして人生の全てをバレエに捧げる日々を送っている。一緒に住む母親エリカ(バーバラ・ハーシー)は元バレリーナで、今では絵画を描く日々を送っているが、自分が果たせなかったバレリーナとしての夢をニナに託すステージママとなっており、彼女に対して過剰なほどの愛情を注いでいる。

ニナの所属するバレエ団は次の公演『白鳥の湖』の上演準備に入り、バレエ団のフランス人の演出家トマ(ヴァンサン・カッセル)はこの演目のプリマ(主役)を選ぼうとしていた。『白鳥の湖』の主役「白鳥の女王」は、純真で無垢な「白鳥」と、官能的で邪悪な「黒鳥」の二役を一人で踊るため、相反する事柄を一人で表現する実力が必要である。トマは年を取ったプリマバレリーナのベス(ウィノナ・ライダー)を白鳥の女王役には用いず、新人のリリー(ミラ・クニス)やヴェロニカ(クセニア・ソロ)、そしてニナを候補者に挙げ、ニナにプリマとなる機会が巡って来る。

しかし、ニナの生真面目で几帳面な気性は白鳥役には向いていたが、黒鳥を表現し切れず、トマはヴェロニカを主役に選ぼうとする。ニナは再考を懇願しにトマの所へ行くと、トマに突然キスをされ、ニナは思わず彼の唇を噛んでしまう。ニナに意外な面があることに気付いたトマは考えを翻し、ニナを主役に抜擢する。バレエ団は次の公演の為に宴会を開き、トマはバレエ団のプリマ・バレリーナだったベスの引退を発表し、さらにその場でニナを新しいスターとして招待客に紹介した。
ニナは華々しいデビューを飾るが、ロビーでトマを待っていた所にベスが現れ、トマを性的に誘惑してプリマ・バレリーナの座を得たのだろうと詰られ、驚愕を受ける。その後、トマのアパートに招待された彼女は、黒鳥を演じる為に性的な喜びを追求することが必要だと忠告を受ける。

次の日から過酷な練習が始まるが、ニナは性的に魅了するような情熱に欠けているとトマに責められ、やがて精神的に疲れ幻覚や妄想に悩まされるようになり、代役として控えているリリーが、自分がせっかく射止めた主役の座を奪おうとしているようにも思えてならなくなってくる。

ある夜、ニナは母親と諍いを起こし、リリーに誘われクラブへと飲みに出かける。酔った勢いでニナは麻薬を使い、男性と性行為に興じる。その後ニナとリリーはニナのアパートに帰ったが、また母親と言い争いになってしまう。ニナはリリーと二人だけで自分の部屋に閉じ篭り、リリーと性行為に耽り、やがて寝込んでしまう。翌朝ニナが目を覚ますと彼女は一人で、一緒にいるはずのリリーはどこにもいなかった。練習場に駆け付けて見ると、その練習はリリーが白鳥の女王役を踊る形で始まっていた。ニナはリリーに対して、なぜ起こしてくれなかったのかと怒りをぶちまけるが、リリーは昨晩はクラブで出会った男性と一夜を過ごしたと言う。アパートでの二人の出来事はニナの妄想であった。

ニナの幻覚や妄想は日増しに酷くなり、『白鳥の湖』の開演を翌日に控えた前夜、トマと舞台裏で性行為をしているリリーが徐々にニナ自身に変身して行くという幻覚症状に襲われる。帰宅後も母親が描いた数多くの絵が自分のことを嘲笑っているよう見えてしまう。さらに自分の身体までも鵞鳥のように化かすと、遂にニナは気を失って気絶してしまう。
いよいよ公演が始まる日の夕方ニナが目覚めると、体調を崩し舞台に出られないと劇場に連絡した、と母に告げられる。ニナは母を乱暴に振り切り、劇場へ向かう。劇場ではリリーが白鳥の女王を踊る準備を進めていた。ニナはそんな経緯を無視し、「代役は不要」とトマに告げると白鳥として踊る準備を整えた。

第一幕は順調に滑り出したかに見えたが、やがてニナは幻覚を見始め、仕舞いには王子役のバレエ・ダンサーがニナを受け損ない落としてしまう。すっかり憔悴して楽屋に戻ると、そこには黒鳥の化粧をしているリリーの姿があった。そして眼前でリリーがニナ自身の姿へと変容する幻覚を見ながら、彼女と揉み合いになり、割れた鏡の破片でリリーを刺殺してしまう。ニナはリリーの死体を隠し、第三幕を踊る為、黒鳥として舞台に登場した。

ニナはまるで身も心も黒鳥となったかのように、情熱的にそして官能的に踊り、観客は総立ちで拍手をしてニナを褒め称えた。舞台を下りると、ニナはトマと抱き合い口付けを交わす。しかしニナが楽屋で待機していると、そこにニナの踊りに感動したリリーが激励の言葉をかけに現れた。この時、ニナはリリーと争ったことは現実ではなく幻覚だったこと、鏡の破片で刺したのもリリーではなく、自分自身だったということに気付く。

第四幕(最後幕)舞台が始まり、ニナは結末を完璧に躍りこなした。最後の白鳥が崖から跳び下りて自らの命を絶つ場面を演じながら、ニナは観客の中に母がいて感動してすすり泣いていることに気付いた。観客はまた総立ちになり劇場全体に割れんばかりの拍手が響き渡った。観客席が感動に包まれ、リリーはニナを褒め称え、トマはニナを包容した。しかし、その直後、ニナはその場に崩れ落ちる。完璧なバレエを舞いきったニナは、恍惚とした表情で宙を見上げるが、その視界は徐々に白んで行くのだった。

ブラック・スワン スタッフ

監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:マーク・ヘイマン,アンドレス・ハインツ,ジョン・J・マクローリン
原案:アンドレス・ハインツ
製作:スコット・フランクリン,マイク・メダヴォイ,アーノルド・メッサー,ブライアン・オリヴァー
製作総指揮:ジョン・アヴネット,ブラッド・フィッシャー,ピーター・フラックマン,アリ・ハンデル,ジェニファー・ロス,リック・シュウォーツ,タイラー・トンプソン,デヴィッド・スウェイツ
音楽:クリント・マンセル
撮影:マシュー・リバティーク
編集:アンドリュー・ワイスブラム
製作会社:フェニックス・ピクチャーズ
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、20世紀フォックス

ブラック・スワン キャスト

ニナ・セイヤーズ / ザ・スワン・クイーン:ナタリー・ポートマン
トマ・ルロイ / ザ・ジェントルマン:ヴァンサン・カッセル
リリー / ザ・ブラック・スワン:ミラ・クニス
エリカ・セイヤーズ / ザ・クイーン:バーバラ・ハーシー
ベス・マッキンタイア / ザ・ダイング・スワン:ウィノナ・ライダー
デヴィッド / ザ・プリンス:バンジャマン・ミルピエ
ベロニカ / リトル・スワン:クセニア・ソロ
ガリナ / リトル・スワン:クリスティーナ・アナパウ
アンドリュー / シュータ:セバスチャン・スタン
トム / シュータ:トビー・ヘミングウェイ

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